ちゃんみなが究極まで自身に向き合い生まれた『note-book-Me.-』と『note-book-u.-』。2作同時リリースの真意を語る

ちゃんみなが究極まで自身に向き合い生まれた『note-book-Me.-』と『note-book-u.-』。2作同時リリースの真意を語る

(“KING”は、)登りつめても、そこで見た景色はそれほどきれいじゃないっていう生意気な歌です(笑)


──だから『note-book』っていうタイトルなんですね。ごく私的な言葉を書き留めたもの。もともと人に見せる前提では書かれていないものというか。

「そうなんですよ。そうそう」

──『-Me.-』の4曲目がまさにタイトル曲“note-book”で。ボイスメモもそうだしノートブックも、残すもの、綴るものなんだけど、ちゃんみなさんにとって、その時々の感情を残す、綴るっていうことは、ひとりの人間としてやっておきたいことなのか、アーティストとして作品のために残しておくものなのか。

「ひとりの人間として、だと思います。いやでも、アーティストじゃなかったら書き留めてないかもしれないから、両方ですね」

──うん。その両方があるからこそ、今回『-Me.-』と『-u.-』が生まれたという気もします。で、『-u.-』のほうは、アーティストとしての多様性がより感じられる作品になりました。まず1曲目の“In The Flames”。悲しみがにじむメロディと美しいピアノの音の対比が素晴らしいバラード。新機軸ですよね。

「とにかくピアノと声1本で、裸っぽい雰囲気でやりたいと思って。私のイメージだと、『-u.-』はどうしても着飾っているイメージだったんですけど、逆にそれを裸にしたいっていうか、『-u.-』の感じで裸にしたいみたいになっちゃって。それでこういう感じになったんだなと思います」

──歌声がすごく流れるように響いて、ポップミュージックの解釈として、より普遍的な楽曲になっていると思います。次の“KING”は対照的ですけど、従来のちゃんみなの強さや不遜さみたいな部分が強烈に打ち出されていて。でもそこにある種の孤独を感じるのは、今作ならではというか。

「登りつめても、そこで見た景色はそれほどきれいじゃないっていう、なんか、生意気な歌ですけどね(笑)」

──歌は逆に日本の情緒感のある節回しで、それがすごくクール。

「この曲、アメリカのプロデューサーと作ったんですけど、すごい若手のイケイケな感じだったんですよ。それで、私だってイケイケだそコラ。東京から来てんだぞ、みたいな(笑)。そういう意地みたいなのが出た感じです」

リスナーに合わせて何かを作るっていうのはちょっと違うっていう結論にたどりついて。だから今作はもう「押し付けようぜ」って


──続く“Picky”は、こだわりの強い人、うるさ型の人っていう意味のタイトルですが、これはちゃんみな自身のことを書いた歌ですよね。

「そう(笑)。私の曲は、ヒップホップ調のやつってほとんどこういう感じで、ふざけながら、何も考えずに楽しみながら作っている感覚なんですよね。今回ずっといろいろ考えすぎてた時間の中で、『なんで私ってこういうところにこだわっちゃうんだろう』みたいなのもあって、それはメインのテーマじゃないから端に置いておこうっていう感じだったんだけど、それを寄せ集めて曲にしたっていうか」

──それもまた、自分に向き合ったからこそ生まれた楽曲ですね。で、最後の“Baby”がまたもや新機軸というか、これはサウンドへのこだわりをすごく強く感じました。

「そうなんですよ。これ、サウンドにめっちゃこだわってて。ちょっとなんか90年代くらいの、ブリトニー・スピアーズとかのイメージと、ちょっとクラシックな感じ。あと、2010年あたりのK-POPの感じとか、そういうちょっとオールドな感じのサウンドをやりたくて」

──歌詞は非常にシニカルですけどね。

「これは作っていて楽しかったです。さっきリスナーに届きやすい作品になってるって言ってくださったんですけど、実は、今回制作するにあたって最初に考えていたのは、一旦リスナーのことは無視しようっていうことだったんです。だから、そうやって言ってもらえるとは思ってなかったんですよね。でも逆にすごく嬉しいです」

──確かにどの楽曲も尖ってるし、サウンドアレンジも歌唱もラップも、エッジの立ったものが多い印象だけど、その個性が強くなってるにも関わらず、歌への共感性が高くなってる気がする。

「ほんと嬉しいです。こういうジャンルならではなのかもしれないけど、リスナーに合わせるってことも多いじゃないですか。そうではなくて、こちら側がムーブメントを起こして、リスナーについてこさせなきゃいけないし、リスナーに合わせて何かを作るっていうのはちょっと違うっていう結論にたどりついて。だから今作はもう『押し付けようぜ』って。これがジャパニーズスタンダードなんだよって錯覚を起こさせるくらいの押し付けをしなきゃいけないねって。じゃないと日本の音楽って広がっていかないんじゃないかと思ってます」

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