THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO

THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO - all pics by 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)all pics by 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)
結成10周年を迎えたTHE BAWDIESによる2マンツアー「~The 10th Anniversary~ Like a Rockin’ Rollin’ Stone Tour」。仙台・札幌の9mm Parabellum Bullet、東京1日目のTOTALFATに続き、ツアー4本目となる東京2日目に迎え撃つのは、東京スカパラダイスオーケストラである。奇しくもスカパラは今年でデビュー25周年。現在実施中のアニヴァーサリー・ツアーの合間を縫っての参加となったわけだが……こうして節目の時を迎えた両者を互いに讃え祝福し合うような、大きな祝祭ムードに満ちた一夜となった。なお2組ともツアー続行中のため、以下のレポートでは曲順などの詳細表記は控えるので、あしからず。

映画『レザボア・ドッグス』の主題歌“Little Green Bag”のSEに乗って現れたのは、先攻・東京スカパラダイスオーケストラ。 揃いの青いスーツでキメた男たちが居並ぶ姿は、相変わらず壮観である。加藤隆志(G)の「トーキョー、パーティーしようぜ!」という絶叫と共に初っ端からアップ・チューンを連発すると、瞬く間に場内の熱気は上昇。“DOWN BEAT STOMP”では谷中敦(Baritone Sax)/GAMO(Tenor Sax)/大森はじめ(Percussion)がマイク片手にステージ上を練り歩き、満場のシンガロングとオイ・コールを引き起こしていく。この時点で、床と天井が同時に抜けてしまわんばかりの激震がダイバーシティ東京を襲ったのは言うまでもない。最初の挨拶では「東京スカパラダイスオーケストラです。THE BAWDIES、10周年おめでとう!」と口を開いた谷中。「スカパラは25周年。お互い節目の年に初めて対バンできるのがすごく嬉しいです。THE BAWDIESのことはデビュー前からカッコいいなと思っていました」と謙虚に相手を讃えつつ、「同じスーツ族として負けてらんないんで。気合い入れていくよ!」と静かなる闘争心を露わにしていくのであった。

その後も濃密なスカ・ナンバーを次々と繰り出していく9人。沖祐市(Key)の流麗なピアノの旋律から茂木欣一(Dr)の爆裂ドラミングへと雪崩れ込む楽曲あり、谷中のぶっとくセクシーなホーン音と加藤の鋭いギター・カッティングが正面衝突する楽曲あり……と、個々のプレイヤヴィリティの高さを物語る熱演がノンストップで続いていく。勿論、競い合うようにソロ・パートを吹き鳴らすNARGO(Trumpet)と北原雅彦(Trombone)、時折ステージ前方でフロアを煽り立てながらスピード感あるビートを刻む大森と川上つよし(B)のパフォーマンスも見逃せない。メンバー総フォワード体制で場内のテンションをぐいぐい引き上げていく展開は、ここに来てさらに死角なしといった様相だ。7月2日にデビュー25周年を記念したアジカンとのコラボ・シングル『Wake Up! Feat. ASIAN KUNG-FU GENERATION』のリリースを控えている彼ら。「いつの日かTHE BAWDIESともコラボレーションしたいです!」(加藤)と突入した“Diamond In Your Heart”では晴れやかなパンク・サウンドを解き放ち、雲ひとつない青空を描き出してみせた。ちなみに原曲では細美武士(the HIATUS)をゲスト・ヴォーカリストにフィーチャーしているこの曲。この日は加藤がヴォーカルを執っていたのだが、「すごい楽しい!」と言いながら意気揚々と歌う姿が印象的でした。

終盤にはNARGOのハーモニカで幕を開ける必殺曲“SKA ME CRAZY”も飛び出して、一瞬たりともテンションを落とすことなく絶頂へと上り詰めてしまった彼ら。谷中と加藤のツイン・ヴォーカルが響きわたる曲あり、トロンボーンをブンブン振り回しながらの北原の超絶プレイが光る曲ありと、最後まで見せ場てんこ盛りの展開で50分のステージを駆け抜けた。最後は「THE BAWDIESの10周年、思い切り祝ってやってねー!」という谷中の挨拶で、この日の主役・THE BAWDIESへバトンタッチ!

THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO
THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO
そして20時19分。ミラーボールの閃光が駆け巡るステージに、揃いのブラックスーツで現れた我らがTHE BAWDIES。冒頭から煌びやかなロックンロールを堂々と奏で、豪快なスタートダッシュを決めていく。“IT’S TOO LATE”では「♪あーあああーあああ」の大合唱が巻き起こり、上下左右に飛び跳ねまくるオーディエンス。TAXMANとJIMのギター・コンビによる灼熱のフレーズが冴えわたり、興奮のるつぼと化した場内のヴォルテージは早くも沸騰寸前である。その前のめりな勢いたるや相当なもので、ここぞとばかりにキラーMCを繰り出すROY(B・Vo)も「ここにお集ま○×△$りの、東京ロックンロール合衆国の皆さん!」と、序盤から噛みっ噛みのトークを繰り広げてしまう。

THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO
その後もアニヴァーサリー・ツアーらしいキャリア総括のセットリストを展開し、待ったなしの上昇気流を描いていく彼ら。“LEMONADE”ではフロアに特大サークルが出現し、「ここから全てが始まったんじゃないかとヒシヒシと感じています」(ROY)とスタートしたデビュー・シングル“I BEG YOU”では、筆者の座っていた2階席まで崩れ落ちんばかりにバウンスし……と、いつになく血気盛んなオーディエンスと熱い共闘関係を結んでいく。一方“ROCK ME BABY”“THE SEVEN SEAS”などのミドル・チューンでは、大波のごとく雄大なアンサンブルの妙をいかんなく発揮。己の信じるロックンロールを真正面から打ち鳴らし、今や日本を代表するバンドへと成長したTHE BAWDIES。そんな彼らの軌跡が熱く伸びやかなサウンドと共に駆け巡る、感動的なシーンであった。

THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO
THE BAWDIES×東京スカパラダイスオーケストラ@Zepp DiverCity TOKYO
とは言え、この日のステージがアニヴァーサリー・ライヴ特有の感傷ムードに彩られていたかというと、まったく違う。「スカパラは25周年ですよ。25年前といったら、MARCY(Dr)はキュウリばっかり喰ってた」(ROY)とお馴染みのネタが飛び出すあたりは、いつものまんま。「スカパラが素晴らしいライヴをやってくれたので、皆も『ありのままの気持ちで』ぶつかって来てください」とMARCYが告げればTAXMANが『アナと雪の女王』の主題歌“Let It Go”のフレーズをすかさず奏でて爆笑を誘うなど、ユーモア全開のステージに湿っぽさは皆無である。でも、これこそがTHE BAWDIESなんだと思う。中盤のMCでは、「10周年を機に、またイチから初期衝動をもとにロックンロールを伝えていきたいと思います。中盤のMCでは、「10周年を機に、またイチから初期衝動をもとにロックンロールを伝えていきたいと思っています。これからも一生、一生懸命に転がり続けていく次第ですので宜しくお願いいたします!」と高らかに宣言していたROY。その言葉通り、一点の陰りもないパーティー・ロックを一心不乱に掻き鳴らす4人の姿には、感傷ムードとは一線を画した胸のすくような感動があった。終盤は“HOT DOG”“JUST BE COOL”と爆裂チューンを畳み掛け、阿鼻叫喚のダンス空間を築き上げてしまった彼ら。「ロックンロールという言葉は音楽のジャンルではなくて、感情の爆発だと僕は感じております。グルーヴに身を任せて心を解放して頂ければ、この先の人生、何倍にも輝いていけると思うんですけどどうですか!?」と本編ラスト・チューンの前に放たれたROYの言葉が、THE BAWDIESの音楽を貫く強靭なまでのポジティヴィティを何よりも物語っていた。

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最後はTAXMANの音頭のもとスカパラのメンバーも交えての「ワッショーイ!」で大団円。25周年イヤーを豪快に駆け抜けるスカパラ兄さんから受け取ったエネルギーを血肉に変えて、THE BAWDIESの10周年イヤーは今後さらに熱く燃え上がっていくはずだ。(齋藤美穂)
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