クアイフ メジャーデビューが彼らにもたらした気づき、そして最新作『愛を教えてくれた君へ』を語る

現状とやってることがちゃんとリンクしなければ、夢は叶わないなと思ったって(内田)


――極論してしまうと、“愛を教えてくれた君へ”って、「クアイフにしか作れない音楽」であると同時に、「誰が歌ってもいい曲になる」っていうことだと思うんですよ。それこそ“organism”っていう曲は、クアイフが歌って演奏しないと成立しない曲だけど、“愛を教えてくれた君へ”は誰のものにでもなり得るというか。そういう違いなんだろうと思いますね。

内田 そうですね。僕らの手から離れたら、もうリスナーの人たちの曲になってて。すごく簡単に言うと、僕らも売れたいからこの場所に来ていて。「売れたい」と思ってやってきて、その未来と今が合致したからここにいるわけで。その現状とやってることがちゃんとリンクしなければ、夢は叶わないなと思ったっていうのがあって。最終的に、どこまでリスナーのものにできるか?っていうことが大事だって思ってるんですよね。だから、主観が強すぎるとダメだし、でも主観がないとダメっていう。

――そうやって楽曲を「リスナーのもの」として手放してあげるためには、曲そのものがよくないといけないし、「これはいい曲だ」って思わせるだけの「いい歌」がそこにないといけないわけで。特にこの曲に関しては、森さんがシンガーとして要求される部分が大きかったと思うんですけど?

森 「シンガー」っていう意識も、自然と変わってきたなって。もともと私、あんまり「自分はシンガーだ」っていう感覚が別になかったっていうか……たとえば楽器を弾いてなくても、「私は歌うために生まれてきた」みたいな人っているじゃないですか(笑)。もちろん歌も自然と好きだったし、自分を表現するものとしてピアノもあるし歌もあるし、っていう感じで思ってたんですけど。歌への入り込み方が――この曲もですけど、最近は前よりいい感じでできるようになってきたなって。昔は結構主観で「自分が今こう思ってるから、こういう曲を作りたい!」っていうのがメインだったんですけど、それがだんだん変わってきて。それこそ内田が女性目線で作った曲が――“snow traveler”とかもそうなんですけど――私が作った曲じゃなくて、しかもストーリー性があって、ってなると、そこに入り込むのって大事じゃないですか。それが前より、本当に自然にできるようになったので。

――特に“愛を教えてくれた君へ”は、アンサンブルが歌に集約されていくような音作りなので、森さんのシンガーとしての存在感が際立ってますよね。「自分はシンガーっていう感覚があまりなかった」って聞いて、逆に驚いたんですけど。

森 ほんとですか? いや、そんなこともないんですけど、もっとそういう人っているんじゃないかなと思って。私自身、ピアノは4歳からやってきて当たり前のことで――「曲を作りたい」っていう気持ちが結構強かったんですね。だから、自然とそこに乗ってくる声、みたいな感じで。「私はステージで歌いたい!」っていう感じではないというか(笑)。シンガーソングライターで活動してた時期もあったし、その時は結構パーソナルなことも歌ってたんですけど……なんでですかね? 謎ですね(笑)。昔は「この気持ちをわかって!」みたいな感じだったのが、今はちゃんと音楽として、「あなたに伝えるためにこう歌おう」みたいな感じになってきたんだと思いますね。

内田 でも、自分らの歌をカラオケで歌うと、「……よく歌ってんなこれ!」と思いますね(笑)。

森 それがだから、さっきの素材の話じゃないですけど、「難しすぎて、他の人が歌ったら良さが伝わらない」みたいな過去の曲がいっぱいあると思うんですけど(笑)。それでカッコいいバンドとかアーティストはいっぱいいるし、そういうのが好きだったりもするけど、自分たちはそれだけじゃいけないなって。むしろ、自分たちで演奏してないカラオケのサウンドで、他の人が歌ってる時でも「何これ! めっちゃいい曲なんだけど」ってなる曲の良さが大事だなって――この間メンバーでカラオケ行って思いました(笑)。

自分らのやりたいことをやるためにも、大きなステージに立ちたい(内田)


――来年2月には東名阪ワンマンツアーが控えていて。東京は初のLIQUIDROOMですね。

森 今までより急にキャパが上がるんで。マジで気合い入れていかないと!って思ってます。

――僕個人的には、ポテンシャルとしてはまだ全然、ホールでもアリーナでもどんどん行けるバンドだと思っていますので。

内田 ありがとうございます。結成3年目ぐらいの時に名古屋の、キャパ300くらいの円形のホールで、生ピアノとドラムとベース、そこにストリングス隊も入ってもらってライブをしたことがあって……結構それが、自分たちにすごくしっくり来たワンマンライブだったんですよ。その時の感覚が今も残っているので、そういうバンドの姿をたくさんの人に見せたいから上に行きたい、みたいな――自分らのやりたいことをやるためにも、大きなステージに立てたらいいなと思ってます。

――これからも楽しみにしてます。その大舞台にYU!YU!YUKIHIROさん(クアイフのライブにも登場する、謎のレジェンドDJ★YU!YU!YUKIHIRO)を連れて行くかどうかの判断はお任せしますので。

森 はははは! 今度のワンマンは出ますよね?

三輪 ……いや、わからんけどね(笑)。

森 今は抑えてるんですよ。あんまり出しすぎないようにしてるんで、飛び道具を(笑)。

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