ちゃんみなが究極まで自身に向き合い生まれた『note-book-Me.-』と『note-book-u.-』。2作同時リリースの真意を語る

ちゃんみなが究極まで自身に向き合い生まれた『note-book-Me.-』と『note-book-u.-』。2作同時リリースの真意を語る

私の中に少なくともふたつの人格が在る。それは、MEとYOUというふうに分けるのがいちばんわかりやすかったんです


──ちゃんみなというアーティストの変化というか深化を感じる作品となりました。いつにも増して内省的でダークな印象ながら、自身の内面に向き合っているからこそ、むしろリスナーの共感という部分では、いつもより普遍的に届きやすい作品になってると思うし。すごく洗練された2作品だと思います。

「ほんとですか? ありがとうございます」

──今回『-Me.-』と『-u.-』と、4曲ずつの2作品に分けたのには、どんな意図があったんですか?

「今回はまず、私から『作品を早急に作りたい』という希望をレコード会社に伝えたんです。それで、まだリリースも決まらない段階でアメリカに行って、作って帰ってきて。これだけのものができたから出させてほしいっていうことで、形になった作品なんです。で、今回の作品を作っていくうちに実感したのが、私の中に少なくともふたつの人格が在るっていうことでした。それは、MEとYOUというふうに分けるのが自分にとってはいちばんわかりやすい感じだったので、それぞれ『-Me.-』と『-u.-』にして」

──なんとなく、『-Me.-』は純然たる「私自身」という感じがするし、『-u.-』は「あなた」という意味もありつつ、パブリックなちゃんみなを、ちゃんみなさん自身が見て描いているというイメージもあります。

「はい。そうですね。たぶんそれがいちばん近いと思います。別に人格が分離しているつもりはないんですけど、いつの間にか、そこにふたりの自分がいるって気づいて」

──そうしたテーマに深く向き合ってみて、どうでした? できあがったものの感触でいえば、決してハッピーな思考ばかりではなかったのかなと思うし、自身に向き合う思考は、「なぜ生きるのか」「なぜ音楽をやっているのか」という自問にまでつながっていったということも公式インタビューで語っていましたけど、その自問は、どう考えても明確に答えが出るものではないですよね。

「うん。そうですよね。でも、音楽をやらないっていう選択肢は、私にはそもそもなくて。だったら『なんでやってるんだろう?』っていうことが知りたくなったっていうか。もう20年くらい音楽のそばにいるわけだから、そろそろそういう疑問にぶち当たる時期だったのかもしれません。なんで私は音楽が好きなんだろう、何があったんだろう、みたいな。今までそこを無視してやり過ごしてきたんですけど、今回の作品を作るちょい前くらいから、『なんで好きなんだろうな』って深く考えるようになってしまって。うまく説明できないですけど」

「なんで私は音楽をやっているのか」という自分自身へのインタビューみたいなものを、しなければいけない時期だったんだと思います


──どうしてこのタイミングで、その本質に踏み込みたくなったんでしょうね。

「わかんないんですよ。でもたぶん、ずっとアジェンダにはあったんだと思います。私のなかの『自分なりの答えを見つけなきゃいけないものリスト』に。たとえば愛とは何か、友情とは何か──そういう、考えても答えの出ない『おばけはいるのか?』みたいな問いと同じで、正解はないけど自己に落とし込む作業をしなければいけない時期だったんだと思います。『なんで私は音楽をやっているのか』という自分自身へのインタビューみたいなものを。今までめんどくさそうだったから無視してきたのに……実際めんどくさかったです(笑)」

──その問いに対して、何か見えてきたものはありましたか?

「あの……結局DNAなんだんろうなっていうところに落ち着きました。とりあえず、21歳の私の答えとしては、きっとDNAなんだと。1歳半で歌手になりたいって言い出してから、一度も音楽を嫌いにならなかったし、音楽をやってない自分を想像できないままここまで来たっていうことは、DNA以外に今は考えられないです」

──そんな中で生まれた2作、全8曲。それぞれについて聞いていきたいんですけれど。まず『-Me.-』の1曲目。“ボイスメモNo.5”。この恋愛ソングにしても、ネガティブな予感を無視することができないっていうか、いつもとは違う感触で。

「そうですね。人間不信になってる感じ(笑)。なんか諦めてるっていうか。でもくよくよはしてない。どっちかっていうと自暴自棄に近い感じなんでしょうけど、この楽曲の内容としては、『やっべえ、どうしようもないやつとつきあっちゃったなあ』っていう。でも待てよ、私もどうしようもない人間だしなって(笑)。で、彼の欠点が私にはそんなに欠点ではなかった。私の欠点も彼にとっては欠点じゃなかった。じゃあむしろ完璧じゃんってなった時の曲です(笑)」

──で、続く“ルーシー”が、今作の中ではいちばん悲しみがにじむ曲で。これはまさに、今回の自問の時間の中で出てきた曲だと思うけど。

「はい。これは、私が幼少期から憧れていた人のことを思って書いた歌です。この人みたいになれたらどれほど幸せだろうと思いながら、ずっと音楽を続けてきて。でも実際の彼は今どうなってる?って見てみたら、全然幸せそうじゃない。世界でトップクラスの存在になって、お金もたくさん入って、好きな音楽ができて、私はそれが幸せなんだろうなと思ってたんですけど、今そういう人を見たらそんなに幸せそうじゃない。だから『なんだよ、話が違うじゃないか。私をこんなに突っ走らせたのはあなたなのに』って思ってしまって」

──背中を押したのはあなたじゃないか、という気持ち?

「そうです。ひどいよって。だからぶつけるところがなくて曲にしてしまったんです」

──次が“I cannot go back to you”。これも今までの恋愛ソングとは違うイメージ。弱いところもしっかり見せているというか。

「これは『もうあなたのところには戻れない』っていう。完全燃焼してないまま、次の恋愛にいってしまった時の感情。結局ね、言っちゃいけないことなんですよ。こんなの、今の私の彼が聞いたらどう思うの?っていうような歌詞だし。“ルーシー”にしても、言っちゃいけないことを言ってるんですよ、今回の作品って」

次のページ(“KING”は)登りつめても、そこで見た景色はそれほどきれいじゃないっていう生意気な歌です(笑)
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