武道館ワンマン目前! GLIM SPANKY、ライブに懸けるもの、そして最新作『愚か者たち』を語る

常にロックとして、今いる場所で攻めてることをやる(亀本)


――そういう意味での「禁じ手のなさ」は、『BIZARRE CARNIVAL』で自分たちの音楽的なボキャブラリーを一回解放できたからこそなんでしょうね。だからこそ迷いなく「わかりやすくディストーションペダル踏んだっていいじゃん」って思えるわけで。

亀本 そうですね。「これはマズい」とかもあんまりなく、「この曲にはこの方がいい感じになりそう」っていうことが普通にチョイスできてる感じがするので。どこにでも行けるし、どれをやっても踏み外したようなことにはならない、っていう感覚は今あるので。すごく曲が作りやすいというか。

松尾 逆に、始めからいろんなところに手を出しておいてよかったなって(笑)。私たちは結構、1枚目(『SUNRISE JOURNEY』)の時に「ロックなら何でもいい」と思ってやってたんですよ。サウンド的な幅をすごく広くしてたので、「この曲はGLIMらしくないな」って言われることはたぶん、あんまりないと思うんですよね。自由な振り幅があってよかったなって、今回のツアーをやって改めて思いましたし。で、サイケなアルバムの曲をやった後で、“愚か者たち”みたいな曲を出しても、みんな受け入れてくれるっていう不思議(笑)。それがすごく楽しいですね。

亀本 でも、さっき「ロックなら何でもいい」って言ってたんですけど、ロックじゃなかったらダメなんですよね。他の何であろうと、ロックからハミ出したら絶対にいけない、っていうところだけは今もずっとあるし、それは一生変わらないと思うんです。なので、お客さんも「ロックだったらいい」っていう人……だよね? たぶん(笑)。

松尾 たぶんそう。「ロック全般が好きなお客さん」みたいな(笑)。でもその中には、GLIMの激しい曲だけ好きな人がいてもいいし、優しい曲だけ好きな人がいてもいいし。だからきっと、ちっちゃい子は4歳とかから、70歳ぐらいまでのお客さんまで来てくれたんじゃないかなと思うんですよね。

――今にして思うと、1枚目の『SUNRISE JOURNEY』と2枚目の『Next One』って、音楽シーンっていうアウェイの場所にGLIM SPANKYのロックで攻め込みにいった作品だったと思うんですよね。だけど『BIZARRE CARNIVAL』は、音楽的な冒険もルーツも全開放して、自分たちの音の居場所を作ったアルバムだと思うし。だからこそ、あのアルバムを作れたことは重要だったなあっていう。

亀本 それはすごく大事だなと思っていて。僕らは最初の頃は「他のバンドと違わない」ように聴こえることも大事だったというか。でも今は、他のたくさんのバンドと並んだ時に、「どれだけおかしなことになってるか」っていうことをGLIM SPANKYがやるのが大事だなと思っていて。この間のCDJ(COUNTDOWN JAPAN 17/18)とかでも、普通に“THE WALL”とか“アイスタンドアローン”とかやってるんですけど――バラードだったら他のバンドでも遅い曲はあるけど、ロックチューンで遅い曲を、フェスのステージの最初と最後に持ってくるバンドって同世代ではまずいないし、それがポジティブに働いてるなと思っていて。「GLIM SPANKYはこういうもの」っていう存在として認知されて、そこに突っ込んでいってる感じはするんですけど、より確固たるものにしていくには、さらに明らかに違うっていうものにしていかないといけないなって思うし。

松尾 その、最初の頃の「他と並んで同じに聴こえるように」っていうのは語弊があるんだけど……私たちもみんなと同じく、「他のバンドとは違うことをやってる」と思ってるんですよ。でも、たとえばラジオとかメディアとかで流れた時に――私が好きな60年代風の、音圧はないけどすごく生々しくレコーディングされてるような音にすると、聴けない人が出てきちゃうんです。だから、「ちゃんと違うこともやってるんだけど、他と並んだ時にもちゃんと衝撃のある曲」っていう意味での「違和感がないように」っていうことなので。

亀本 でもそれはさ、音的なことだけじゃないんだよ。スタンス的な問題もあるんですよ。デビューしてサクセスしていく中で――デビュー前は僕らはBPM三桁の曲ってほぼなかったんですけど、それがいきなりBPM=160とかの曲をやるっていうのは、ある意味「攻めてた」ことだったんですけど。でも今、テレビとかフェスに出るようなバンドになった中で、そういう曲を連発しても、それって攻めてないわけじゃないですか。だから、常にロックとして、今いる場所で攻めてることをやろう、っていう感覚でいる――っていうことが言いたいんです(笑)。

健全にロックしてるなって(笑)(松尾)


――先日のライブの後にも話しましたけど、“NEXT ONE”“アイスタンドアローン”の重厚な流れでライブ本編を締め括るバンドは、まず他にいないと思いますよ。

松尾 (笑)濃ゆいですよね。最後にブチ上がり曲を持ってくるのが気持ちいいのかもしれないけど、関係なくやるっていう(笑)。最初に意思表明をしたものを、最後にも持ってきて、とどめの一撃を――っていうのを、最近はライブでも表現できるようになってきました。

――5月12日には初の日本武道館ワンマンに挑むわけですが。今の心境は?

松尾 武道館に関しては、今は特に思うことがなくて。「楽しみだなあ」って(笑)。それよりも、次のアルバムだったり次の作品に、どれだけ自分がワクワクできるかなあっていう――今はそれで頭が支配されてますね。結構クリエイティブなモードです、今は。ツアーも楽しかったし、「ちゃんとミュージシャンとして生きられてるな」っていうのが実感できてる期間ですね。ロックミュージシャンがこういうことを言うとつまらないんですけど……健全にロックしてるなって(笑)。健全に表現して、クリエイティブに生きていられているなって。決してそれをぬるま湯だと思わず、常に挑戦していきたいなっていう気持ちですね。

亀本 もちろん武道館はすごく楽しみなんですけど。ひとつしんどいなあと思うのは――今回このシングルを切りますけど、ツアーでやった曲までで構成しなきゃいけない、っていうのが大変ですね。「新しい曲を作って、今度はこういう見せ方をしよう」っていうことができないんで、今あるものの中で、ツアーと違う見せ方をする、しかも武道館で!っていう(笑)。

松尾 高校1年生の時にGLIM SPANKYを組んで、去年で10周年になって――今年11周年なんですけど、去年何もできなかったんで。自分たちの10年の歴史も見えるけれども、「全然スタートだぜ!」っていう気合も見せられるようなライブにしたいなって思ってますね。

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