『ONE PIECE』の劇場版の主題歌にWANIMAの新曲“GONG”が決定! WANIMAにとっても『ONE PIECE』にとっても最高の組み合わせだ。ご指名を受けたKENTA(B・Vo)、KO-SHIN(G・Cho)、FUJI(Dr・Cho)の3人は、あの『ONE PIECE』の世界観とメッセージにしっかりとロックの魂と熱を注入して、WANIMAらしいエモいサビと土着的な節回しもうまく活かして、渾身の一曲にみごと仕上げてきた。今を代表するロックバンドとして、『ONE PIECE』と互角に渡り合えるパワー感を放つ曲だ。
その“GONG”と、三ツ矢サイダーのCMタイアップ曲“夏のどこかへ”、そしてさらなる新曲“サンセットストリップ”と“Mom”の全4曲をコンパイルしたシングル『Summer Trap!!』がリリースされた。
“サンセットストリップ”はWANIMA定番のエロ曲の最新版で、曲のハイブリッド感も歌詞の変態ぶりもトリッキーな歌と演奏の完成度もハンパない域に達している。
もう1曲の“Mom”は、KENTAが昨年の5月に亡くなったおばあちゃんを思って書いたミドルのロックバラード。おじいちゃんを書いた“1106”のように、KENTAにしかわからないはずの思いや光景が、聴く者の心の中に痛いほどに広がる、そういう歌だ。全4曲のすべてを、3人に訊いた。
なおこのインタビューの完全版が発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』8月号にて掲載中なので、ぜひそちらもご覧いただきたい。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=オノツトム
みんなが夏のどっかで聴けるような、とにかくスカッとした曲っていうのから作っていきました(KENTA)
――まずは1曲目に収録されている“夏のどこかへ”。三ツ矢サイダーのCMソングになっていて、非常にいい曲。
KENTA あ、ほんとですか。嬉しいなあ。
――そして、すごく新鮮な印象がありました。これは、どんなふうにして生まれてきたんでしょう?
KENTA 幼い頃から飲んでた三ツ矢サイダーのCMのオファーがきて。で、去年の年内に仕上げないといけないというので、去年最後に作った歌ですね。みんなが夏のどっかで聴けるような、とにかくスカッとした曲っていうのから作っていきました。
KO-SHIN この曲は、ザ・WANIMAみたいな、代表的なとこもありつつも、歌詞に新しいとこも含まれた、なんていうんだろ、今までのWANIMAがありつつの、ニューWANIMAみたいな。これからのWANIMAの一歩になるんじゃないかなって思います。
――なるほどね。同感です、俺も。
KO-SHIN ありがとうございます。
FUJI こういうスカッとした曲って、意外とWANIMAになかったんですよね。で、今回、夏っていうタイミングと、三ツ矢サイダーのお話と、全部がカチッとハマって、でき上がっていった感じはします。
――三ツ矢サイダーのCM曲で、あの曲調でしょ。なんて爽やかなんだろうって、まずは思ったんだけども。
KENTA はじめてWANIMA聴いた人は、この曲聴いて、アー写見て、がっかりすると思うんですよ。
FUJI 「おまえらかい!」みたいな(笑)。
――もっと激アツ、激辛にしないとWANIMAじゃないんじゃないか、みたいな迷いはなかった?
KENTA うーん、それよりは、夏にいろんな人がいろんなシチュエーションで聴くような曲になってほしいし。夏の勢いでやりきれたらいいなあって思うし。
――でも歌詞はよくよく聴くと、重く暗いパートのほうが多かったりする。要するに、この爽快さを支えている毎日に、重さや苦しみや痛みがあって、その比重はむしろWANIMAのほかの曲より多くなってる。そこが、KENTAだなあっていう感じがしました。そのへんに関してはどうでしょうか。
KENTA ああ、悩んでいなかったら、もっと温度を感じない曲になってたと思うんですけど。そういう、毎日のいろんなことが音になっていったっすね。
――逆に言うと、そこはブレないぞっていう部分なのかな、やっぱり。
KENTA そうですね。「1CHANCE NIGHT」っていうツアーで各地を回らせてもらって、それがより強くなったんですよ。やっぱ僕たちを待ってる人がいて、はじめてライブに来る子たちもいて。僕らを、そういう子たちとつなげてるのはやっぱ音楽だったんですよね。そこで、もっと音楽で支えていきたいなっていうのがあって。そこらへん再確認できたのはよかったですね。
――どうですか、リアクションとかは。
KENTA あ、「WANIMAだ!」って気づいてくれたのは嬉しかったですね。
――気づくよ、そりゃ(笑)。
KENTA 「誰かわかんないけど」じゃなくて、「WANIMAやん」ていうのが、嬉しかったです。
――じゃあ、自分としては違うギアを入れたっていう曲なんだね。
KENTA わかりやすくっていうのは思いました。あと、WANIMAの3人じゃできなかった気もしますね。三ツ矢の方たちの思いもありましたし。こう、夏の1曲を作りたくて。でもサザンとTUBEには勝てないなって(笑)。
――時代時代にあるもんね、商品にも曲にも、夏のイメージが出てるっていう。
KENTA 僕らの前がサザンだったんですよ、三ツ矢のCMソング。メンバーの方たちが三ツ矢(サイダー)飲んでて、すごい印象的だったので。今回僕らもCM出れるかなと思ったんですけど。ビジュアル的に無理だった(笑)。
――「それは結構です」っていう(笑)。
KENTA はい。(広瀬)すずちゃん(笑)。
FUJI 正解!
――優秀なスタッフですね。
KENTA さすがだなあって(笑)。
ルフィに学んだこともあって、とにかくかっこ良くドン!!と、自分たちが思う音楽だったり、ロックの美学を、音に変えられた気はしたんすね(KENTA)
――次は“GONG”。『ONE PIECE』の主題歌。
KENTA はい。
――「ついに来た!」っていう手応えがあったんだけども。これはどんなふうに決まっていったんでしょう?
KENTA ずっと読んでた『ONE PIECE』ですから、決まった時はチームですごい喜んだのを覚えてます。どう作っていくかの向き合い方が、結構激しかったですけど。『ONE PIECE』の世界観を読み直してやっていきました。
――制作はわりと順調だったの?
KENTA あー、4、5曲あった中で、何回もスタジオで合わせながら、自信持ってグッてくる場所を探しながらでした。その中でキャラクターが頭ん中で浮かんだりとか。そうした時につながったとこもあったので。なんか……『ONE PIECE』の世界観にいたくらい(笑)、入り込んでた時期もありました。
――それ、苦しいけど最高だよね。
KENTA そうなんです。31になって、こんな経験そうないなあと思いながら。でも浮かれてたわけじゃないんすね。
――KO-SHINはどうでしたか? 曲作りは。
KO-SHIN Aメロがまずあって、「これは来たぞ!」って。今まで歌からはじまるタイアップ曲が結構あったんですけど。これはイントロからはじまって、結構新しい感じだなと思って。
――これも、今までのWANIMAにはなかった、挑戦的な曲だなって思うんですよ。イメージとしては、かっこいいロック。意外となかったよね、今まで。
KENTA そうですね。
――今までは、すごくリアルな、みっともない部分や、ちょっとおどけた部分が顔出したり、そういう形でWANIMAらしいキャラクターを出してたけど、この曲はあんまりそっちにいってない感じがした。
KENTA ルフィに学んだこともあって、今回はブレずに、自分たちが信じてきたことを音に出そうって。とにかくかっこ良くドン!!と、自分たちが思う音楽だったり、ロックの美学を、音に変えられた気はしたんすね。
――で、一番すごいなあと思ったのは、繰り返されるサビの強さっていう。どうでしたか、あれできた時。
KENTA どこ切り取っても熱が伝わればいいなって信じてやりました。サビはじまりなのかなって思うぐらい、Aメロも強くしたいなっていう。
――そしたらなんと、いわゆる大サビというか、すごいサビが出てきて。
FUJI それ、実際に思いました。
――あ、そうなんだ(笑)。
FUJI 「あ、こっちか!」みたいな。
――歌詞に込めた思いを、言葉にできますか。
KENTA ……まあ、僕たちがずっと歌ってきたことと変わらないっていうか、僕が変わってないので。結局、もう歌詞の通りなんすけど。ためらうことなく、ど真ん中を最後は突きたいよなっていうのがあったので。迷ってる人や苦しんでる人の、最後の支えに、力になればいいなっていう思いがあって。
――素の自分ならなかなか言えないようなことが、『ONE PIECE』によって出やすくなったっていう感じ?
KENTA キャラに焚きつけられたとこも若干あったりしたんすけど。そうですね、『ONE PIECE』の話がなかったら、キャラクターが頭に浮かんだりとかはしてないかもしれないです。
――今までKENTAの中にあったはずなのに、歌わなかった1行が出てきたと思うんだよ。それは、《強くなって守りたい仲間がいるから》という歌詞で。
KENTA はい。僕を知ってる人だったらわかると思うんすけど。結構こう、心配性でせっかちで、ネガティブなとこが多いので。俺が強くならな、この曲をなんとかして完成させないと、出会えない奴らもたくさんおるんだろうなとか。あと、ツアー先でのお客さんの雰囲気だったり、そういうのがプラスされてできたので、そういうとこにたどり着いた感じですね。なんか、強くならんとなって、俺が。その、今作ってる俺がっていう感じですね。
――なるほどね。俺が強くなってみんなを助けに行くヒーローにならなきゃとか、そういう意味ではなくて、弱い自分じゃダメなんだっていうニュアンス。
KENTA そうですね。なんとかたどり着きたい場所があったというか。それが曲の完成だったり、出会ってない奴らに出会うだったり。この曲ができないと、この曲をみんなの前で歌えないし。届けたかったのはあったっすね。
――こういう曲の強さって、評論家とかライター、レコード会社の人より、誰よりも一般の人々がよくわかるからね。
KENTA はい。
――おめでとうございます。
KENTA 山崎さんがそう言ってくれるだけであと1、2年は頑張れそうです。
――短けえな(笑)。
KENTA ははは。