6月4日に通算6枚目のアルバム『SUPER HIGH TENSION!!!』をリリースしたthe telephonesによる、東京・EX THEATER ROPPONGIでの2DAYS公演。9月からスタートする全国ツアー「~Japan Tour 2014~ “SUPER HIGH TENSION DISCO!!!”」の開幕イベントにして、1日目を「KICK OFF DISCO!!!2014」、2日目を「PLAYBALL DISCO!!!2014」と称し、それぞれ全く趣向の異なるライヴを行うスペシャル・イベントだ。その2日目は、公演タイトルにちなんで「ディスコ高校野球部」に扮したメンバーによるオープニング映像でスタート。爆笑が巻き起こる場内に、「只今よりディスコ高校のスターティング・メンバーをご紹介いたします」というウグイス嬢の場内アナウンスによって呼び込まれたのは、揃いの紅白のユニフォームに身を包んだthe telephonesの4人である。
「プレイボーーール!」という石毛輝(Vox・G・Syn)の甲高いシャウトとともに冒頭を飾ったのは“Hyper Jump”。岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)ことノブの鮮烈なシンセのイントロに続いて銀テープが宙を舞い、ハイジャンプの波と化したフロアは早くも華やかなパーティー・ムードに包まれる。そんな大沸騰の光景に目を奪われたのも束の間、さらに驚いたのは、バンドサウンドの凄まじさ。松本誠治(Dr)の打ち鳴らす四つ打ちビートが天井も裂けよとばかりに轟いて、長島涼平(B・Cho)のグルーヴィーなベースラインが縦横無尽に暴走する。まさに1ミリの迷いも無しにブチかまされているといった具合の鬼気迫る怪演だ。続く“Ex-Boyfriend”では、ドラッギーな鋼鉄リフとカラフルなシンセ音の攻防で快楽の陰影をヴィヴィッドに創出。いきなりの最新アルバム収録曲の連打で、もみくちゃになって踊り狂うキッズたちのドーパミンをドバドバ放出させていく4人である。その後もぐんぐんとハイになっていき、4曲目の“Baby,Baby,Baby”ではバットを持ち出したノブによるバッティング・パフォーマンスが。涼平がトスするボールを何度も空振りする姿には笑ったが、その息をもつかせぬ展開でフロアのヴォルテージを上昇させたのは言うまでもない。
「『PLAYBALL DISCO!!!』へようこそ! 昨日は『KICK OFF DISCO!!!』ということでサッカーにちなんだ曲(浦和レッズの応援番組『REDS TV GGR』のエンディングテーマに採用された“Just One Victory”など)をやりまして。じゃあ野球の歌はないのか?というわけで、次は野球っぽい曲をやります!」(石毛)と披露されたのは、“Kung Fu Village”。確かに威風堂々としたサウンドが長距離打者の放つ特大ホームランの重厚感とリンクするようで、この日のステージならではのダイナミズムでもって鳴り響く。さらに闘争心剥き出しの“Aconite”、汗も飛び散らんばかりの爆発力と爽快感に彩られた“Hot Hot Summer”と最新アルバム収録曲を叩きつけ、前半戦ラストの“A.B.C.DISCO”へ。「the telephones、6回裏の最後の攻撃です。バカみたいに踊ろうぜー!」という石毛のアジテートが響きわたる中、ミラーボールの閃光が輝くフロアを一面のハンドウェーブで満たして10分間のインターバルへと突入した。
休憩時間にも遊び心あふれる演出が。高校野球の行進曲“栄冠は君に輝く”をバックに涼平とノブがここまでの戦況ならぬライヴの模様を振り返る音声解説が流れ、後半戦を待ち受けるオーディエンスを飽きさせない。これまでも趣向をこらした企画ライヴを何度も実施してきたthe telephonesだが、こういった芸の細かさには改めてニンマリさせられる。そして「まもなくグラウンド整備が完了いたします」というアナウンスに続いてSEの“happiness, happiness, happiness”が流れると、通常の衣装に着替えた4人が登場。緑色のミラーボール・シャツから覗く両腕を天高く突き上げるノブ、「ラッキーセブン、踊り狂おうぜ!」と絶叫する石毛に地鳴りのような拍手喝采が送られて、後半戦が幕を開けた。
ソリッドなリフとビートの応酬でスタートしたのは“Take Me Higher”。「♪あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~!」という石毛の高音ヴォイスが耳をつんざき、場内の緊張感を高めていく。そこから最新アルバムの楽曲がノンストップで連打されたパートは、間違いなくこの日のハイライトと言っていいだろう。“I’m In Love With You”ではメンバー一丸のコーラスが豊潤な彩りを添える中、フロアの横揺れを誘う甘酸っぱいメロディと極彩色のアンサンブルが伸びやかに飛翔。バンド初のインタールード“Space Communication”の青く眩い音像から“Starship Romance”へ流れると、宇宙規模の広がりを見せる壮大でファンタジックなサウンドがダイナミックに鳴り響く。従来のthe telephonesのアゲアゲな楽曲とは一線を画す、どっしりとした重みと厚みを感じさせるバンドサウンド。かと言ってテンションが低いわけではなく、地に足のついた歩調ながらカタルシスの只中へと突き進んでいくパワフルな推進力が素晴らしい。その強靭なエネルギーはバンド初期に作られた楽曲のリアレンジ版“Lucky People 2014”でも衰えることなく、筆者の座っていたバルコニー席まで豪快に揺れる大激震を誘引。リフとビートの強度を極限まで突き詰め、シンプルかつ骨太に生まれ変わった音塊で、the telephonesサウンドの最新型を高らかに提示してみせた。
ハイパーな電子音とカラフルな照明がビュンビュン飛び交った“D.E.N.W.A”からは、1曲ごとにレッドゾーンに突入していくスリリングな展開に。盛大なハンドクラップに後押しされての“sick rocks”では、カウベルを打ち鳴らしていたノブがフロアにダイブ。恒例の「We are」「DISCO!!!」のコール&レスポンスから“I Hate DISCOOOOOOO!!!”へ雪崩れ込むと、ノブは上半身裸になって踊り狂い、フロアに無数のサークルモッシュが出現する。ここぞとばかりに吹き荒れる「DISCO!!!」コールもどんどん加熱。最新アルバムには彼らの代名詞的な「DISCO!!!」をシャウトする楽曲が少なく、それ故に従来のライヴとは異なる盛り上がりを見せていたこの日のアクトだが、ここに来てバンドもオーディエンスもありったけの想いを「DISCO!!!」に乗せて叫びまくっているといった様相だ。続く“Keep Your DISCO!!!”でも青天井のテンションを維持したまま“Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!”へ流れると、ステージ前方から金テープ発射! 《止まらないで踊り続けよう/自由のための戦いをやめないで》(和訳)という信念とともに強靭なダンスビートを打ち鳴らし、現実を乗り越えるポジティヴな行為としての「ダンス」の力をまざまざと見せつけていくのであった。そしてステージに一人残った石毛がエフェクターを操り、神々しいまでのフィードバック・ノイズを響かせたところで本編終了。
アンコールでは、9月からスタートする全国ツアーの特別公演として、11月23日にZepp Tokyoワンマンを開催することを告知。結成9周年を迎えたバンドの軌跡にも触れ、10周年イヤーに向けた更なる進化を約束する。そして“Night Parade”の祝祭感溢れるサウンドで真夏の夜を彩ると、「最後はやっぱり愛だよね!」と大ラスの“Love&DISCO”へ。最後はこの日の為に作ったという横断幕(ちなみに前日のステージ用にもうひとつ別の横断幕も作ったそうで、石毛は「すごい経費かかっています!」とひたすら強調してました)をバックにオーディエンスと記念撮影を行って、万感の大団円となった。終わってみれば、彼らの人懐っこいキャラクターと尽きることないエンタメ精神、そして最新アルバムで提示された新機軸がダイナミックに炸裂した充実のステージ。企画ライヴらしいお祭りムードに溢れていたし、バンドにとっては最新アルバムの手応えを肌で感じられる重要な場となったことだろう。ここから多数の夏フェス参戦を経て、秋の全国ツアーへ! より強さと激しさを増したthe telephonesのダンスビートが、全国各地のステージで高らかに鳴り響く光景が、今から楽しみで仕方ない。(齋藤美穂)
■セットリスト
01.Hyper Jump
02.Ex-Boyfriend
03.What’s Your Name???
04.Baby,Baby,Baby
05.Kung Fu Village
06.Aconite
07.Hot Hot Summer
08.A.B.C.DISCO
09.Take Me Higher
10.I’m In Love With You
11.Space Communication
12.Starship Romance
13.Lucky People 2014
14.D.E.N.W.A
15.sick rocks
16.I Hate DISCOOOOOOO!!!
17.Keep Your DISCO!!!
18.Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
(encore)
19.Night Parade
20.Love&DISCO
the telephones@EX THEATER ROPPONGI
2014.07.13