「名だたるバンドを号泣させる」(Kj)――四星球の笑って泣けるロックって何だ!? 盟友対談で迫る

四星球

「日本一泣けるコミックバンド」として全国のライヴシーンを席巻しまくっている四星球・北島康雄(シンガー&作詞)&U太(ベース&リーダー)とDragon Ash・Kjの異色対談を敢行! これまで数多くのゲスト出演/コラボを果たし、最近のロックフェスでもMAN WITH A MISSION、10-FEET、AA=といった強豪アクトに客演しているKjは、昨年夏に行われた四国フェス「MONSTER baSH 2015」で四星球のステージに登場、“クラーク博士と僕”を熱唱しながら定番のフラフープまで披露している。そのド直球な歌と熱演で、Kjのみならず強者バンドマンを次々と号泣の渦へと叩き込む四星球、その怒濤の熱量はどこから生まれるのか? 今年2月にリリースされたばかりの最新アルバム『出世作』を巡る会話のひとつひとつから、四星球というバンドの核心とお互いへのリスペクトをつぶさに読み取っていただけるはずだ。

インタヴュー=高橋智樹 撮影=石井彩子

パンイチでふざけてるやつらを観て、名だたるバンドが袖で号泣してるっていう(笑)。すっげえ不思議な画があるんだよね(Kj)

――今日はKjさんとの対談ということで、よろしくお願いします。

北島 よろしくお願いします! 四星球シンガー担当、北島康雄です。

U太 あ、僕はついてきてるだけなんで――。

Kj ええっ!? おまえもしゃべれよ!(笑)。

U太 いや、今日はマネージャーとして来てるだけなんで、衣装も用意してないし……。

Kj でも、しゃべったほうがいいんじゃない?

U太 そうですか?……えー、ベースのU太です!(笑)。

――(笑)。去年の「MONSTER baSH」では四星球のステージにKjさんがゲストで登場するという一幕もあったわけですが。お二方の初対面はいつ頃なんですか?

U太 「MONSTER baSH」ですよね、たぶん。

北島 僕らは一方的に、「おおっ、Kjさん来てる!」っていう空気だったんですけど。Kjさん的に僕らを把握してくれたのはいつか?っていうと――。

Kj 「京都大作戦(2013)」かなあ?

北島 ああー、なるほど! そっちですか。

Kj バンドマン以外の人から見たら、すごい違和感ある組み合わせに思うのかもしれないけど、バンドマン人気はめっちゃ高いからね。パンイチでふざけてるやつらを観て、名だたるバンドが袖で号泣してるっていう(笑)。すっげえ不思議な画があるんだよね。

北島 舞台袖はね、ほんとに異様な空気になるんですよね。「ポルノ超特急」(ROTTENGRAFFTY主催フェス)に出さしてもらった時に、舞台袖にアーティストさんだけじゃなくて、ケータリングのシェフの人とかまでいてくれて(笑)。

Kj ははははは!

北島 でも、そんな舞台袖の中でも、Kjさんは一番前で観てくれてるイメージがありますね。「FX(2015)」っていうイベントの時も――。

Kj ああ、覚えてる! 九州のね。

北島 Kjさんの出番が、僕らのすぐあとぐらいだったんですけど、ずっと頭から終わりまで観ててくれて、終わってすぐ握手を求めてくれて。僕たちはサブステージというか、Zepp Fukuokaの外の特設ステージみたいなところでやってたんですけど、ドラゴンのライヴのMCの時に「四星球のライヴめちゃくちゃよかったよ!」って言ってくれて。外のステージでやってるバンドのことを、メインステージで言ってくれるんですよね、「あいつらに負けないライヴをします!」って。嬉しかったですねえ。

「やりたくないこと」へのNOがすごく強かったんですよね。それで、「やりたいこと」のほうへ引っ張られていった結果、誰もやってないものになったっていう(笑)(北島)

――そこまでKjさんが四星球に惹かれるポイントは何なんでしょうね?

Kj まあ、俺に限らずだと思うんだけど。やっぱり……自分が決定的に失ったなって自覚してるものを、まだ握り締めてる感じがすごい強いね、一番わかりやすく言うと。たぶん、それはみんな思ってると思う。長くやってるバンドってみんな、そうならないようにわりと意図的に気をつけてるんだろうけど、それでもこぼれ落ちてしまうものがあって。「なんで俺、これを置いてきちゃったんだろう?」「これができなくなっちゃったんだろう?」みたいな。やろうと思ってもできないことを見させてもらってるっていう。

――四星球って、ポテンシャルだけ見れば「ザ・カッコいいロックバンド」的なものになろうと思えばなれるだけのものは持ってると思うんですよ。だけど、そこじゃないところを全力で目指してるところがあって。そこに他のバンドとはまったく違うロマンが生まれるのかもしれないですね。

北島 「開拓する」みたいなのが好きなんですよね。「これはこの人がやっとるから、やらないでおこう」とか、そういう意識がすごく強くて。やってないとこ、やってないとこ探していくと、どんどんと――。

Kj でも、やってないのには理由があったでしょ?(笑)。「だからこれ、みんなやんねえんだな」と思ったでしょ?

北島 もちろんそうです(笑)。でも一番の理由は、「あれ◯◯がやってたやん?」って言われるのが一番嫌なんで。そうならないようにしていった結果、こういう形のバンドになったのかなあと思いますね。「やりたいこと」と「やりたくないこと」があって……逃げたわけじゃないですけど、「やりたくないこと」へのNOがすごく強かったんですよね。それで、「やりたいこと」のほうへ引っ張られていった結果、誰もやってないものになったっていう(笑)。それはもう結成の時、一番最初からそうでしたね。

U太 徳島の田舎なんで、そんなにめちゃくちゃバンドがいるわけじゃなくて。そこで誰かとカブったことやっても、徳島では一番になれへんなっていう。まして、先輩と後輩の間の、一番少ないところで僕らやってたんで、世代的には。そこで上をやっつけるには、同じことをやってもしゃあないな、っていうところが大きいと思いますね。

この前新曲をやってたんだけど、「アレンジしすぎて本当にカッコよくなっちゃってるから、危ないよ!」って言った覚えがある(笑)(Kj)

――それが徳島だけじゃなくて、全国的に見ても「他にいないバンド」になれたっていうのは――。

北島 やっぱり、ライヴの本数じゃないですかね。本数をいっぱいやって、日本のライヴハウスと、ライヴバンドを、足で稼いで見てきたところじゃないかと思いますね。

――でも、「誰かがやってること」を片っ端から選択肢から外していくと、普通に考えたらもっと難解だったりアングラだったりする袋小路みたいなバンドになってもおかしくないんですけど、四星球の音楽がずどーんと太い存在感を持ってるっていうのは一体何なんでしょうね?

Kj まあ、こいつらほどライヴやってるバンド、俺は20年やってて聞いたことないからね。それはやっぱり、年間150本とかやってるっていうのは、何物にも代え難い財産に絶対なるもんじゃん? でも、言ってることもすごいわかる。消去法だけで個性を獲得しようとしてるバンドって、「人とカブんなきゃいいってもんじゃないんだな」っていう感じが出ちゃうのね。いいとこ全部使わなかったんだろ、みたいなさ。みんな「いい」と思うから同じことをやっていくわけじゃん? 流れもあるし、いろんなことが相俟ってムーヴメントが生まれるわけだから。ずっと「そこにいないこと」が最重要課題だと、本当に味気ない料理みたいになっちゃう場合もあると思うんだよね。

――ジャンルの隅のそのまた隅に行っちゃう危険性もあるんですよね。

Kj そうそう。それはすごく的を射てるなと思う。なのに、常にど真ん中みたいな感じがするっていうね。まあ、「音楽が好き」っていうのがちゃんとあるんじゃないかな。

――もしかしたら四星球って、「外角低め、ぎりぎりボール1個分」の隅っこの変化球じゃなくて、むしろど真ん中すぎて誰も投げなかったど真ん中ストレートだったのかもしれないですね。

北島 ああ、なるほど。ど真ん中が空いてたっていうね(笑)。

Kj でも俺、この間「ポル超」で横で観てて――四星球が新曲をやってたんだよね。で、終わった直後に言ったんだけど、「ちょっとそれ、アレンジしすぎて、本当にカッコよくなっちゃってるから。危ないよ!」って。「今からそこ攻めるのはだいぶ時間かかるよ!」って言った覚えがある(笑)。

北島 それ、言われました。「本当にカッコいい音楽やっちゃうと、誰も応援しなくなるから」って(笑)。

Kj どんどんみんな袖から離れていくから(笑)。

北島 「カッコいいことをできるようになってきた年」と、「カッコいいことをやる必要がないなと思った年」が、同じくらいなんですよ。技術とか知識がついてきた年齢と、「そういうのは僕たちには必要ないんだな」って思った年齢がかぶさるんで。そこでこう、排除するジレンマみたいなものが起こってますよね。その両方が闘ってる感じがあって。でもライヴだと、そういうのは一回置いといて、面白いことやろう!っていう部分が勝つんで。結局やっぱり、ライヴ主体で考えてるんかなあとは思いますね。

――歌詞もまさに「ど真ん中すぎて誰も言わないこと」満載ですからね。

北島 そうですね。言葉とかは、最近はほんと「わかりやすく」っていうことだけを考えてて。バンド自体がもう、好きか嫌いか分かれるようなバンドなんで。バンドマンからはすごく愛してもらってるんですけど、お客さんからしたら好きか嫌いかどっちかだと思うんですよね、見た目のこともありますし。持ち時間もらっても、普通は他のバンドさんが8曲できるところを、僕たち3曲だったりするので――。

Kj その足枷エグいよ!(笑)。

北島 エグいでしょ?(笑)。この前、10-FEETのツアーに呼んでもらって、40分持ち時間もらって、頑張って5曲やったんですけど、結果4分押したんです、あれ。

Kj 1曲分押したんだ?

北島 押しちゃったんですよ。40分で4曲なんですよね、僕たち(笑)。だから、そういうことを考えると、よりメッセージはわかりやすいものにしていかないと――。

Kj そうだよね。それ、もう牛歩戦術だもんね(笑)。

北島 10分に1曲のペースなんで。より1曲のわかりやすさを追求していかないと。もう、英語とか言うてる場合じゃないんですよ(笑)。だから、ここ何年かは本当にわかりやすいことをやって、ライヴでそれをどんだけ装飾するかっていう。結果、その持ち時間のパッケージで「ああ、よかったな」って思ってもらえるように考えてますね。

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