TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - サカナクションサカナクション
東京ゲートブリッジを望む江東区・新木場若洲公園にて、2年目の開催を迎えた『TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL』=METROCK 2014 2日目(初日の模様はこちらをどうぞ→http://ro69.jp/live/detail/102515)。好天に恵まれ、涼しい潮風が穏やかに吹き抜けるという絶好のコンディションで、若洲公園のシンボルである巨大風車がよく回る。この日も3つのステージに総勢16組のアーティストが出演し、5月の屋外フェスを大成功へと導いた。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - ウルフルズウルフルズ
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - asobiusasobius
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - NICO Touches the WallsNICO Touches the Walls

巨大風車を背負う形で設営されたステージ=WINDMILL FIELDの2日目トップは、約4年半の活動休止期間を経て復活を遂げたウルフルズだ。メンバー4人がそれぞれにド派手なカラーリングのスーツを纏い、さっそくワウ・ギターが跳ねる一撃必殺の“ガッツだぜ!!”で着火。新作アルバム『ONE MIND』からは新たな名曲“ヒーロー”なども持ち込まれる一方、ジョンB(B)復帰時を思い出させる“ええねん”が、ウルフルズの無敵感を裏付けていた。新進気鋭アクトが登場するNEW BEAT SQUAREではasobiusが華やかなダンス・タイムをスタートさせ、SEASIDE PARKにはベスト盤タイミングと平行してチャレンジングな活動を行っているNICO Touches the Wallsが登場だ。雄々しさと色気を振り撒くロック・チューンにオーディエンスを巻き込み、光村龍哉(Vo・G)が「2014年で5本の指に入る名曲が出来ました」と自信を漲らせる新曲“天地ガエシ”は、対馬祥太郎(Dr)がハーモニカを奏でるスペシャル・アレンジで披露。フォーク/トラッド・テイストの楽曲がドラマティックに熱を帯びるさまが素晴らしかった。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - フジファブリックフジファブリック
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - TarO&JirOTarO&JirO
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - KANA-BOONKANA-BOON

WINDMILL FIELDの2番手はフジファブリック。山内総一郎(Vo・G)、加藤慎一(B)、金澤ダイスケ(Key)のメンバー3人に加え、今回はサポート・ドラマーにあらきゆうこを迎えた編成だ。2月リリースのシングル曲“LIFE”を皮切りに、ライヴ・バンドとしての鍛え上げられた実力と練り込まれたメロディ、そしてユニークなフレーズ連発の歌詞ががっちり手を取り合う。最終ナンバー“夜明けのBEAT”では、視界一杯のオーディエンスが沸き返っていた。NEW BEAT SQUAREでは抜群のギター・テクニックを見せつけるTarO&JirOがオーディエンスを魅了し、昨年そのNEW BEAT SQUAREに立ったKANA-BOONは、今回のSEASIDE PARKでさえ破竹の勢いを伝える集客ぶり。4ピース・アンサンブルの迷いのない響きと高い機動力を堂々刻み付け、『ミュージックステーション』出演をネタに「全然連絡取ってなかった友達とか、知らない親戚とかから連絡が来ますが、いいことばかりです」と笑い混じりに語る。肩車された小さな女の子のオーディエンスも笑顔で手を打ち鳴らす“結晶星”、そしてもちろん新曲“フルドライブ”の爆走と、快調ぶりを見せてくれた。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - the telephonesthe telephones
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - THE ORAL CIGARETTESTHE ORAL CIGARETTES
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - tacicatacica

石毛輝(Vo・G・Syn)の甲高い「メトローッック!!」コールで幕を開けたthe telephonesは、この後に出演を控えたPerfumeとの「ディスコ対決」を意識しながらのパフォーマンス。ノブこと岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)はフィールド最後方に置かれた公園の遊具近辺まで全力ダッシュ→ちびっ子と戯れてステージに戻り、何食わぬ顔でシンセを弾き倒す。6月リリースのアルバム『SUPER HIGH TENSION』からは“Hyper Jump”も披露し、筋肉質なグルーヴでオーディエンスを跳ね上がらせた。NEW BEAT SQUAREではTHE ORAL CIGARETTESが“mist...”から詩情と爆音を抱えたまま疾走し、SEASIDE PARKではtacicaが3ピースとは思えないほどのサウンドの密度で楽曲群を放ち始める。新曲“LUCKY”は、心の深い部分に問いかけて道を切り開く鍵を摑み取るような、スリリングで力強いメロディアス・ナンバーだ。猪狩翔一(Vo・G)は、METROCK連続出演について丁寧に感謝の思いを言葉にすると、「自分で作った曲だけど、大好きな曲です」と告げて“DAN”を染み渡らせる。堂々たるステージであった。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - PerfumePerfume
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - ピエール中野ピエール中野
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - ザ・クロマニヨンズザ・クロマニヨンズ

そして、今夏は自身のツアーが予定され、フェス出演が貴重な機会となるPerfume。「何も言わなくても、この衣装で気合入ってるなって分かるでしょ?」と語るのはのっちだ。初っ端の“ワンルーム・ディスコ”でテレフォンズとの対決を受けて立つも、「一度ディスコを嫌い(“I Hate DISCOOOOOOO!!!”)になって、最後にまた好き(“Love&DISCO”)になるんでしょ? イヤイヤそこまでは……」とテレフォンズ曲を引き合いに語る。夏を迎え撃つP.T.A.のコーナーではT.M.Revolutionをネタに、最後は“チョコレイト・ディスコ”で大盛り上がりである。何気に“ポリリズム”封印セトリの戦いぶりも凄かった。その直後、NEW BEAT SQUAREでは「まずはPerfumeに盛大な拍手を!」「追いディスコ、です!」と“チョコレイト・ディスコ”を投下する、ルール無用のDJ・ピエール中野に大笑いする。更にSEASIDE PARKのザ・クロマニヨンズのセットリストも強烈で、デビューからのシングル表題曲を、ほぼリリース順に、つまり『13 PEBBLES ~Single Collection~』に近い形でガンガンプレイしてゆく。『流線型/飛び乗れ!!ボニー!!』を除くシングル表題曲は全てプレイした。甲本ヒロト(Vo.)は「ロックンロールが鳴ってる場所はどこも最高だな」「どのステージ観ればいいか目移りしちゃうから、露出度で勝負だ(笑)」と語り、“クロマニヨン・ストンプ”でフィニッシュである。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - エレファントカシマシエレファントカシマシ
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - KNOCK OUT MONKEYKNOCK OUT MONKEY
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - andropandrop

さあ、夕暮れのWINDMILL FIELDにはエレファントカシマシが登場だ。オープニングの“地元のダンナ”は、もしかすると都内開催フェスであるMETROCKに機転を利かせての選曲だろうか。宮本浩次(Vo・G)は目を引ん剝いて、ゴリッゴリのロックを乗りこなしてゆく。その後も、石くんこと石森敏行(G)のサングラスをはたき落として髪の毛を鷲掴みにする“デーデ”から6月リリースの新曲“Destiny”まで、キャリアを見渡した男気と文学性の名曲が連発だ。NEW BEAT SQUAREのクローザー=KNOCK OUT MONKEYは、ハードコアな爆発力と繊細なフレージング、アドリブの煽り文句を全解放し、SEASIDE PARKではandropの内澤崇仁(Vo・G)が、「METROCKには本当にお世話になっていて、去年、“Voice”のMVを録りました。スタッフさんや皆さんのお陰で、僕たちも感動できました。今回は去年以上のライヴをやりたいと思います!」と意気込みを伝える。“MirrorDance”→“One”→“Voice”という、満場のオーディエンスの声で楽曲が完成するかのようなハイライト感は、余りにも美しいものだった。
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014(2日目)@新木場 若洲公園 - サカナクションサカナクション

そして今年のMETROCKの2日間を締め括る大トリは、昨年も初日のトリを務めたサカナクションである。ステージ全面、さらに巨大風車の支柱にまで投射されるレーザー・グラフィックがオーディエンスを余さず高揚させ、“Ame (B)”のリミックス・チューンがこれまたオーディエンスを根こそぎ温めてゆくというオープニング。その後は“アルクアラウンド”“夜の踊り子”“モノクロトウキョー”“アイデンティティ”“Aoi”といった感情を揺さぶるヒット曲のオン・パレードだったのだが、アンコールに応えて再登場した山口一郎(Vo)は、「今年もそろそろ夏がやってきますね。数えきれないほどの夏フェスがあって、僕たちもあちこちに出演させて貰うんですが、ときどき、自分たちがどこへ向かってるのか分からなくなるときがあるんですよ。でも、METROCKって東京のフェスなんですよね。東京のフェスで鳴らせるってこと、あんまりないんですよ。ヘッドライナーを務めさせて貰えるってことは、METROCK 2014に関しては、僕たちも東京ローカルなのかなと思って」と、表現は控えめではあるが責任感を背負った言葉を伝える。最後には、緑の公園と東京湾に染み渡る“ナイトフィッシングイズグッド”を届けて、万感のフィナーレを迎えるのだった。

トータス松本、甲本ヒロト、宮本浩次というベテランのロック・シンガーが揃い踏みとなったさまは実に感慨深かったし、2年連続出演のアクトが刻み付けたドラマもあった。そしてサカナクション・山口による「都内のロック・フェス」の意味付けと、2年目の開催でこそ得られるMETROCKの物語を随所に感じた1日であった。(小池宏和)
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