Hiyn(Vo・G)はソロプロジェクト・ミヤケ武器としても活動していて、すでにWEST.に“膝銀座”、三宅健に“mydoll”の楽曲を提供した実績がある。しかも、luvのOfeen(DJ)らと「ノリで始めた」というバンド・Geloomyも、1本目の動画からざわつかせた(実際、私のTikTokのおすすめにも流れてきて、何者なのか気になってディグってしまったほど)。DIYで作っている映像作品からも、アートやカルチャーを愛する真心を感じ取れる。時代に歓迎される美学を持っているのが、Hiynでありluvであると言えると思う。
luvの全貌を解き明かす、rockin’on.com初インタビューを行った。
インタビュー=矢島由佳子
──バンドの基本的なところから聞かせてもらいたいんですけど、最初に、ひとりずつ自己紹介の意味も含めて、自分のルーツ──luvの演奏に影響していると自覚しているものもそうでないものも含めてと、自分の担当楽器にいつから触れていたのかを教えてもらえますか。Hiynに「Spotifyを契約しろ」って言われて、契約して気づいたら自分が聴いてた曲は全部消されて代わりにネオソウルとかばっかり入れられてて(笑)(Ofeen)
Rosa(Key) 僕は小学3年生くらいからクラシックピアノを習い始めて、そこからずっとクラシック音楽と馴染みの深い生活をしてきました。クラシック音楽の中でもいちばん好きで特にルーツとなっているのは近現代のクラシック音楽で、たとえばストラヴィンスキー、ドビュッシー、ラヴェルとか、ちょっと新しめのクラシックです。その頃は、クラシック音楽だけじゃなくていろんな音楽が各国で勃興している時代でもあったので、いろんな音楽性が入り乱れ始めた、音楽の過渡期で。このバンドの自分の立場としても、クラシックだけじゃなくて他のジャンルと融合したことをやっていきたいなと常々考えてます。
Ofeen(DJ) 僕のルーツとしては、小さい頃からお父さんお母さんが70年代のソウルとかを家で流していて、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、マイケル・ジャクソンとか、もう口ずさむくらい聴いてました。それが今のDJのサンプリングに影響していると思います。がっつり音楽に入り込んだのは大学に入ってからで。最初は王道のポップスばかり聴いていたんですけど、Hiynに「Spotifyを契約しろ」って言われて、契約したら「ちょっと(スマホ)貸して」ってなって、気づいたら自分が聴いてた曲は全部消されて代わりにネオソウルとかばっかり入れられてて(笑)。正直、最初はあまりいいなと思えなかったんですけど、日本人でそういう音楽をやってる人を聴いてみようと思った中でKan Sanoさんの『Ghost Notes』というアルバムを聴いたらいいなと思って。Kan Sanoさんが「僕はネオソウルが大好きだ」みたいなことを言っていたので、「Kan Sanoさんの視点でもう1回聴いてみよう」と思って聴いてみたらかっこいいなと思うようになって、という感じですね。
Hiyn (Ofeenが)僕らの前の世代の人たちがやっていた、僕らがかっこいいと思うJ-POP──Suchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、D.A.N.、ceroとかも聴いてたから、これならいけると思って、僕のルーツである90’sの音楽を入れまくった(笑)。
──ちなみに、いちばん好きだった「王道のポップス」は?
Ofeen ウルフルズ。それは残してくれました(笑)。
──王道のポップスを好きであることはluvのポップ性を担保するうえでとても大事だと思うし、しかもウルフルズもソウルでありファンクですからね。Hiynさんは?
Hiyn 原体験は父親がエリック・クラプトン、B.B. King、ジェームス・ブラウン(以下、JB)とか、ブラックミュージックをずっと流していたことで。僕は特にJBにハマり、J-POPとJBとか海外の音楽を並行して聴くようになって、その中でジャミロクワイに出会って90’sをディグるようになりました。ギターはずっと家にあったんですけど、がっつり始めたのは中3で。最初は父親に“スタンド・バイ・ミー”の4つのコードを教えてもらって、弾きながら歌ってました。ギターの練習としてソエジマトシキさんのYouTubeを観ていた中でトム・ミッシュを知って、そこで完全に僕のギターはトム・ミッシュの雰囲気をまとうようになりました。そこからトム・ミッシュのルーツを辿って90’sに逆戻りして、ディアンジェロ、エリカ・バドゥとかに出会って、ギタリストでいうとアイザイア・シャーキーとかも耳コピしてました。
Zum(B) 僕は、父親がメタル好きで家の中でスリップノット、KOЯNとかがめっちゃ流れてて。「僕はこっちじゃない方向へ行こう」と思って高校で軽音部に入り、最初に東京事変にハマってベースをコピーしてました。そこからVulfpeckに出会って、ベーシストのジョー・ダートがめちゃくちゃかっこよくて、彼のルーツを辿る中でジャクソン5とかブラックミュージックのベースもコピーするようになって。音楽というよりはプレイヤーに惹かれてベースを続けてきましたね。家で父親がレッチリも流していたんですけど、大きくなってから出会った時はやっぱりベースにすごく感動しました。
Sho(Dr) 僕は小学5年生くらいの時に、マンションもクラスも一緒だった友達に「バンドやろうぜ」って言われて。親から水筒に貼られたMAN WITH A MISSIONのステッカーを見て、「知ってるやろ?」って(笑)。「お前ドラムな」ってほぼ決定事項として言われたから、電子ドラムを買ってもらって、自分の家でギターとドラムだけでセッションみたいな遊びをしてました。本格的にドラムをやりたいと思うようになってから両親がレッスンへ連れて行ってくれたんですけど、そこがすごく幅広く、ラテンとかジャズからポップスまですべて網羅している人が教えているところで。高2くらいまで通っていて、そこでいろんなジャンルを叩き込まれました。高校はとにかくドラムが叩きたかったのでビッグバンドをやってるところを目指して、3年間、部活ではビッグバンドをやってました。Hiynくんとはその高校で出会っているんです。Hiynくんからジャミロクワイとかを聴かせてもらった時に「これ、家で流れてたやつや」ってなって、昔から自分はブラックミュージックを聴いてたんやってその時に気づいて。最近はブラックミュージック、ネオソウルとかをずっと聴いていて、ディアンジェロの『Voodoo』をこよなく愛してます。ドラムのクエストラヴさんを目標に……「目標」というのもおこがましいくらいですね。研究させていただいております(笑)。
──luvはHiynさんが集めたメンバーですよね。どんなことを思ってこの5人を集めたんですか?
Hiyn 最初は4人だったんですよね。しかもベースは別の人がいたんですけど、ライブ当日にキャンセルされて、それで所属していた大学のジャズ研で上手いと思っていたZumに電話をかけて。そこから僕、Ofeen……最初、Ofeenは鍵盤で……Sho、Zumの4人で始まりました。そのあと、ガチ天才キーボーディスト(Rosa)が現れて、僕が90’sが大好きで憧れていたからこそバンドにはDJは必須だと思っていたので、センスのあるOfeenにDJをやってもらって。
──その頃、ソロとしてミヤケ武器は始めてました?
Hiyn 水面下でやってましたね。今もミヤケ武器、luv、もうひとつのバンド・Geloomyとか関係なく自分の好きなことを作ったりはしていて、そういうノリで作っていたのがluvの最初のほうの曲です。
──luvは、90’sの音楽をバンドでやりたくて組んだという感じですか? ソロプロジェクトでプレイヤーを集める形ではなく、なぜバンドだったのでしょう。
Hiyn 僕の性格上、ひとりですべてを背負って人前に立つことは向いてないというか。リーダーシップがあるタイプでもないし、それよりはバンドメンバーがいて、それぞれがフィーチャーされるほうが個人的にやりたいことですね。
luvとしてまだライブを始めて1年くらいなので、傍からすれば「若造が出てきて、トントン拍子」みたいに見えると思うんですけど……まじでいろいろあったな(Hiyn)
──ミヤケ武器も、引き続きやっていきたいという感じではある?
Hiyn そこは自分と相談で、様子見……でも僕の気持ちとしてはもう「luvで」という感じです。
──Geloomyも登場した時からずっと気になっていたんですけど、Geloomyを始めたモチベーションはなんだったんですか?
Hiyn Geloomyは、Ofeenもメンバーですけど……マジでノリやな。
Ofeen 遊びでやろう、みたいな感じ。
Hiyn 友達とゆるく頑張っていこう、みたいな。
──映像のセンスもいいし、ショート動画も1本目からザワついていたけど……友達と遊びで曲作って、遊びで映像を撮ろう、くらいな感じ?
Hiyn そんな感じです。
──luvを始める時は、最初から志が高かったのか、それともGeloomyのようにノリみたいなテンションだったのか、そこはどうだったんですか。
Zum ノリ……徐々に方向性が見えてきたというか。
Sho こんなことになるとは思ってなくて。正直、大学生がバンドやるくらいの感覚ではありました。途中で覚悟を決めましたね。
──luvをやっていくという覚悟を決めたのはいつ頃だったんですか?
Hiyn 「段階踏み、腹括り」みたいな(笑)。
Sho そんな感じ(笑)。
Hiyn ちょうど“Fuwa Fuwa”のタイミングで、みんなガッとなった感じですね。
──luvは結成から1年でメジャーデビューもして、めちゃくちゃ順調というふうに傍から見られると思うんですけど、実際の体感としてはどうですか?
Hiyn それなりにしんどいこともあり──。
Ofeen 内容は詰まってたけど、一瞬でしたね。
Hiyn luvとしての初ライブが去年の9月で、まだライブを始めて1年くらいなので、その辺も苦労しつつ。傍からすれば「若造が出てきて、トントン拍子」みたいに見えると思うんですけど……まじでいろいろあったな。早いぶん、諸々が一気に詰まってるし、まだ粗さもあるし。それを今どうにか頑張ろうという感じではありますね。
──言ってしまえば、バンドとしてまだ粗さがある状態だと自覚しているのに、自分が思ってる器より大きなチャンスや大舞台がきてしまっている、みたいな感覚?
Hiyn 今まではチャンスがきた時にノリとかでカマせたところもあったんですけど、やっぱりそれじゃあ……安定して出せるように、っていうのが今の課題ですね。
Sho でも間違いなく、今には今の良さが俺らのライブにあると思う。もちろん技術面とか、きれいに演奏できているかという面で見たら、劣る部分はあるかもしれないですけど、ライブをしていても僕らにしか出せないパワーがあることを感じるので。そこはお客さんに見てほしいところですね。
──結果的にワーナーからメジャーデビューしましたけど、早い段階からシーンでの注目度も高くて、他からも声はかかっていたんじゃないですか。
Hiyn ……結構。ありがたいことに。
──ひとつ上の世代にはメジャーでやる人もいればインディーでやってる人もいて、いろんな参考例がある時代だと思うんですけど、luvがメジャーを選んだ理由は?
Hiyn しっかりluvで音楽をやって、音楽で食べていきたいってなった時に、自分らでは無理な範囲のところまで広がるきっかけになるのがメジャーかなと思って。「SNSはあるけれども……」という感じはありました。
──さらに訊いちゃうと、その中でワーナーの決め手はなんだったんですか?
Hiyn マジで言うと、「人」ですね。俺らが何もわかってない中、音楽でどうやっていくかということを、いちばん俺らが納得できるように説明してくれました。
Ofeen ビジョンが見えた感じでした。「どうしていったらいいんやろ」「この先どうなっていくんやろ」みたいな、本当に何もわからない状態だったんですけど、方針とか大まかな道筋をちゃんと細かく説明してくれたのがワーナーさんだったので、安心して任せられるなと思いました。
──ここまでの話を聞くと、メジャーデビュー曲“Fuwa Fuwa”はみんなの覚悟と気合の入った一曲であり──。“Fuwa Fuwa”は「スローライフ的なノリで行こう」ということを押し出したくて。「愛はあとから追いかければいい」「ゆっくり行こうよ」ということを、メンバーにこの曲で伝えたかった(Hiyn)
Hiyn 本当にそうですね。それまで宅録、セルフミックスでやっていたので、今回初めてスタジオで録って、僕にはできない音の広がり方が作れたと思います。とりあえず録り音がきれい。ベース、ドラムがいちばん変わったな。
Sho 今までは宅録だったので打ち込みが多くて。ドラムだけレコーディングさせてもらったこともあったんですけど、それも別にめちゃくちゃお金をかけたわけではなくて。今回、ベースとドラムを一緒に録ったんですよ。だから息の合い加減とかも、今までとは違う気持ちよさがあるなと思います。だからこの曲を聴いていたら、めちゃくちゃ嬉しくなるんです。録り終わった直後にラフミックスの音源をもらったんですけど、帰り道でもみんなでずっと聴いてて、「これはいつまで聴いていても飽きへんな」って。毎回自分で感動を味わえる曲になりました。
──それは、曲ができた時の最高の状態ですよね。
Hiyn この曲はナチュラルにできた感じがあるんですよね。スタジオに5人で入って、ポロッて出たメロディにみんなが「おお!」ってなって、それをサビにして広げていって。
──そうやってセッションから曲ができるのは、これまでもやっていたやり方ですか?
Hiyn ちょろちょろあったんですけど、実際曲になったのは初めてで。今までは僕がデモを作って、という感じだったんですけど、これができてからはこのスタイルにしてます。しかもこの曲が唯一、サビから作ったもので。今までは、曲全体の雰囲気を大事にしたいし、ひとつの作品として見た時に滑らかであればあるほどいいから、ずっと「A、B、サビ」の順番で作っていて。僕自身、サビから作ってしまうと、ボコボコでツギハギみたいになっちゃう感じが無理だったんです。これに関してはスタジオのノリで強いサビができて、そこからあとづけしていったので、それもいいなと気づいた一曲でもありますね。
──Hiynさんのボーカルの日本語がはっきりと聴こえてくるところも含めて、luvのディスコグラフィの中でも変化の大きい一曲だと思うんですけど、自分たちとしてはluvにとってどういう一曲にしたくて、どういうサウンドを目指したと言えますか。
Hiyn 僕がミックスする時はボーカルがナチュラルに聴こえるように、「ボーカルもひとつの楽器」というノリで他の楽器と一緒くらいのレベルの抜け具合でやっていたんですけど、この曲はもうがっつりボーカルが出ていて。それは日本で音楽をやるうえで大事だと思ったので。発音もしっかり日本語にしましたし、歌詞自体も、僕史上いちばんしっかり考えました。いろんな人に聴いてもらうという意味で、いろいろ変えたところはありますね。
──luvの曲は、歌詞が何層にもなっているところが面白いところのひとつだなと思います。日本語を英語っぽく歌っていて、それが音として面白いんだけど、ひとつの言葉がダブルミーニングになっていたり、全体的に伝えたいテーマや意味がしっかり込められているという。
Hiyn 何を言っているかわからないなりには、それぞれの曲に意味がありますね。“Fuwa Fuwa”も、意味まみれなところがあって。この曲は、「スローライフ的なノリで行こう」ということを押し出したくて。というのも、ちょうどメジャーデビューで、メンバーも「就活どうする?」という時期でもあったし、この1年でバーッときて、遠出して遊ぶこととかもできなかったくらいせかせかしていて。だから「愛はあとから追いかければいい」「ゆっくり行こうよ」ということを、とりあえずメンバーにこの曲で伝えたくて。
──メンバーへの語りであり、バンド内で共通認識を保つための一曲であり。でもそれが聴き手それぞれへの優しいメッセージになっていると思います。今は音楽業界に限らず、すぐに結果とか成功を追い求めがちな時代ですからね。
Hiyn 過程をちゃんとしといたらいいんじゃないかなと思ってはいるものの、結果は結果でもちろん大事やし、結果がないとご飯は食べられないですけど……でも過程を大事にしたいなと思います。
──結果でご飯が食べられたり、次の新しいことをもたらしてくれたりはするけど、いちばん時間を費やす「過程」に豊かさを感じられるかどうかはとても大事だし、自分で自分のことを結果だけで評価しないほうがいいとは思う。
Hiyn そうですね。傍から見れば「メジャーデビューしました」がひとつの結果なのかもしれないですけど、5人としては全然、スタートラインの前の前の前くらいなノリなので。
こんなにふざけすぎてないのは、やっぱり僕らが小中高の時にSuchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、cero、D.A.N.とかがクールにきめていて、それにイメージとして憧れるということが多分デカいですね(Hiyn)
──“好人紀行”は結成当初くらいからあった曲だそうですね。表面的にはラブソングだと言えるものだけど、やっぱりその中でしっかりと描きたいテーマがあるのだろうなと。
Hiyn “Motrr”の次、2曲目にできた曲ですね。これは唯一、僕がアコギの弾き語りでベースを作って、みんなに渡して作りました。ずっと出してなかったんですけど、出し時は今でしたね。これこそいろんな人に聴いてもらいたい感じではあります。とっつきやすいカップル像がありつつ、「日常の幸せ摘み取る系」の歌詞にしたくて。「愛してます」とかではない、「一緒に昼飯食べにいく」みたいな。プラトニックなノリの恋愛像ですね。
──日常の些細な喜びの豊かさを拾い上げる、というところですよね。だからやっぱりluvの音楽は、2000年代生まれならではの絶望や希望がちゃんと歌に出てるなと思います。
Hiyn みんながメロディを乗せやすいサウンドにしてくれてますね。ベースとか「先に歌メロを入れておいて」って言ってくれて、歌メロに沿う、いい塩梅のベースラインを入れてくれたりして。サウンドが第一なんですけど、ナチュラルにまとまっているのは、全体の歌詞展開をみんなが大事にしてくれているからですね。
──みんながクオリティの高いサウンドを築き上げてくれるし、そこにうまく歌詞を溶け込ますことができるからこそ、意味やメッセージのあることを音楽の中で言いやすいという。
Hiyn マジでそうですね。普段、キザな素振りとか全くしないですし。逆に、この中でふざけすぎてもと思って。luvの歌詞の塩梅としては、「こじゃれてる」「英語に聞こえる」かつ「意味のある日本語」みたいな、異文化ミックスのところが強みだなと思います。こんなにふざけすぎてないのは、やっぱり僕らが小中高の時にSuchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、cero、D.A.N.とかがクールにきめていて、それにイメージとして憧れるということが多分デカいですね。ただ、僕のルーツは90’sの海外の音楽で、歌詞を無視してメロディとサウンド重視で聴いていたので、必然的に日本語バキバキの歌よりも英語のほうが自分にしっくりくるというか。
──それらのバンドは「日本でこれをポップスとして聴かせるんだ?」みたいな、ポップスシーンに革命を起こしてくれた人たちで。luvもこの先どんな革命を起こしてくれるのかが楽しみだなと思います。
Hiyn マジで勝負どころです。ちょうど昨日言っていたのは、70’sソウルを今日本でがっつりコテコテにやっている人はあまりいないんじゃないかということで。それとluvの今までをいい感じにしようかなと。
──「luvの今まで」、つまりluvらしさやこれまでやってきて手にしたものとは、どういうものであると自覚しているのでしょう。
Hiyn luvらしさを決めているのは──もちろん全員なんですけど、その中でも特徴的なのはここふたり(Ofeen、Rosa)だと思います。あれだけキャッチーなサンプルで、あれだけきれいでいかついキーボード。この上モノふたりは、だいぶluvらしいクセかなと。
──歌が表のキャッチーさだとしたら、裏のキャッチーさはOfeenさんのサンプリングが担ってる気がしますね。
Ofeen 曲にもうひと盛り上がり作るというか、もうひとつ覚えられるような、口ずさめるキャッチーなものが曲に入ることによって、さらに幅が広がるかなとは思ってます。曲を壊さずに、でもできるだけ主張できるように、後味をつけるみたいな感覚で選んでます。
Rosa 僕は、DJの素晴らしいサンプリングがあるから、上モノばかりを絡めてしまうと聴きづらくなるところがあるので、裏で華を持たせようかなという意識でやってます。クラシックがルーツにある中で、クラシックのモチーフを持ってくるとかではなく、緻密な作業で音楽を作っていくという姿勢自体をこのバンドに持ち込みたくて。全体を眺めながらどういうふうにしたら効果的な音楽ができるかを常に考えたり、流れに対して敏感にアンテナを張ったりしながら制作に関わってます。
──“Fuwa Fuwa”“好人紀行”もまさにですけど、luvはアウトロがいいですよね。
Hiyn アウトロ、いいんですよ!(笑)。やっぱりアウトロは大事。僕がアウトロフェチみたいなところがあって、「気づく人は気づいて」みたいなことを全曲でやってますね。ケツがよかったら全部いい、みたいに思ってるかもしれないです。
──どのバンドも試行錯誤があったうえでリスナーの意識を変える一曲やバンドの立ち位置が変わる一曲を生んでいるから、この先luvがどんなふうに歩んで、どういう音楽を作ってくれるのか、引き続き追いかけたいと思います。
全員 ありがとうございます!
Sho 道のりを楽しみます。
──今後、luvが目指すものとは?
Hiyn この5人の感じを保ちつつ、いろんな人にとってのグッドミュージックになれることと、自分らも楽しく生活できること……で、まあ、ちょろっとアジア進出(笑)。
──ちょろっとでいいんですか?
Hiyn がっつり(笑)。日本の良さを海外に伝えるという意味でも、アジア進出はマジでしたいですね。
──Hiynさんとしてはやっぱり色々やっている中でも、luvにかける想いがいちばん強い?
Hiyn もちろん。かなりがっつり。この5人やったらガチでマジでいけるなということを、この1年、ひしひしと感じてます。
●リリース情報
デジタルシングル『Fuwa Fuwa』
デジタルシングル『好人紀行』
●ライブ情報
luv presents “yet”
10月20日(日) 下北沢ADRIFT※スペシャルゲスト有り
提供:ワーナーミュージック・ジャパン
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部