SPECIAL OTHERS×山田将司×菅原卓郎
最強コラボ記念――特別座談会が実現!(2)
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ふたりの歌い方はもう、ストレートパンチみたいだなと思って。直球勝負!みたいな(宮原)
――そうやってコラボ相手も居心地よく受け入れる包容力ってそのまま、スペアザがお客さんと向き合う時の包容力とそのまま地続きな気がするんですよね。以前スペアザの取材で、芹澤さんがライブに関して「『私、場違いかも』って、俺はお客さんの誰ひとりにも思わせたくない」っておっしゃっていたのがすごく印象に残っていて。
芹澤 恥かかせたくないんですよね。「私、変な格好してきちゃった」とか「私、なんか違うポーズで踊ってる」とか、そういうのが一切ない場所が俺は大好きなんだよね。誰も仲間外れがいない、全員が楽しいだけで、恥かくこともないっていう。「カッコいい場所」って、「カッコいい人たち」が「カッコ悪い人」を排除する、みたいな動きが絶対に生まれるんですよね。そういうのが俺は大っ嫌いで。初めて行った人が恥をかく、逆に恥をかかせるのがそこのステイタスだ、みたいなのが大っ嫌いなんですよね。そういうのは東京に多いんですけど――。
宮原 ……恨み節ってるね。
又吉 何かあったの?(笑)
芹澤 や、でも、絶対みんなそういう経験したことあるはず!(笑)。
菅原 でも、子供の頃からそういうのあるじゃないですか、仲間外れになっちゃうとか。
芹澤 そうそう、無意味なヒエラルキーというかさ。そういうのって、ないほうがいいよね。
山田 それはわかるかもしれない。だから俺もステージに立った時は、自分がどんだけ裸になれて、ダサいところも恥ずかしくなくできるかっていう――「大丈夫なんだよ」っていう気持ちにさせたいっていうのはあるね。
芹澤 やり方の違いで、ベクトルは一緒だもんね。山田くんはさらにもっとわかりやすくしてるもんね。要は、「自分が一番ダサい」っていう位置に立つんだよね。だから、誰も自分のことをダサいと思わないんだよ。
山田 「いろんな感情を持ってるのは当たり前だし、大丈夫なんだよ」っていうことを提示してあげたい、っていうのはあるな。
若手のバンドとかが「スペアザとコラボする」のを目標にしてくれるくらい、大きなことになっていったら嬉しい(芹澤)
――この曲、ぜひともコラボの形でライブでも観たいですよね。
宮原 この曲はね、真夏の真昼の野外でやりたいんだよね。絶対盛り上がると思うんだよね。
菅原 暑くなったところで呼ばれるんでしょ? 俺たち(笑)。
又吉 お客さんの反応が非常に気になるよね、やっぱりね。たぶんすごい、怒号のような歓声が上がるんじゃないかなっていう。
菅原 聴いた感じはさわやかだけど――前向きな意味で言うんですけど、スマートじゃないっていうか、ゴツゴツしてるところがあるから。
芹澤 今回完成してさ、全部の曲を一度に聴くじゃん? そうするとやっぱりね、この曲がダントツで泥臭いんだよね(笑)。ほかの曲はさ、吹き抜ける風があるんだけど、これだけは吹き抜けないねえ。
一同 ははははは!
芹澤 それがいいんだけどさ。テレビで急に流れてきたりしたら、絶対聴いちゃう曲だよね。なんか耳につくっていうか、無視できないっていう。それがふたりの良さだよね。
宮原 ふたりの歌い方はもう、ストレートパンチみたいだなと思って。直球勝負!みたいな。その男らしさみたいなものは共通点かなっていうのはあって、「このふたりが絡んだら面白そうだな」って。
柳下 同じ直球だけど、タイプが違うよね。回転がかかった直球と、無回転の直球と(笑)。
芹澤 どっちが「無回転」かは、たぶん俺とヤギは一緒の意見だと思う――山田くんでしょ?
柳下 そう!(笑)。
芹澤 色で表現すると、鈍い黒と、光沢のある黒。これも、誰も何も言わなくても満場一致で、「鈍い黒」が山田くん(笑)。で、「光沢のある黒」は卓郎くん。
山田 絶対カッコいいじゃん! 卓郎のほうが……。
芹澤 いや、違うんだって! そこにはマットブラックの良さがあるんだって!
――(笑)。コラボといえば、THE BACK HORNはまさに宇多田ヒカルさんとのコラボシングル『あなたが待ってる』が発売されたばかりですけども――。
芹澤 すごくいいよね。あの「バックホーンっぽくなさ」もすごくいい。
山田 ああ、そうだ! 俺、「ヒカルちゃんとのレコーディングで初めてボーカリストの歌入れを聴いた」って(ほかの取材で)言ったけど……その前に俺、卓郎の歌を聴いてたわ(笑)。
芹澤 (笑)。それはたぶん、山田くんの中で「ボーカリスト」っていう認識じゃなかったんだと思う、卓郎が。「ロックバンドの一部」っていう。
山田 もう近しすぎて、卓郎が(笑)。
宮原 仲間だもんね。
菅原 そのフォローまで一緒に載せてもらえれば(笑)。
芹澤 宇多田さんを見て「初めてボーカリストのレコーディングを見た」って思う気持ちもわかる。
菅原 うん。俺も思うだろうなあ(笑)。
――今回でコラボ盤は2作目ですけど、もっといろんな人とコラボした曲を聴いてみたいですし。それはこの作品を聴いた人はみんな感じると思うんですよね。
芹澤 これが盛り上がって、若手のバンドとかが「スペアザとコラボする」のを目標にしてくれるくらい、大きなことになっていったら嬉しいですよね。