エロの音楽を知らない子とかにも、なんのこと言ってるかわからんけど楽しいよなとかって、もう1回音楽して欲しい(KENTA)
――そして、2曲目になるんだけど、“サンセットストリップ”。これはいわゆるエロ系に属するんだけども、また今までと違う感じが出ていて。こんなこと言うのも変だけど、エロソングとしてのレベルアップというか。
KENTA そうやって言っていただけると嬉しいですね。やっぱエロも自分たちの中で更新して、成長して。
――演奏もアレンジも曲も、言葉のフローの詰め方も、すごいですね。これはどのように生まれてきたんでしょう?
KENTA “夏のどこかへ”と“GONG”がどしっとしてるぶん、みんなでラフに音楽できる、WANIMAの音楽のもう1個の楽しさを知って欲しいっていうのから。自然と体が動き出す、自然とイメージが膨らむような曲になればいいなと思って作りました。
――それでもやっぱ「音楽としてすごいとこ目指そうぜ」みたいな志が、めちゃくちゃ込められてるよね(笑)。
KENTA でも面白いと思うんすけどね。
――まあJ-POPシーンでやってるわけじゃないですか。そうすると、サビのメロとわかりやすいメッセージと、雰囲気のあるボーカルがいてみたいなところで成立しちゃう感じがあって。そんな中で、このエロで、しかもエロのスペックを上げていくなんて誰もやってないっていうか。なんのためにやってんですか?って言われるような(笑)。
KENTA そうですね(笑)。
――そこに命を懸ける感じを、ちょっと本人たちから聞きたいですけどね。
KENTA まあ、驚かせたいっていうのと。「こんなんありなんだ!」っていうのは知って欲しいなというのと。……ほんとにみんな音楽できてんのかなっていう。なんか、雰囲気だけ味わって欲しくないなっていうのはあったので。これ、ライブの現場に来てもらうとわかると思うんすけど。こういうエロの音楽を知らない子とかにも、なんのこと言ってるかわからんけど楽しいよなとかっていう感じで、もう1回音楽して欲しい。
――でも、毎回エロソングに関しては、なんとなくシチュエーションが目に浮かぶわけじゃないですか。こういういかがわしい店が舞台だなあとか、おねえちゃんの部屋の光景だなとかさ。でも、これはなんかよくわかんないよね。
全員 ははははは。
――抽象的なエロになってきてる。
KENTA はい。1フレーズだけでも届いて、「え、なんて言うたん今?」みたいな。いろんなイメージが湧けばいいなと思ってますよね。
ライブに来た人には何も考えず、とにかく驚かせたいし、楽しませたいし、で、届けるとこは届けたい(KENTA)
――そしてラスト曲“Mom”。いわゆるバラードというか、ゆったり静かな曲で。これはーー。
KENTA これ、僕の母親代わりをしてくれたばあちゃんが、去年の5月に亡くなったんです。そっから作りました。
――そういう意味ではもう、そのまんまのストレートな歌なんだね。
KENTA そうなんすね。で、歌う必要ないって言われたら、そこまでなんですけど。“エル”“エム”“1106”とかもそうですけど、僕がこれを作ったおかげで次に進める、印みたいなとこがあるので。そこが、音楽あって良かったなって強く思う部分で。やっぱみんなも、WANIMAのお客さんの手紙に触れたりすると、あり得ない別れとかしてるんですよね。そういう人たちの気持ちもすごいわかったんで。出会うことよりも別れのことのほうが敏感になるような環境で生まれたし。今回も音楽に助けられたなって感じです。
――最後のほうで、《飛び出したあの夜も こじらせた風邪の時も/投げつけたあの茶碗も/褒めてくれたヘタクソな歌も/全てがあなたで全てがあなたへ》っていうさ。ほんとに、KENTAの思いをそのまんま言葉にした曲で。
KENTA そうなんですよね。
――ただ、これ聴いた人はみんな同じ思いになるというか。
KENTA はい。ばあちゃんに作ったとか、俺の思いを言っちゃうと、そういうふうにお客さんが聴いちゃうのは嫌だなと、言う必要ないなと思ったんですけど。でも、やっぱそういうことも僕は歌って、それぞれ思い浮かぶ人の顔は違っても、このタイミングで残しておきたかったんですよね、この歌を。
――いや、すごいシングルだな、これはほんとに。このラスト曲に関してはどうですか? KO-SHIN的には。
KO-SHIN まあ僕も、おばあちゃんは僕の母親代わりでもあったんで。
――育ててもらったんだよね。
KO-SHIN はい。
KENTA まあFUJIくんからしたら他人ですね。
KO-SHIN はははは。
KENTA ひとりだけ。顔も知らない(笑)。
FUJI 会ったことあるよ(笑)。
――疎外感(笑)。
FUJI 「お世話になってます」って。
KENTA 隣のおばあちゃんという形で。
――たまーにここ(KENTA・KO-SHINとFUJIの間)に線がサーッて入るよね。
KENTA ははは。たまにこう、アーティスト写真とか見ると、その線が見えるんすよね(笑)。
――ははは。
KENTA 若干お客さんも気にしてるっていう(笑)。
FUJI “アゲイン”のPVとかも、大変ですよ。その線しか見えない。
KENTA ははは。
――話を戻そう(笑)。
KO-SHIN あ、この曲、メロがあった時に、「こういう歌詞になるだろうな」っていうのが僕の中でもちょっとあって。ギターも、ちょっと変わったじゃないですけど。言ったらWANIMAの三大巨頭の中のひとつの中でも飛び抜けていけるような曲にしたかったっていうか。で、結果、一番上ぐらいの完成度になったと思ってますね。
――やっぱ、歌詞ができる前からそういうのがわかるんだ。
KO-SHIN なんかこのタイミングじゃないかなって。死んだタイミングも、もちろん知ってましたし。夏っぽくはないんすけどね。けどなんかこのタイミングだろうなっていうのは、ちょっと思ってました。わかんないですけど。
KENTA わからんのかーい。
――(笑)。いやあ、本物なんだね、曲が。
KO-SHIN そうなんですよね。「おばあちゃんに」ってなってるんですけど、これも不思議と聴いた人に置き換えられる曲ですよね。それもWANIMAの力なのかなって。
――俺ごときがまとめるわけじゃないけど、音楽は純度高く、ライブはものすごくエンターテインメント、遊びの要素もちゃんと引き受けていくっていう、そういう形でスケール感を増してると俺は感じるんだけど。
KENTA ああ、それは言っていただいた通りでもあるんですけど。やっぱライブに来た人には何も考えず、いろんなものを取っ払って欲しいっていうので、とにかく驚かせたいし、楽しませたいし、で、届けるとこは届けたいっていう。そういうのを大きいとこでも小さいとこでもやってると、いざ曲作りしよう、WANIMAの今できる力を出そうっていう時に、中途半端にはできなくなくなってきたんですよ。シングルの作品の4曲目やからとか、間の曲やからとかではなくて、こういうパターンはWANIMAやったらどうするかなとか、どういうふうにみんなを誘うかなとか考えると、いろんなスイッチが入るというか。でも、ライブは何も考えず楽しんで欲しいっていう。それが一番いい気がしてるんですけどね。