(“餞”は)曲が完成した状態でレコーディングというよりは、レコーディングが終わって曲が完成した感じ
――では、もう1曲は?「ああ、難しい……。好きな食べ物とかもひとつに決められないタイプなんですよ(笑)。えっと、うん“餞”にしましょう」
――メロウでシリアスでドラマティックな曲で、アルバムの中でも珍しいタイプで。
「重めの曲ですね。この曲もRockwellさんに作曲とアレンジで参加していただいて、歌のディレクションもやっていただいたんです。『ラスサビをどーんといきたいから、1サビをもう少し落として歌ってみてください』と言われて、あ、こういう手法もあるんだって思いました。“Survivor”のレコーディングの時もそうだったんですけど、録りながら『ここのワード、こう変えようか?』みたいに提案をしてくれるんです。曲が完成した状態でレコーディングというよりは、レコーディングが終わって曲が完成した感じでした」
――アーティストにとって納得がいくところまでチャレンジのできるいい現場だったんですね。ちなみに、3曲目“ギミギミ”はライブで盛り上がりそうな、ネットカルチャー寄りのキュートなアッパーチューンへ仕上がりました。
「これも勢いで録りました。アルバムを作っている中で最後のほうにできた曲で。アルバムの中に思いの強い曲が多くて、楽しい曲がないなって。それで、イエティ吉澤さんに楽しい曲を作ってくださいって頼みました」
「未完成」「未熟」という言葉たちに共通しているのは、この先がまだまだ続くよっていう思い
――そして4月26日に、メジャーデビューとなります。「アルバムのタイトルが『未完星』だったり、“未完成アンチテーゼ”という曲があったり。先行配信した“ハルカゼ”でも未熟という言葉を使っていたり。完成されていないという意味合いのワードを今作ではたくさん使っています。その言葉たちに共通しているのはネガティブな意味ではなく、この先がまだまだ続くよっていう思いなんです」
――1stアルバムのテーマとしていいですね。ここからいろんな旅が始まると思いますが、最後にMaiRさんの今後の目標を教えてください。
「シンガーとしてずっと活動していきたいです。武道館もやりたいし、フェスにも出たい。やっぱり、バーチャルYouTuberやバーチャルシンガーって、まだまだ『アニメなんでしょ?』って思われがちで。それはしょうがないことなんですが、普通のアーティストと同じように、ここまで泥臭くロックをやっている奴もいるんだってことを知ってもらいたい気持ちが強いんです。わざわざ『普通のアーティストと同じように』って説明をしなくてもいいように、バーチャルシンガーも当たり前にロックフェスに出演できるような時代になってほしいなと思っています。ひとりのシンガーとして曲を聴いてほしいですし、ロックシンガーとして最前線で活躍したいです」
――目的が明確ですね。
「ありがとうございます。あと、ファッションが好きなので自分でデザインしたり、グッズを作ったりもしたいですね。ライブの演出を考えたり、もっともっと表現できる場を増やしていきたいです」
――5月27日にはKT Zepp Yokohamaで3度目のワンマンライブを開催しますね。
「ライブが生きる場所で、本当の自分を見てもらえる場所なので、楽しみにしていてほしいです。自分にとっては、大きな背伸びをした挑戦の会場なので、ファンでいっぱいにしたいですね。生のバンドサウンド、その瞬間で生まれるものを楽しんでください」