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ちゃんとJ-POPのシーンに入っていけるものにしたいなと思ってます。あくまで精神論で「ロックだねえ」みたいなことはかっこいいとは思うんですけど
──(笑)アルバムの曲の中で言うと、この"さよならのかわりに記憶を消した"っていう曲なんて、まさにその植田真梨恵らしさが爆発した曲で。
「ありがとうございます」
──これと"支配者"の2曲はアルバムの中でも突出しているよね。
「嬉しい。これは昔からある曲なんです。このアルバムの中で一番古い曲ですね。2008年ぐらいかな。その時から大事にライヴでは歌っていたんですね。そして、いよいよ収録となって、グランドピアノで録って。で、アルバムの最後に入れようと思ったのは、これが一番単純に座りがよいのと、"Intro"からラストまで、すごく良い感じで繋がるものにしたいなと思って」
──そう。曲のバランスとか流れも非常に良い。
「10曲ぐらい出揃っていて、もう日付的にギリギリだったんですけど、無理言って3曲書かせてもらったんです。かなり時間もらって。それでアルバム全体のバランスを考えたっていうのはありますね。曲で言うと"昔の話"と"泣いてない"と"Intro"を足したんですね」
──今更なんだけど、この作品を聴いて、あらためて植田真梨恵はアルバム・アーティストなんだなって思いましたね。
「私、アルバム作るのが楽しかったです。曲を書く度に『これはアルバム曲だな……』っていう曲ばかりが増え続けていく、辛い10代を送ったので。1枚のアルバムにこれは入れたいみたいなことを結構思うんですよ。だからそうかもしれないです。あとは自分が好きなアーティストのライヴを観に行って、たまたま挨拶していいことになってCDを渡すってなった時に、今までは渡せるものがなくて。『私のアルバムなんです』って渡すとしたら渡せないと思って。100%これなんですっていう気持ちで作ったものを渡したいなとずっと思っていたんですよ」
──それがこれなんだ。
「そうだと思います。初めて渡せます」
──ここに来るまでに、かなり時間はかかったよね?
「はい」
──そこには意味があったと思える?
「思いますね。ちゃんと地に足をつけて、1個1個決めてきたのはすごく大きいことなので」
──以前インタヴューしたときに、「女性シンガーソングライター」っていう括りがちょっと苦手なんですっていう話をしていたんだけど、このアルバムが出ることによって、そういう括りからも解放されていくのかもね。
「だと良いなと私も思います」
──たとえば、CDショップとかで、このアルバムをコーナー分けするっていう時に、どこのコーナーに置くのが一番正しいと思う?
「J-POPですね。私は高校生ぐらいから、ロックがかっこいいと思っていたんですけど、それまで物心ついた時から、私が口ずさんできた曲ってJ-POPなので。たとえば日本のロックバンドでも、ちゃんとそこに切り込んで、J-POPのシーンでも活躍できる人が私は好きなんですよ。たとえば90年代後半とかに、全然ロックなのにすごくポップなことをしているかっこいい人がたくさんいて。なので私も本当にカラオケで歌ってもかっこいい曲にしたいなと思いながら作っているので。だからちゃんとJ-POPのシーンに入っていけるものにはしたいなと思ってます。あくまで精神論でロックだねえ、みたいなことはかっこいいとは思うんですけど」
──だから初めの話にちょっと繋がるかもしれないんだけど、何か守りに入って、今言ったみたいにこれをやっちゃダメ、あれをやっちゃダメみたいに、私の守れる武器はここなんだからこれしか嫌だっていうスタンスでアルバムを作っていたら、やっぱりこういうアルバムにならないじゃない。届けたい人にちゃんと届けるっていうスタンスで、尚かつポップでしっかりとしたものっていうスタンスになったからこそ、昔だったらちょっと敬遠してたような言葉だったりメロディだったりみたいなものを、ちゃんと1stアルバムの中に入れられたっていう感じはする?
「そうですね、うんうん。もう本当に好き嫌いの判断しかみんなにないので。私ももちろんそうです。なので、私が好きっていうものでまずきちんと出してないと、ちょっともうそれ以上話できないっていう気持ちになるんで。もう本当に音楽なんてその極みじゃないですか。好きな人が好きなだけ聴くから。それがもちろんね、いろんな人に響けば尚良いですけどねと思いながら。私はすごく好きです」
──ただ僕はひとつだけこのアルバムには注文があって。1曲、これぞ植田真梨恵のラブソングだっていうのが聴きたいんだよね。まだこのアルバムには入っていないんですよ。
「足りないですか?」
──足りない。でも絶対に書けると思うんだけど。
「だいぶ腹割ったんですけど」
──(笑)それこそJ-POPシーンに刺さる、大名曲が書ける人だと俺は思うんで。それをやって下さい。
「わかりました。すぐね」
──うん、今年やって下さい。
「ははは。オッケー。じゃあそれを今年の目標にします。ずっと訊かれてたんですよ、今年の目標なんですかって。もっと頑張りますとか言ってたんですけど。それでいきますね」
──シングル2枚出して、1stアルバムっていう、メジャーな展開も1サイクルしたかなっていう感じなんだけど。自分が想定してた場所に今いるのか、良い意味で違う場所にいるのか。
「もっと広まるように頑張ろうとは思っています。アルバムももっとみなさんに届くといいなって思ってるし。そこで届いたら私としてはやれることをやっていると思っているので」
──まだまだやれるっていう余白もあるしね。
「そうですね」
──植田真梨恵はこんなもんじゃないですよっていう。
「そうですね。『こう行きたいです』っていうふうに、みなさんにちゃんと少しずつ見せていけたらいいかなと思っていますね。その中でアートワークも含めて、ちゃんとこっちこっちっていうふうに今作っている段階なので。次、その次とかもめっちゃ大事やなと思うので。ラブソング、頑張ります!」
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