「ほろよい」新CMが生んだポップで、フレッシュで、クリエイティブな関係。参加アーティストが語る奇跡のコラボレーションの真相【第2弾】TENDRE×池田智子編


「ほろよい」新CMが生んだポップで、フレッシュで、クリエイティブな関係。参加アーティストが語る奇跡のコラボレーションの真相【第2弾】TENDRE×池田智子編
2013年にリリースされたtofubeats“水星”、1994年にリリースされた小沢健二 featuring スチャダラパー“今夜はブギー・バック(nice vocal)”のマッシュアップアレンジ楽曲が、やさしい味わいのアルコール度数3%のお酒として2009年の発売以来、幅広い世代からの支持を集めているロングセラーブランド「ほろよい」のテレビCMで使用されている。2種類の楽曲のうち、古川琴音が6タイプの女性を演じている実写ver.で流れているのは、TENDREと池田智子のコラボレーション。アニメver.のkZmと佐藤千亜妃によるマッシュアップとは別のアレンジで心地よいサウンドが構築されている。この楽曲の制作エピソード、マッシュアップの醍醐味、ゆっくりと過ごす時間の大切さなどについて、TENDREと池田に語ってもらった。

インタビュー=田中大

シンセ、ピアノリフとかをリンクさせることで、互いの歌の世界へ自由に飛び込んでいけるところがマッシュアップの醍醐味(TENDRE)

──CMで流れる“水星”ד今夜はブギー・バック”のオリジナルマッシュアップアレンジ楽曲を歌うことになって、どのようなことを思いました?

池田智子 このような素敵な機会をいただいて驚いたと同時にとても嬉しかったです。プロデューサーの冨永恵介さんが過去に手掛けられた“ばらの花 × ネイティブダンサー”を拝聴していたので、新しいマッシュアップ作品でご一緒できるのがとにかく嬉しくて。そのあとに企画の詳細を伺って曲を知り、お相手を知り、夢なのかな……としばらくふわふわしていました。環境がどんどん変化していく中でも、歌い続けていてよかったなあと思える出来事でしたね。

TENDRE 僕はこういう形でカバーを歌わせていただくことが初めてでしたので、とにかく楽しませていただきました。カラオケに行けば誰かしらが歌っていたあのナンバーですからね。「いざ自分で歌うとこういう歌なのか!」と、改めて噛み締めることができて面白かったです。

──完成したCMはご覧になりました?

池田 はい。とにかく映像がきれいで感動しました。アニメも実写もそれぞれのフレーバーに対して服装や小物、部屋の雰囲気がガラッと変わるところが、「ほろよい」の多彩さをしっかり表現していて素敵ですよね。何度観ても飽きなくて、オフラインの映像をいただいてからも一時停止しながら繰り返し観てしまいました。

TENDRE 映像やアニメーションをリンクさせて演出された様々な空間、そして音楽のバランスが絶妙で素敵だなと思いました。様々なシチュエーションの描き方が色鮮やかで、映像を観ているだけでも楽しいCMですよね。

ほろよい飲んでなにしよう? 池田智子×TENDRE ver.60s

──おふたりはレコーディングに入る前にリモートミーティングをされたそうですが、もともと接点はあったんですか?

池田 私は一ファンとして、TENDREさんのライブを拝見したことがありました。

TENDRE 以前に一度自分のライブに来てくださっていたんですよね。もう頭が上がりませんという感じです。

池田 TENDREさんのアルバム『LIFE LESS LONELY』に収録されている“HOPE”は、コロナ禍で塞ぎがちだった時期に聴いて、とても支えられた楽曲でもあるんです。心と言葉がきちんと繋がっていて、それを濁らせないように生きている人にしか生み出せない言葉の温度があるというか。実際にリモートミーティングでご挨拶させていただいた時にも、楽曲やライブそのままの透き通って芯のある方だなと思いました。

TENDRE ありがとうございます! 池田さんは話すお声も柔らかさと清涼感がありますよね。初めてお会いした時も、歌声そのままの印象だと思いました。

──完成した楽曲に関しては、どのようなことを感じていますか?

池田 TENDREさんが歌う“今夜はブギー・バック”のAメロ《めかしこんで来た》の《こん》のメロディの取り方が、初めて聴いた時からとても好きだったんです。曲全体を通しても、スマートで洗練された印象でした。

──マッシュアップならではのスリリングな展開もかっこいいです。

TENDRE 双方の曲の世界観にシンセ、ピアノリフとかをリンクさせることで、互いの歌の世界へ自由に飛び込んでいけるところがマッシュアップの醍醐味ですよね。声のキャラクターが全く違う僕と池田さんだからこそ、ラストに歌をスイッチしたりした時のギャップがより色濃く生まれたのではと思います。

池田 キー決め用のデモを送る際に“今夜はブギー・バック”の小沢健二さんの歌パートを、そのままのキーとオクターブ上の2パターン入れて送ってみたら、オクターブ上のほうを冨永さんにすごく気に入ってもらえたんです。最終的にラストに向けてデュエット感が強くなるような構成にまとまっていて、完成形を聴いて感動しました。

──池田さんのラップも印象的です。2020年にリリースしたご自身の曲の“walkin’”でもラップをしていましたよね?

池田 はい。私に関してはやっぱりまだバンド(Shiggy Jr.)時代の「ハイトーンで明瞭に明るく歌う」といった表現のイメージが強いと思うのですが、冨永さんは“walkin’”を聴いて、「池田さんのミドルの音域の感じが好きだから、それを活かす方向にしたい」と言ってくださったんです。今の自分の表現を理解して、それが活きるようにしっかり向き合ってもらえることがとても嬉しかったです。

TENDRE 池田さんの歌声は、人懐っこさがあるというか。そういうところがとても大きな魅力なんですよね。だからこそラップも歌い上げる箇所も、聴いていて清々しい気持ちになれるんだと思います。

池田 ありがとうございます。TENDREさんの歌声って、「生きていくうえで大切なこと」、「本当のこと」みたいなメッセージも、ちょうどよく柔らかくなるというか。みんなの心にすっと寄り添う温度になる力がありますよね。

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サンプリング元を辿ることによって音楽への興味や知識が拡がっていくのは、すごく楽しいです(池田)

──今回の楽曲を聴いて、マッシュアップの面白さを知ったリスナーもたくさんいると思います。サンプリングやカバーも含めて、こういう手法は様々な発見に繋がりますよね。

池田 そうですね。私も大学生の時に聴いた、やけのはらさんがカバーされている“自己嫌悪”が思い出に残っています。アルバム『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』にオリジナル曲と並んで収録されているので、最初はカバーだとは気がつかなかったんです。しばらくしてから原曲はキミドリの“自己嫌悪”だと知って、それからはどちらのバージョンも好んで聴くようになりました。ちょうどフィッシュマンズを聴き込んでいた時期でもあったので、「自分は90年代のこういうサウンドが好きなのかな?」とか、自分の音楽の好みの輪郭が少し掴めてきた体験でしたね。サンプリング元を辿ることによって音楽への興味や知識が拡がっていくのは、すごく楽しいです。あと、カバーを経由したからこそ気づける原曲の良さっていうのもあると思います。

TENDRE 音楽って人の数だけ解釈がありますからね。“今夜はブギー・バック”に関しても、僕がリアルタイムで聴いていた曲ではないからこそ抱く印象みたいなものがありました。サンプリングやリミックス、マッシュアップも然りですけど、音楽を分解することで新たなものを発見できるのが、こういう曲の作り方の最大の魅力だと思います。歌詞やご本人の歌い方を分析しながら見つけられるものもたくさんありますし、「自分ならばこうしてみよう」とか、新しい解釈を人それぞれ見つけながら更新していけたら、いろいろ楽しくなっていくと思います。

──“今夜はブギー・バック”と“水星”に関しては、何か思い出はあります?

池田 “今夜はブギー・バック”は、大学生の時に文化祭のサークルライブでカバーしました。同期の男の子とヒップホップが得意な先輩と一緒にバンドを組んで、小さい教室にステージを組んで歌ったんです。歌っている間はその空間がどこまでも拡がっていくような感じがした思い出があります。

TENDRE “今夜はブギー・バック”は、カラオケでもよく歌われていますよね。小さいクラブのアンダーグラウンドなイベントでも誰かしらが歌っていましたし。パーティーがある度に聴こえてくる歌って、改めて考えるとすごいことです。

池田 私は“水星”も思い出があるんです。高校生の時から仲のいい、音楽にどっぷりハマるきっかけをくれた友達から「聴いてみて! 歌詞のここがヤバい!」って電話越しに熱弁されて(笑)。聴いてみたら、すごく衝撃を受けました。あの当時の温度感がそのまま真空パックされているような、時代を代表する1曲だと思います。

次のページ心身をほぐしたい時ってあるじゃないですか。そういう時にほどよい温度感を見つけられるのがお酒なのかもしれないです(TENDRE)
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