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桑田佳祐、37年目の最新作『葡萄』を語る!
サザンオールスターズ、実に10年ぶりのニューアルバムが完成した。タイトルは『葡萄』。全16曲、一枚のCDに収録できるギリギリまで収録した素晴らしいポップアルバムである。驚くべきことに、これまでのサザン以上の、圧倒的に新しい描写、新しい肉体性と新しい実感が溢れるアルバムになっている。「勝負に出ろ!」と歌われる1曲目“アロエ”から、21世紀のサザンのスタンダードというべき“東京VICTORY”まで、テーマはバリエーション豊かだが、新しい言葉と新しい歌という意味ではすべてに共通した新鮮さがある。37年目のロックバンド、サザンは『葡萄』で今、また新しくなれたのである。感動的な傑作だ。
このイントロダクションは、桑田佳祐が『葡萄』について語った初のインタヴューからの抜粋だ。この日、桑田は2時間半にわたり、サザンの新たな軌跡を熱く語ってくれた。
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僕はね、サザンっていうアイコンに対しては抗えないっていうのかな。要するに、僕サザンの裏方でいいやって思うようになってきたの。自分がアイコンじゃない、やっぱりサザンがご本尊だから。そういう意味でラクになって、ガンガン曲を作るぞとか、レコーディング頑張るぞっていう気持ちになれたんですね
下ネタは好きだけど、すごくホットなラブソングとか、そこに行くのはちょっと嘘だろうなあというか。それよりも僕らが普段飲みながら喋ることとか──まあ、書きやすかったんですけどね。だからホットなラブとかセックスとか、そういうような言葉は正直出てこなかったし。出したら嘘臭いと思って(笑)
今の世の中の風潮だとか、もっと言っちゃえば自分の弱みだとか自分の諦めだとか、魂の拠り所のなさとかね、そういうものが書きたいというか。書かなきゃつまんないというか。だからそのへんの色合いを1曲ずつ濃くするってことが、たぶんあの時閃いたサザンを動かすことのね、ひとつの要素になったと思うんです
日本語の使い手として、シンガーソングライターとして、まだやってないことがあったなあと思って。だからガラケーかもしれないけど、まだやってない機能がガラケーの中にいっぱいあったなあっていうか
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ポップミュージックにとって歌詞っていうのは「ただの歌詞じゃないか、こんなもん」って言ってたこともありますけど、やっぱり歌詞というのは作ってて、歌ってておもしれえぞと、ここ最近は思えてきたんですよ
僕らのアイデンティティじゃないけど、証明するのはやっぱり作品だっていうとこで特化する以外ないじゃないかというね。三十何年間、ニューミュージックと言われた世代から僕らやってきてますけど、僕たちサザンは作品で、自分たちは違うぞというところに行くしかなかったんですよね
自虐的な意味でね、歌うたいとか、ちょっと汚れた存在っていうのかな。やっぱり自分もどっかそういうものに憧れるっていうかね、歌ったり踊ったりする人間のDNAっていうか血筋っていうのかな、たぶんどっか汚れてるんだと思うんですよね(笑)、脈々と
お客さんと一緒に今まで見てきた夢っていうのは、お墓参りに行く感覚もちょっとあるんですよ。全国から来てくれてるお客さんのひとりひとりの生き様とかね、DNAがずう~っとつながっててっていう中で、一期一会的に今日ライヴがあって、そこで見る夢みたいなものは、燃える恋のようなものもあるけど、お墓参りのように、何かの祈りのような時もすごくイメージさせてくれるんですよね
続きは2015年2月28日(土)発売のロッキング・オン・ジャパン 4月号で!
- ROCKIN’ON JAPAN 2015年4月号
37年目の傑作『葡萄』を桑田佳祐、語る
- 実に10年ぶりのニューアルバム『葡萄』、ついに完成! デビュー37年目、サザンは何故今、デビュー作の如き「新しさ」を手に入れることができたのか? 桑田佳祐に迫る超ロングインタヴュー&サザン全15作のオリジナルアルバム・レヴューを掲載!
- ●雑誌コード:09797-04
- ●発売日:2015-02-28
- ●特別定価:657円 + 税