Wienners、バンドの未来をでっかく描き出す最高傑作『TREASURE』完成! メンバー全員インタビュー

Wienners、バンドの未来をでっかく描き出す最高傑作『TREASURE』完成! メンバー全員インタビュー - photo by かいphoto by かい

言いましたね。「私、フロントマンになりたいんです」って(アサミ)

――素晴らしいアルバムです!

玉屋2060%(Vo・G) ありがとうございます。今回、人生でいちばん手応えあるんですよ。ファーストアルバムの時は何も知らなかったがゆえの手応えみたいなものがあったんですけど、ちゃんとキャリアを重ねていく中での、いろいろ知ったうえでの手応えとかが今回めちゃめちゃありますね。

∴560∵(B・Cho) 最高傑作だなって毎回思うんですけど、それでもやっぱりすげえのできたなって思います。今までと明らかに違うのは、完成して聴いた時の新鮮さとか驚きみたいなものがあることで。客観的に聴いて、リスナーっぽく「すげえなこれ」って感じますね。

――2年ぶりのアルバムで、前作のメジャー再デビュー作『BURST POP ISLAND』を出してから、コロナもあったし、タイアップもあったし、いろんなことがWiennersにも起きましたよね。この2年間っていうのは振り返ってどうでしたか?

玉屋 いろいろあったけど、いろいろあったからこそ、1回ちょっとバンドを整理しようみたいな感じになったんですよ。それぞれが考えて、このバンドに対する気持ちとかを整える時期として使えたかなってすごい思えるんです。大変は大変でしたけど、そういうきっかけがあったからこそ、それぞれで考えるところがあったり、すごい話したりとかして、じゃあ、バンドをこういうふうにしてやっていこうみたいな感じになれた2年間だったんで。それがあってのこの解き放たれた感みたいなのも大きいのかもしれないです。

∴560∵ すべての人がそうだったと思うんですけど、コロナで自分の暮らしとか、この先のこととかを改めて考えたりした時間があったと思うんですよ。それがやっぱり僕らにもあったし、音楽業界含め「この先どうしていく?」って、やっていけんのかなぐらいのところから考えたんで。Wiennersをどうやっていくかっていうことに対しても、原点に返るじゃないですけど、やることの意味っていうか、悔いのないようにやりたいことをやらないと意味ないよなっていうことの確認はできたなと思うし、その中で“GOD SAVE THE MUSIC”を作った時――これもライブハウスの救済コンピ(吉祥寺WARPを救済するためのドネーションデジタルコンピレーションアルバム『WARP TREE』)を玉屋が作ろうって言った時に作った曲で、この曲が転機だったと思うんです。

玉屋 そうだね。

∴560∵ そのテーマもあって、すごく勢いよく、玉屋の初期衝動っていうか、シンプルに自分らしい曲を作れた。メンバーもその頃はリモートでアレンジをやってて、時間がなかったっていうのもあるんですけど、みんなストレートに自分のやりたいようにっていうアレンジでバッて取りかかった結果、みんな満足だし、出来栄えとしても手応えがあるものになって、「やっぱりこういうふうにやったほうがいいんだ」って思ったんです。続けてるうちにいろんなことを考えるようになっていたんですけど、「やるならこうだ」っていうところに改めて気づけた。そこから改めてスタートできたんですよね。

――アサミさんはWiennersのアサミサエっていう立ち位置とか役割とかについても何か考えました?

アサミサエ(Vo・Key・Sampler) そうですね。自分のやりたいことだったりとかを今一度見直した時期はありました。ただ鍵盤弾いて歌ってる人っていうより、ちゃんとフロントマンとして活躍してバンドを引っ張っていきたいなっていう気持ちが膨らんでいったので、そういうのもメンバーに相談して、「歌しっかり歌わせてください」みたいな。

――アサミさんから言ったんだ。

アサミ 言いましたね。「私、フロントマンになりたいんです」って(笑)。

玉屋 やっぱり男女ツインボーカルの強みっていうものをうちは持ってるんで、それを思いっきり、「自分がフロントマンです」ってふたりが自覚してできてるっていうのは今すごくあるので。曲作るにしても、結局歌うのはこのふたりなので、その時に歌詞どうしようかとか、そういうこともすごく相談できるようになったし。そうやっていくとやっぱり自分の言葉にちゃんとなっていくので、レコーディングでもライブでもだいぶ変わっていくだろうなと思うし。

アレンジや演奏をちゃんと任せられて、信頼を置けるようになった。それって本当の意味の信頼だと思うんですよね(玉屋)

――確かに今回、歌詞のクレジットにアサミサエの名前が入っている曲が多くなっていますよね。

玉屋 うん。自分で歌うところは自分で作るのがいいなって思うのと、あとは単純に大変だからちょっとお願いして(笑)。

アサミ 大変だったんですね(笑)。

玉屋 でも何か違う視点だったりとかが入ってくることで、曲がよくなる。言葉選びに関しても俺が持っていないものを持っていたりするんで、そういう視点で曲を見てもらったらより面白くなるかなって。アレンジ作業と同じ感覚なんですよ。アレンジや演奏をちゃんと任せられて、信頼を置けるようになった。それって本当の意味の信頼だと思うんですよね。今回、作曲っていう面で本領発揮できたのも、いろいろ経てきたこのバンドだからこそっていうのはめちゃめちゃありますね。

――それはそのメンバー側の受け止める構えが変わったみたいなこともあるんですか?

∴560∵ 今玉屋が言っていた信頼みたいなものだと思うんですけど、それはどっちにもあるなと思います。アレンジに関しても、投げる量とか投げ方が前よりも大きくなっていったっていうか、いい意味で「やらせて大丈夫だ」という投げ方になった。それも、それこそリモート作曲で、ひとりでアレンジを考えることが多かったからなんです。スタジオだとリアルタイムで相談できたりっていうのが常だったけど、家だともう「こうなったよ」ってなるまで意見を交換しないでやっていたので、それが結構影響もしたと思うんですよ。自分のアイディアを思いっきり見せてみるっていう経験になった。それでお互いの作曲に関する信頼度っていうのはすごく増したと思うし、「今までよりも手加減なくやってみた」っていうのがうまくいって、もう思いっきりやっていこうと。それで面白え!ってなったほうがいいじゃんっていう気持ちにみんななれたのかなっていう。

――そういう意味では“SHINOBI TOP SECRET”なんて本当にWiennersの必殺技を思いっきり出した曲ですよね。「あ、江戸ものきたな」っていう。

玉屋 もうここの土俵では絶対に負けたくないってのはあるんで。

――「忍者」っていうのはタイアップのテーマだけども、それも渡りに船みたいな感じだった?

玉屋 本当そうですね。逆に自発的にここまで大げさな曲は作らないと思うんですよ、得意であるがゆえに。だけど(TVアニメ)『ニンジャラ』のエンディングテーマを作ってくださいっていう大名目をいただいたので、じゃあ思いっきりやりましょうみたいな。普段、たとえばラーメン二郎に行って、ニンニクすごい好きだけど、いろいろ考えて「ニンニク少し」って言ってるところを「めっちゃ入れていいですよ」って言われたんでめっちゃ入れた、という感じ。

――普段はやっぱり遠慮しちゃうんだ。

玉屋 周りの目とか気にして遠慮しちゃうんですけど、「今日は入れてください」って店主からめっちゃ言われてるみたいな。思いっきりやれましたね。

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