Silverstein、11作目となる新作『Misery Made Me』を明日5/6リリース! 20年以上のキャリアで「最もヘヴィで最もエモーショナル」な最高傑作に迫る

Silverstein、11作目となる新作『Misery Made Me』を明日5/6リリース! 20年以上のキャリアで「最もヘヴィで最もエモーショナル」な最高傑作に迫る - pic by Wyatt Cloughpic by Wyatt Clough

自分たちの出自を忘れず、確固たる信念を貫き通すことは並大抵ではない。カナダ発のポストハードコアバンド、Silversteinはその数少ない成功者と言っていい。

バンドは00年結成から約2年のペースでコンスタントに作品を発表し、ライブやツアーで基礎体力を高め、自身の表現力を研磨し続けてきた。キャリアは20年以上になるので、ちょっとしたベテランと言えなくもない。ここに届いたニューアルバム『Misery Made Me』は、決して短くないキャリアにおいて、これこそが”最高作”と位置付けたくなるクオリティを魅せている。


ここで簡単にバンドの歴史にも触れておきたい。
彼らはSNAPCASE、STRIFE、EARTH CRISIS、HATEBREEDなどを輩出した名門レーベル「Victory Records」から『When Broken Is Easily Fixed』で03年にデビュー。荒ぶるシャウトとエモを通過した繊細なメロディを融合させたスクリーモ・サウンドでシーンに登場した。

その後、レーベルは「Hopeless Records」〜「Rise Records」と渡り歩き、前作『A Beautiful Place to Drown』にてレーベル「UNFD」へと移籍。ちなみに同レーベルにはTONIGHT ALIVE、ERRA、日本のCrossfaithらも所属している。

今回、移籍第二弾となるニューアルバム。内容的には、カラフルかつバラエティに富む曲調がずらりと並んでいる。前作収録の“Take What You Give”ではシンプル・プランのピエール・ブーヴィエ(Vo)をフィーチャリングしていたが、全体的にもポップパンクに通じるキャッチーさを備えた作風であった。けれど、本作はスクリーモ/ポストハードコアの手綱を強く握りしめたまま、パンク、エモ、メタルコアなど、自身のルーツを各楽曲に散りばめ、全ベクトルに神経を行き届かせた集大的な仕上がりになっている。

「俺たちのこれまでのキャリアの中で初めて、本当にすべてを出し切ったんだ。22年間の活動の中で、最もヘヴィで、最も悲しく、最もキャッチーで、最もエモーショナルな音楽が完成した」とShane Told(Vo)は説明。パンデミックによる世界の混乱や不安に直面し、新しい現実を受け入れ、それに適応していくことが本作のテーマになっているそうだ。ゆえに、聴き手の様々な心理状況に寄り添った懐の深い作風になったのだろう。

冒頭曲“Our Song”は同郷のSUM 41に通じる明るさを備えつつ、骨太ベースや気骨溢れるシャウトを連発し、Silverstein節に着地させた曲調だ。それから一転、“Die Alone”ではこれまた同郷のComeback KidのAndrew Neufeld(Vo)を迎え、怒涛のハードコアを叩きつけてくる。かと思えば、“Cold Blood”ではシンガーソングライター、Trevor Danielを招いてバラードも披露。中盤過ぎに入ると、“Slow Motion”ではThe Devil Wears PradaのMike Hranica(Vo)とタッグを組み、重厚なメタルコアをブチ上げている。


そうした収録曲の中で、とりわけ驚いたのはラスト3曲(“Bankrupt”、“Live Like This (ft. nothing, nowhere.)”、“Misery”)の流れである。バウンシーなリズムを取り入れた“Bankrupt”を経て、エモラッパー/シンガーソングライターのnothing, nowhere.をフィーチャーした“Live Like This”ではドラムンベース調のトラックに耳を奪われながら、壮大なアリーナロックへと展開。その後に、アコギを用いた“Misery”で本作は静かに締め括る。アップダウン激しい流れを通過し、ラストに訪れる柔和な歌声とメロディに心を奪われてしまった。


Misery=“惨め”な現実世界を、ディストピアにするのか、ユートピアにするのか、それはあなた次第なんだよ、と囁かれているような気分に陥った。楽曲はもちろんのこと、作品全体の流れにも注視してほしい一枚だ。(荒金良介)

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