【インタビュー】「常識から逸脱した狂気で人を感動させられるロックスターになりたい」──Cloudy、「感動」をロックの爆発力へ変えた大傑作『できるだけ感動の方へ』誕生!

【インタビュー】「常識から逸脱した狂気で人を感動させられるロックスターになりたい」──Cloudy、「感動」をロックの爆発力へ変えた大傑作『できるだけ感動の方へ』誕生!

Cloudyの2ndアルバムのタイトルが『できるだけ感動の方へ』と知って、やっぱりこのバンドはただものじゃないな、とガッツポーズした。なぜCloudyの音楽には、これほどの力があるのか。それはこのバンドが「感動」を歌っているからであり、もっと言えば、音楽が人の心を動かす根源的な力をロックのど真ん中で鳴らしているからだ。ここでいう「感動」とは、その言葉が安易に連れてくるお涙頂戴のイメージではない。時に狂気にまで肉薄する人間のプリミティブな衝動。居場所のない孤独な魂を導く淡い光。時の流れにも色褪せず輝き続ける青春の原体験──Cloudyが歌う感動とは、そうした瞬間に不意に立ち上がる、生きている実感そのものだ。このアルバムは、曇り空を一瞬で晴天に変えてくれるわけではない。それでも、雲の切れ間から差す光を見逃さず、痛みも孤独も青春も抱えたまま、心が動く方へ進んでみようと思わせる。完璧じゃなくていい。せめて、できるだけ感動の方へ──その意志を人の胸に灯すことこそ、Cloudyが鳴らすロックの強さなのだ。この大傑作を生んだCloudyは、何に心を震わせ、その感動をいかにロックへ変えているのか。小柴タケト(Vo・G)に真正面から訊いた。インタビュー=畑雄介 撮影=Takeshi Yao
【インタビュー】「常識から逸脱した狂気で人を感動させられるロックスターになりたい」──Cloudy、「感動」をロックの爆発力へ変えた大傑作『できるだけ感動の方へ』誕生!

周りの人とズレた感動の感性を持っている僕にしか作れない曲がある

──アルバム『できるだけ感動の方へ』、Cloudyのロックバンドとしての音楽性の幅の広さを見せながら、小柴くんが「感動」という言葉を人生の指針にして生きてきたことが全曲に貫かれている、大傑作だと思いました。自分の人生を振り返ると中心には常に「感動」があって、感動が自分の行動の理念になってるんですよね。で、今までは「感動」という言葉を使わずにいかに感動を表現できるかをテーマにやってきたんですけど、それをついにタイトルにするからには自分の中でそれに見合う曲をちゃんと作らなきゃいけないなって。1stアルバム『情熱があるならば』は初期衝動をそのまま詰め込んだような作品だったんですけど、今回はアルバムとしてまとまって聴いた時にいいと思えることを初めて意識して作ったので、曲の幅を出せたと思います。今まではやりたいことをやったらそれが音楽だったみたいな感覚だったんですけど、Cloudyを結成して3年経って、ようやく音楽家であるという自我が芽生え出したというか。頭を使うようになったというと冷めた感じに取られる可能性もあるんですけど、そういうことじゃなくて、ライブをよくする、音源をよくすることに、より真剣になって。そんな今、「感動」と言ってしまおうと思いました。──そうやって作られた12曲が、まさに「感動」という言葉で繋がっていて。曲作りはどうやって進めていったんですか?考えながら曲作りをするようになったと言いましたけど、そもそも感動が根っこにないと考える気も起きないんです。でも、難しいもので、感動は不意に来るんですよね。1曲目のインスト“感動の入口で”は、晴れた日に木の生い茂った公園にひとりでいた時、太陽が雲にずっと隠れていたんですけど、一瞬雲が外れて、木漏れ日のように日が差し込んだ時に、うわ、これきれいだなと思ってできた曲で。全曲に誕生のきっかけとなる感動の瞬間があって、“捧ぐ”はアニメ『チ。 ―地球の運動について―』を観て、なんていい作品なんだと思ってできた曲だし、“無責任な肯定を”は1年前に初めてツアーを回って、僕らを目当てにライブに来てくれる人が全国にいるという感動でできた曲で。日頃から些細な心の揺れを逃さないようにしようと思ってます。

あと、昔から周りの同級生とはいいと思うものの感覚がずれているところがあって。みんながいいと思うものをいいと思えなかったり、その逆も然り、という人生だったんです。だから、自分が心から好きなものに共感してくれる仲間がほぼいなかった。僕の音楽の原点であるTHE BLUE HEARTSも僕が生まれる前に解散しているから、本気で語り合える仲間が周りにいなくて。周りとあまりフィットできないと思ってたんですけど、音楽を生業にできている現状からすると、それが宝だと思ってます。周りの人とズレた感動の感性を持っている僕にしか作れない曲があると思うので。──確かに「感動」って一般的には泣けるものや美しいものに対して使われる言葉ですけど、1stアルバム収録の“命を燃やしている”では《狂気の先にある/感動に用がある》とも歌っていますよね。狂気じみたものに感動を覚えることは多いですね。中学生の頃、甲本ヒロトさんがステージでベロ出して、目ひん剥いて歌ってるのに感動を覚えて。人間って理性を持って言いたいことを我慢したりしますけど、社会から逸脱したような一瞬を見ると惚れ込んじゃうというか。ライブなんてまさにそうで、あんなに爆音を浴びることは日常ではないし、歌を作って歌うことだって、ある種ちょっとおかしいことでもあって。でも、自分は本当の意味で頭がおかしくはなれないという諦めもあって──常に冷静な自分もいるから、完全にリミッターを外せる人への憧れもあって。情熱的で狂気じみた感じがライブで表現できたらいいなとは常々思ってますね。──狂気というと強い言葉だけど、人間が持つプリミティブな欲求にグッとくる、ということですよね。みんなそれを隠してうまくやっている──本当は家で寝てたいけど仕事に行くし、本当はダルダルの格好でいたいけど人目があるからちゃんとした格好をする。そうやって社会が成り立っている中で、そこから逸脱しても「変人だな」で終わらせず、人を感動させられるのがロックスターだと思うんです。甲本ヒロトさんがまさにそうだと思うんですけど。常識から逸脱した狂気で人を感動させられるロックスターになりたいと思っています。
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ロックをやりたいというより、音楽をやりたい。僕がいい曲を作ろうと思ったらロックの要素は絶対に入るから

──曲には「くだらない」「馬鹿げてる」「無責任」「自分勝手」のような一般的には否定的に使われる言葉が多く出てきますけど、そういう人間の弱さを受け止めて生きていきたいという想いもある?マイナスの面も含めて人間だと思ってるので、正しいことしか言わない人にはそれこそ感動しないんですよね。だから、少しでも正しさから逸脱すると叩かれてしまうSNS文化が僕はとても苦手で、“無責任な肯定を”の1行目で《SNSを開いても嫌いなものばかり目に入り》と書いてるんですけど──前向きなことを言うためには、後ろ向きなことも絶対に必要だというのが、僕の作詞をするうえでの理念なんです。

“無責任な肯定を”も「肯定を」を使うなら、前置きに「無責任」が必要だし、アルバムタイトルにおいても、「できるだけ」が僕の中ではマイナスじみた表現として必要で。自分の無力さもわかっているけど、その中でできるだけ向かうんだ、という。──“捧ぐ”でも《こんなくだらない感動を愛しているよ》と、「感動」をどこかシニカルに捉えていますよね。そうですね。何かしら弱い部分を表現したいので──このアルバム、めっちゃ「感動」って言ってますね。“捧ぐ”でも言ってるのか。──初の全国流通盤で、Cloudyの名前が広がりつつある今、小柴くんのスタンスの根幹ともいえる「感動」という言葉がいろんな曲でストレートに出てきたのは必然だったのかなと。最近フェスで大きいステージに立たせていただくこともあって、自分の中でも転換期が来ているんですよね。Cloudyは「ロックだ」という評価をもらえることが多くて嬉しいんですけど、最近はロックをやりたいというより、音楽をやりたいという意識が強くて。もちろんCloudyのロックの部分が好きなリスナーのみなさんを納得させる自信もあって、僕は13歳から毎日かっこいいロックバンドの音楽を聴いてきているし、この声質もあるから、僕がいい曲を作ろうと思ったらロックの要素は絶対に入るんです。だから、最近は音楽がやりたくて。今も新曲を作っているんですけど、セブンスとかディミニッシュとか、今まで使ったことないコード進行を面白いと思えるようになりました。これまでは、パワーコード一発でBPMは速ければ速いほど気持ちいいでしょ、みたいな自分がいたんですけど(笑)。初めてギターを持ってAコード、Bコードって覚えてたあの頃の気持ちに今なれています。
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