さよなら、また今度ね×indigo la End@TSUTAYA O-nest

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さよなら、また今度ねの自主ライヴ企画『先輩、あざーす!!』。今をときめくindigo la Endをゲストに迎え、想像を超えたヴォルテージでさよ今の楽しくシュールで、なのにウェットなエモーションもうっすらと忍ばせた一夜。TSUTAYA O-nestのチケットはソールドアウトであり、満場のオーディエンスには帰り際に無料DVD『渋谷悠の精米所探訪』(さよ今公式YouTubeアカウントに予告動画あり)が配布されるなど、その独特の世界観に引き込まれっ放しの企画であった。

さよなら、また今度ね×indigo la End@TSUTAYA O-nest
先攻はindigo la End。川谷絵音(Vo・G)、長田カーティス(G)、オオタユウスケ(Dr)、そしてサポート・メンバーの後鳥亮介(B)とお馴染みの4人が揃って登場し、音出し一発と共に川谷が軽く挨拶すると、彼の小気味よいカッティングと長田の電光石火ギター・フレーズが交錯して“名もなきハッピーエンド”からパフォーマンスがスタートする。抜けの良い歌声に導かれて早速フロアではコーラスが分かち合われ、エモーションを余さず伝える楽曲で一気にバンドのギアが上がってゆく。後鳥はドライブ感の強いベース・ラインを紡ぎながら終始歌心を共有し、今のインディゴの勢いをまざまざと見せつける序盤になった。

さよなら、また今度ね×indigo la End@TSUTAYA O-nest
『あの街レコード』の収録曲を立て続けに放つ中、“billion billion”では徐々にバンド・グルーヴの深部へと潜行してオオタの鮮烈なドラム・ソロも持ち込まれる。そのままライヴ会場限定販売の『幸せな街路樹.ep』に収められた“キャロルクイーン”では、轟音の暴風圏アンサンブルへと突入して観る者を圧倒するのだった。バンドとしての肉感ががっちりと鍛え上げられている。終盤に披露された新曲は、優れた詩情でピーク・ポイントを刻み、激情のサウンドスケープを4人が全身で描き出す最終ナンバー“幸せな街路樹”まで、ほぼMCらしいMCもなく、しかし楽曲がひたすら雄弁に語りまくる、といった趣のステージであった。

さよなら、また今度ね×indigo la End@TSUTAYA O-nest
そして転換後は、サングラスをかけた菅原達也(Vo)が「みんな元気ですかあ〜!?」とご機嫌に第一声を放ちつつ、さよなら、また今度ねの出番である。菅原は哀愁をなびかせるキーボード・フレーズを奏でながら佐伯香織(B)と共に“信号の奴”の歌メロを並走させ、菊地椋介(G)のプレイにも「いいねえ! 今日いいねえ!」と忙しなく茶々を入れる。“輝くサラダ”ではボ・ディドリー・モデルの長方形ギターを携え、あらためて挨拶と投げキスを飛ばす菅原。indigo la Endの出演に感謝しつつ、「自主企画だからどうなるか心配だったけど、みんなあったかいから俺、いっちゃってもいいですかあ!?」と、汗を垂らしながら更に勢いに乗ってゆくのだった。

ファルセットのパートも決める“2秒で手に入る”の部分。「そんなわけないじゃん」に「か」が加わってメロディが跳ね上がる瞬間、これこそが菅原達也のソング・ライティングである。どこまでもプライヴェートな視界と心情を執拗に伝えようとするさよ今だが、「か」でメロディが跳ね上がるとき、その声は唯一無二の言葉として発言権を獲得してしまう。ただ流麗で耳馴染みの良いメロディというだけではない、いびつさもひっくるめて、むしろいびつさがフックとなって、これこそが自分の言葉なのだ、という確信を楽曲に宿らせている。「例えばさ、俺たちがこの汗だとするじゃん? インディゴさんは、海じゃん」。自分は自分でしかない中で、自分なりの戦い方を極めること。楽しげにステージを進めながら、今回のさよ今はそんな姿勢を強く感じさせていた。

さよなら、また今度ね×indigo la End@TSUTAYA O-nest
新曲“Q”は、コズミックな疾走感を叩き付けながら、「歌を歌う」という行為そのものをひたむきに求める熱いナンバーだった。CD作品としては未発表だがMVが公開されている“早苗とギター”といった楽曲も盛り込まれ、渋谷悠(Dr)がボソボソと感謝の言葉を伝えるMCには思い切りリヴァーブが噛ませてある(2日前に本人が亡くなって、幽霊だか残留思念として登場した、という設定らしい)。“砂かけられちゃった ~関くんへ編~”では、演奏を始める前に歌詞1コーラス分を丸々引用して説明する菅原だったが、なにしろ入り組んだ心象を伝える歌詞が歌詞であるため、説明されたところで余計にモヤモヤするのが可笑しい。

そして佐伯は「楽しいねえ! 楽しいに決まってるよ! ありがとうって言うべきなのかも知れないけど、あまりしつこくすると嫌われそうなんで、インディゴ先輩にはここでは敢えて言いません! 来てくれたお客さん先輩と、光を当ててくれて音を出してくれるスタッフ先輩、いつも支えてくれる皆さん先輩、ありがとうございます!」と、笑顔で精一杯の感謝を伝える。そして終盤は、フラッシュライトの中で菊地のギター・ソロが火花を散らす“瑠璃色、息白く”や、幼児退行パンクで賑々しい掛け合いコーラスを決める“ギンビス ~頭3才未満の唄~”、最後には“僕あたしあなた君”を「イチ、ニー!(菅原)」「せーの!!(オーディエンス)」という一体感からの爆音フィニッシュによって、本編を締め括るのだった。

アンコールに応えると、ここで佐伯から「嬉しいついでに発表があります。明後日ぐらいからレコーディングして、9月に(ミニ・)アルバム出します!」と伝えて喝采を浴びる。また、そのミニ・アルバムを携えての東名阪ツアーも開催予定(詳細はこちらのニュース記事を→http://ro69.jp/news/detail/103538)であり、名古屋・大阪は『先輩、あざーす!!』の続編として対バン形式、東京公演はワンマンで行われるそうだ。笑顔の場内に菅原が「最高のラヴ・ソング歌います!」と切り出すクライマックスは“踏切チック”。さよ今のストレンジ・ポップが高い熱量で昇華される、そんな濃密なステージであった。(小池宏和)

■セットリスト

<indigo la End>
01.名もなきハッピーエンド
02.夜明けの街でサヨナラを
03.ダビングシーン
04.billion billion
05.キャロルクイーン
06.抱きしめて
07.新曲
08.幸せな街路樹

<さよなら、また今度ね>

01.信号の奴
02.輝くサラダ
03.2秒で手に入る
04.ジュース
05.いいわけの鉄拳
06.窓娘
07.Q
08.素通り
09.早苗とギター
10.砂かけられちゃった ~関くんへ編~
11.ミルクアイス
12.瑠璃色、息白く
13.ギンビス ~頭3才未満の唄~
14.僕あたしあなた君

(encore)
15.踏切チック
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