【インタビュー】Vaundy、突然変異のポップロックソング“再会”、そして自身の原点にピリオドを打つ楽曲“pained”を語る

【インタビュー】Vaundy、突然変異のポップロックソング“再会”、そして自身の原点にピリオドを打つ楽曲“pained”を語る

10代の時、「なんで生きてるんだろう」「なんで生まれたんだろう」ってどっかで思ってたから、それを解消しないと死ぬんじゃないかなと思って、“pain”を書いたんだと思います

──“pained”に関しても聞きたくて。これはアルバム『replica』のCDにシークレットトラックとして収録されていた曲ですが、6月に改めて配信リリースされました。で、Vaundyが最初にYouTubeに投稿したのが“pain”というものすごくシリアスな曲で。この“pained”はやっぱり“pain”との関連性がある曲なの?

“pain”の終わりをちゃんと書いたほうがいいと思ったんですよね。最初のアーティストイメージのまま聴いてる人が多いから、「1stアルバムがいちばんいい」みたいな感じになるんですけど、俺はそれをちゃんと終わらせようって。「完結してるんだよ、実は」っていうのを曲で教えたほうがいいなと。


──一種のアンサーソングになってるんだね。じゃあその“pain”の話から聞かせてください。これは「痛み」との向き合い方に関して真正面から歌った曲だと思うんだけど、いろんな解釈ができるなと。どうやってできた曲なんですか?

“pain”は、10代の時、「なんで生きてるんだろう」「なんで生まれたんだろう」ってどっかでずっと思ってたから、それを解消しないと死ぬんじゃないかなと思って、書いたんだと思います。僕は当時からこのまんまなんですけど、裏に陰Vaundyみたいなのがいて、そいつが書いた曲なんです。その前にもいろいろ書いてて、“僕は今日も”もあったんですけど、“僕は今日も”が1曲目だとまた別の話だったなと思う。自分の闇、膿をバッて出しきったのが“pain”です。そのあとでポップスってなんだ?に向き合えるようになったのは、この曲のお陰だと思います。

──その時のVaundyにとっては、生きることとか世の中とか、自分の存在そのものとかすべてが絶望的なものだった、と。

でも、そんなこと思ってなかったと思うので、わからないです。ほんとにふたりいるのかなって思う時があるぐらい、俺の中に真逆なことを考えてるやつがいて、僕はずっとバウンドしてるんですよね。たとえるなら、光ファイバーみたいな──光ファイバーって、ホースがあって、端から光を入れると角にぶつかり続けて、そこから出た先っぽが光ってるという。人生はそのホースの中をずっとバウンドしてるイメージなんです。その闇側で、世の中に対してなのか自分に対してなのか、ネガティブな部分が出た瞬間で──でも、この曲じゃなくて、そのあとに出ていった曲のほうが売れてくれたのは、僕としてすごくよかったです。この曲が売れてたら、これが好きな人たちに刺さる曲、ダークな曲を書き続けなきゃいけないから、バウンドができなくなって闇の側のことしか考えられなくなっていたと思う。

ポップスが持ってる記憶をちゃんと連れていったうえで、先のポップスにすることが僕の生きる希望なんです

──そのうえで、“pained”は“pain”のどういうアンサーになっているの?

“pain”では、なんで人は子を産むのか、誰のために生きてるのか、夢を持つのはなんでなのかとか、売れないアーティストの話とか──俺がこの先抱えるであろう不安をもう歌っちゃってるんですよ。でもそれって実は全部間違いで、そんなのはどうでもいい話なんだっていうことも歌ってて。《間違っていたんだよ/思い違っていたんだよ/胸が痛い理由はさ/そんな事じゃなかったの》──そんな表面的な話で胸が痛かったんじゃないよねっていう話をしてるんです。で、その解決策になるワードみたいなのは結局出てこなかったので、その解決してない何かをもう1回ウジウジ、こんな感じだよなみたいに細かく解説したような曲が“pained”なのかなという気がします。言葉にはできない、痛みが胸の奥深ーくにあって。それが見えないから、みんな表面的な痛み──“pain”をこれかも?って指さしてるだけ。でも、“pain”の時は説明しきれなかったんですよ。何が起きてるかわからなかったから──まあ10代のことはほとんど覚えてないんですけどね。

──“pained”では、もはやその頃の自分を《雛》って言ってるもんね。

自分のことが雛に見えるという(笑)。羽は小さいし、たぶんガキなんだと思う。でも、この《口、開けた雛は言う/その寿命から/安らかな/痛味するんだ》っていうのは“pain”でも言ってることで、なんかずっと痛えんだよ、でもわかんねえって言ってて──まあサビでそんなもんどうでもいいじゃんってもう1回言ってるんですけどね。《さらば/決別だpain/記憶の海に消えてくれよ》の《記憶の海に消えてくれよ》がたぶん大事な言葉で。痛みってバスボムなんですよ。浸してれば溶けてくるから、記憶が解決してくれる、人生が解決してくれる。人はみんな痛みのような丸い何かを持って生まれてきて、それは生まれた時の環境によるものだと思うんです。親がどういう環境で子どもを産んだのか、どういう家に住んでるのかが、球を作ってて、長く生きることでその中身を確かめていく。だから何かはわからないものなんだっていう結論なんですけど、「もう大丈夫、これで一旦終わりにしよう」って言ってるのが“pained”です。わからないものは仕方ないから、悩んでた話をもう1回聞いてあげてるという。

──でも、今のVaundyには“pain”を出した時とは違って、既にリスナーもいるわけで、もう少し伝わりやすくするために最後のところに《きっとこの胸の痛みは/愛しさからさ》っていうひと言を置いたのかなと俺は思ってたんだよね。

そうかもしれないです。生きるのがめちゃくちゃうざいんだけど、でもそれを解決するのは、あれが好き、これが好き、お母さんが好き、お父さんが好き、みたいな。物でもいいし、人でもいいし、自分の中のものでもいいし。何か1個を愛することが“pained”する解決策で、それが同時に胸の痛みであり、仕方ないものだよね、だから記憶の海に流していくしかないんだ、っていう曲です。《記憶の海に消えてくれよ》と《愛しさからさ》っていうふたつのワードなのかもしれないですね、全部。

──人生って、そういうことなのかもしれないね。

死ぬ時は、自分が愛でられるものが人生に何個あったか、という状況になるのかなと思ったんですよ。で、僕はものを作ることに対して、愛しさをずっと持ってる。だからこそ、歴史が持ってる愛しさだけじゃ足りないから、自分に求めてるのかもしれない。昔の音楽が好きならそれでいいけど、人類が持ってる記憶たちをリスペクトしたうえで、それと一緒に先に進むための愛しさが僕には必要だった。僕が死ぬ時に幸せでいるために、ポップスが持ってる記憶をちゃんと連れていったうえで、先のポップスにすることが僕の生きる希望なんです。ポップスの記憶を愛しながら、そして否定しながら、先にあるものはなんだろうっていう希望という愛しさを僕は探してる──この曲を自分で解説するとそうなるかもしれないです。僕にとっての愛しさってそういうことだから、みんなだったらどういうこと?って。

──ほんとに見事なアンサーソングになってるね。逆に言えば、ほんっとのゼロ地点、“pain”から始まったアーティストなんだなっていうのが改めてわかった。

そうなんです。実は痛みの記憶から始まった。「俺さ、こんなことがあってさ」から始めてる。だから、ラスト回収系映画なんです(笑)。うわ、エンディングこれだったのか!みたいな。

──でも、まだこれも途中で、次は第3弾“pained?”みたいな曲がまた生まれるかもしれないよ(笑)。

痛みはまだまだ続くよどこまでも、って曲ができちゃうかもしれないですね(笑)。

ヘア&メイク=東川綾子
スタイリング=髙田勇人(1729agency)

このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号に掲載!
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