焚吐、10代最初で最後のアルバムがポップ的実験の集大成となった理由(2)
![](/contents/feat/takuto_201702/img/image_01.jpg)
自分勝手というか、好きだからこそ芽生える独占欲、支配欲みたいなものを込みで作った
――曲の話に戻りましょう。次の“君がいいんです”はいつ頃できた曲ですか
「これは“ハイパールーキー”の前なので、最新曲のひとつという感じですね」
――これは驚くほど直球なラブソングかと。
「そうですね、“ふたりの秒針”で初めてラブソングを作って、アップテンポのラブソングをひとつ用意したいというのもありましたし、“ふたりの秒針”は博愛的というか、どれだけその人のことを思って、そういう気持ちになったか、感謝の気持ちだとか温かいものが根底にあるんですけど、“君がいいんです”はどっちかというと、自分勝手というか、好きだからこそ芽生える独占欲、支配欲みたいなものも込みで作った曲ではありますね」
――それは実体験としてあるとか?
「友達関係とかでも、自分以外の人と話してる人のモヤモヤだとか、今付き合ってる人はこの人じゃなきゃつるむ意味がないだとか、この人だからこそ音楽で切磋琢磨できるとか、そういう方が大学に入ってデビューしてからたくさん現れたので、その気持ちを素直に表した感じですね。どっちかというとダークなものは全く意識せずに、自分の感情に抗わない、そのとき幸せな気持ちだったら幸せに書ききるということをして書いた曲です」
――ラブソングが並んで、その後の“グリンプス・グランパ”は攻撃的というか。
「曲の順番的に“君がいいんです”“ふたりの秒針”が続いて、ここで何かソフトな曲を持ってきたら、ポップな曲に仕上がって終わりになるなと。“グリンプス・グランパ”を入れてスパイスを加えてみました」
――スパイスですか?
「グリンプスは一瞥するという意味で、直訳すると『ジジイを一瞥しろ』みたいな意味なんですけど、それぐらい年功序列に抗った曲。まあ実体験でもあります。ほかの人が共感を得られるものではない実体験だと思うので、共感を得る気は毛頭ないと言い切りました」
――次の“青い疾走”も中学生ぐらいの思い出でしょうか。
「元々野球が嫌で、長嶋茂雄さんと同じ誕生日というだけで野球をやっていて、反骨心もありつつ、高校ぐらいに、たまたまある野球チームの練習を観たんですよね。そうすると、あの頃は野球は嫌で仕方なかったんですけど、それなりに熱意を持ってやっていたというか。苦手だけど手を抜くようなことは絶対に自分はしなかったので。俯瞰主義の自分を恥じたというか。もっと熱くなって当事者になって、行動できるような、あの頃の自分のような気持ちで音楽に挑みたいと思って書いた曲です。音楽のあり方というのも、これを機にちょっと変わったんじゃないですかね。友達は相変わらずいなかったですけど、友達がいなくてもできることはたくさんあるし、熱意を持って音楽をやろうと思いました」
――これはライブで歌ってましたけど、反応はどうでしたか。
「この曲はいまのところライブ映えが1番する曲というか。コールアンドレスポンスの部分もありますし、歌詞的にもいい意味でポピュラリティがある曲だなと思うので、これからもたくさん歌っていきたい曲ですね」
――“夢負い人”は“青い疾走”とつながる所もありますか?
「時期的にも近い所があるんですけど。この『負い』という文字が、元々は『追い』の文字で、歌詞の内容も今とは大幅に違って。でもタイアップ(TVアニメ『闇芝居 四期』エンディングテーマ)をいただいて、曲の見方が変わったというか、自分が持つ夢像みたいなものが少し変わっていって。昔は追いかけるだけのものと思ってたんですよね。どれだけいろんなものを犠牲にして切り離して、身軽になって速く走って夢に追いつけるかみたいな曲だったんですけど、今はどっちかというと、いろんな人の期待だとか要望だとか、自分のやりたいこと、自分の未来とかいろんなものを背負い込んでいる。前と別な視点で夢というものを見ている自分がいて。そういう相反したふたつのワードが混在しているテーマというのが夢だと思うので、そこを曲にしました」
――“夢負い人”のタイアップアニメ『闇芝居』は随分怖い内容ですけど、どうですか?
「ホラー苦手なんです。本当にダメで。豊島園のお化け屋敷は全く怖くないと評判なんですけど、トロッコに乗っていくんですけど、トロッコ壊してでも戻りたいぐらいダメなんです、だから今回タイアップに向けて曲を作るのにDVDいただいたんですけど、見るのが恐怖でした。歌詞を書き直すに当たって絶対見なくちゃいけないんで見たんですけど、まあ……」
――(笑)でも見たんですね。
「父親を道連れにして。父親も震え上がってましたけど」
前の作品を批判したくない。あの時もっといいものができたとか、この作品に関しては全く抜きにしようと思って
――この12曲で焚吐さんの人生が描かれているのかと思いますけど、手応えは。
「最新作を作り終えて、次の制作に取り掛かる時に、前の作品を批判したくないんですよね。あの時もっといいものができたとか、もっといいもの作るべきだったみたいに自分を責めてしまう時もあるんですけど、この作品に関しては、全く抜きにしようと思って。今も新曲を同時進行で4曲作ってるんですけど、それを作り終えてもなお、この作品は批判したくないなというか。間違いなく自分ができるベストを尽くしたと思いますし、これを糧にして自己肯定して、自分らしく進んでいけたらいいなと思います」
――最新の曲から始まって、一番初期の曲で終わるという流れもいいですね。
「そうですね、“ティティループ”で終わるのは自省的というより、どちらかというと未来への展望というか。今年の目標が自分らしく、であるので、自分らしさを問いかける曲で終われたというのは今年の活動に大いに繋がってくるんじゃないかと思いますね」
――今思う自分らしさはどういうところですか?
「今のところは、シリアスな曲をシリアスに書ききらないコミカルなところ。あとは声、褒めていただいたので、自分の声の良さを生かした曲作りであるとか、耳に引っかかりのあるメロディラインだとか。あとたくさんのクリエーターの方とのコラボだとか。一辺倒じゃない音楽の出し方が出来るのが自分の強みだと思うので、2017年はそこを磨いていきたいですね」
――この作品で総括した焚吐さんの10代はどうでしたか。
「そうですね、とにかく激動の10代でしたね。他者否定から始まり自分を責めて、一時期は本当に内向的な曲しか作れなくなって、中学校時代はいじめられたこともあって内向的な曲を作って、高校時代は他人から干渉されることもなかったけど、その虚無感だとか、過去に詰まった怨嗟を生産したいとか、過去に囚われた一面が高校時代は強くて。大学になってやっと開けたというか。デビューもして大学に入って友達もできて、ある種幸せな人間になれたので」
――以前の焚吐さんと同じようにコミュニケーションがうまく取れなくて困っている10代もいると思うんですよ。そういう人たちに焚吐さんの曲が届くといいなと思ったりします?
「それが一番と言っていいんじゃないですかね。自分と同じように10代で人間関係とか家庭環境とか、そういったゴタゴタに悩まされてきた人が1番刺さるというか。たくさんの年代の方に聴いていただきたいというのはあるんですけど、やっぱりその世代に刺さらないと、自分的には意味がないというか。どれだけ厨二だとか言われても、そこに刺さるような音楽を作っていきたいですね」
――そこは20代になっても変わらない?
「そこは今のところ変える気はないですね」
ミュージックビデオ
リリース情報
![初回限定盤](/contents/feat/takuto_201702/img/disc01.jpg)
![通常盤](/contents/feat/takuto_201702/img/disc02.jpg)
1stアルバム『スケープゴート』
2017年2月8日(水)
【初回限定盤】JBCZ-9049 ¥3,900 (tax in)
【通常盤】JBCZ-9050 ¥3,000 (tax in)
<収録曲>
1.ハイパールーキー
2.僕は君のアジテーターじゃない (1st EP 収録曲)
3.黒いキャンバス (新曲)
4.オールカテゴライズ (1st Sg / アニメ『ヤング ブラック・ジャック』エンディングテーマ)
5.君がいいんです
6.ふたりの秒針 (2nd Sg / アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ)
7.グリンプス・グランパ (新曲)
8.青い疾走 (タワーレコード池袋店 限定シングル収録曲)
9.夢負い人(新曲 / テレビ東京『闇芝居 四期』エンディングテーマ)
10.クライマックス(1st EP 収録曲 / TBSテレビ『CDTV』10月度エンディングテーマ)
11.彼方の明日 (新曲)
12.ティティループ (新曲)
<初回盤 DVD収録曲(順不同)>
オールカテゴライズ MV
子捨て山 MV
ふたりの秒針 MV
てっぺん底辺 MV
人生は名状し難い MV
クライマックス MV
僕は君のアジテーターじゃない MV
ライブ情報
「リアルライブ・カプセル Vol.2」
日程:2017年2月25日(土)
会場:大阪・心斎橋 ヒルズパン工場
開場 / 開演:17:00 / 17:30
お問い合わせ:サウンドクリエーター 06-6357-4400
日程:2017年2月26日(日)
会場:名古屋・ell.FITS ALL
開場 / 開演:17:00 / 17:30
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
日程:2017年3月5日(日)
会場:東京・SHIBUYA WWW(東京)
開場 / 開演 16:15 / 17:00
お問い合わせ(問)HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999
チケット
スタンディング 3,000円(税込)
※ドリンク代別途必要。
※未就学児入場不可。
一般販売中
「Coming Next 2017」
日時:2017年3月23日(木)
15:00開場/16:00開演(予定)
会場:豊洲PIT
出演:Ayasa/井上実優/エグスプロージョン/カノエラナ/The Idol Formerly Known As LADYBABY/Jin-Machine/瀬川あやか/焚吐/DEVIL NO ID/BAND-MAID/Beverly/Flower Notes/BOYS AND MEN/BOYS AND MEN研究生/Maison book girl/山﨑彩音/UNIONE/ラックライフ
観覧:抽選で1,700名様を無料招待
観覧応募受付期間/2017年1月11日(水)~2月16日(木)
受付先/ComingNext特設サイト http://www.comingnext.jp/
提供:ビーイング
企画・制作:RO69編集部