「俺らは15年分の気持ちをお前らにぶつけに来たわけや。もっともっといけるでしょ、こんなもんじゃないだろ?」そんなNOBUYA(Vo)の言葉からも伝わるように、常に上へ前へと進む姿勢を崩さずにZepp Tokyoのステージに辿り着いた彼らの、気迫と気合に終始圧巻されっぱなしだった。――全6公演にわたる結成15周年記念ツアーの東名阪ワンマン編、「15th Anniversary TOUR 『ROTTENGRAFFTY』ONEMAN SERIES」のファイナルがZepp Tokyoで行われた。ソールドアウトで迎えたこの日の会場はもちろん超満員。15年分の想いを3時間に超凝縮した、とてつもなく濃く熱い一夜となった。



開演時間を少し回った午後7時15分。会場が暗転すると、正面に大きく吊るされたスクリーンに「1999」の数字と1999年の結成当時の彼らの楽曲の映像が浮かぶ。そのまま「2014」までカウントアップされ、さらにそこから「15」からのカウントダウンがスタート。カウントが進むにつれ、数字を叫ぶオーディエンスの声にも熱が帯びていく。そしてカウント0と同時にBGMが鳴り止み、ステージにはカーテンに透けるメンバーの姿が現れた。待ち焦がれたメンバーの登場に興奮絶頂の会場。そんな会場に満を持して鳴り渡ったのは“世界の終わり”! イントロ明けのHIROSHI(Dr)の気合いに満ちたカウントと同時にカーテンが落ち、NOBUYAの「かかってこい!」の合図でいよいよ幕の火ぶたが切って落とされた。「遂にこの時がやってきたぞ。俺たちROTTENGRAFFTYの15年分の魂、受け止める覚悟できてんのか? 全員拳上げろ。今日は最後までとことんやろうぜ!」と叫ぶNOBUYA(Vo)の熱のこもった挑発に、オーディエンスもかかってこいと言わんばかりの大歓声で応えた。そしてその勢いのまま“独奏グラフィズム”へとなだれ込み、“銀色スターリー”ではレーザーが空中を飛び交い、さらに“暴イズDEAD”ではCO2(炭酸ガス)噴射の超演出! 楽曲やメンバーのアクトのみならず、演出効果でもオーディエンスの興奮を煽り続けた。そして“I & I”では、鳴り渡るハンドクラップに乗せて「いつもライヴハウスでやってる景色…おっちん(関西の方言で「座る」の意)しろ東京ー!」とN∀OKIが合図すると、ぎゅうぎゅうになりながらフロアにしゃがみこむオーディエンス。「上にミラーボールあるやろ? あそこまで飛べ! TVやYou-Tubeには映らない光景や! いくぞ! ワン、ツー、ワンツースリー!」で圧巻の大ジャンプ!着地のタイミングではZepp Tokyoが揺れたのだから、人の力、さらに言えばそれだけの人を動かせるROTTENGRAFFTYの音楽と人望に驚かされた。そんな15年という長いキャリアと多くのファンを抱える彼らでも、今日が初のZepp Tokyo公演とのこと。「ほんま? 俺らROTTENGRAFFTYやぞ? Zepp? 渋谷サイクロンちゃうの?」と、自身でも夢のようだという素直な感想を漏らしたN∀OKI。14年前に初めて東京の八王子でライヴをした時の思い出も振り返りつつ、「ここまで来るのに15年かかるから。燃やし続けてきたから、俺ら。線香花火のように消えそうになっても、消えないようにくべてきた。とりあえず、諦めないように燃やし続けていこうぜ!誰かでなく、お前の心に灯せ!」と繋いだ“灯”。雨風に耐えながらも15年間灯し続けた火が、まさに業火に変わった瞬間だった。

そこからスカパンク色全開の“鬼ごっこ”や、オーディエンス全員でタオルを振り回した“ケミカル犬”、さらに高速回転するミラーボールに照らされながらの“D.A.N.C.E.”など、バリエーションに富んだロットン節が炸裂! 立ち止まっている時間なんて与えないというメンバーの強気な姿勢がセットリストにも如実に表れていたし、それを全身全霊で受け止め、さらに跳ね返していくオーディエンス側との相乗効果が熱いほど感じられた。そんな理想的なライヴ環境を作り上げていく道程は、もちろん平坦なものではなかったのだろう。中学1年生の時に、勉強机を買うために父親からもらった3万円でエレキギターを買ってきてボコボコに怒られたというNOBUYAのエピソードから、この日に至るまでの積年の想いが告げられた。インディーズからメジャー、そしてまたインディーズへ。レーベルとの折り合いが合わずリリースが困難な日々が続いたなかでも、彼らが諦めずにここまでやってこれたのは仲間の力があったからだと断言したNOBUYA。「ただ夢を諦めずに突っ走っていくだけなら叶わないと思う。でも、夢に向かってひたすら歩いていると奇跡的に見ていてくれる奴がいる。そういう奴らのおかげで、俺らは15年も続けてこれたんだと思います。関わってくれた全ての皆さん、ほんまにありがとうございました」と深々と頭を下げたその姿に、尊敬の意も込められた温かい拍手が降り注いだ。続けて、全ての出会いが「意味のある偶然」だと話すN∀OKIの言葉に導かれた“Synchronicitizm”のイントロでは、KAZUOMI(G・Programming)の弾く強い意志を宿した弦の音が会場に響いた。《その場所に そのZeppに 意志を投げ込め》と歌詞のアレンジも織り込み、今日この場に偶然居合わせた人全員に対して、たった一度しかないロットン初のZepp Tokyoという意味の意志を投げかけた。そしてそこからの流れは、まさに大演壇!“響く都”では、THE 祭!といったお囃子調のメロディーに乗せて会場一体となった力強い掛け声を響かせ、続く“かくれんぼ”“零戦SOUNDSYSTEM”では特別ゲストとしてDJ YASAが登場し、華麗なスクラッチで楽曲に華を添えた。さらに侑威地(B)がステージを駆けたと同時にKAZUOMIも駆け出し両者ポジション交換してプレイしたりと、広いステージを自由に染め上げていった。そこから続いた“夕映え雨アガレ”では、HIROSHIの爆裂ツービートに乗せて会場は大暴走! そんなオーディエンスの止まらない勢いに拍車をかけるべく投下されたのは“Error...”。ここで会場のテンションは一気に頂点に達した。
そしてMCで「ここ何週もみんなに言いたい言葉を考えていたんだけど、やっぱりありがとうしか出てこうへん。ほんまにありがとう」と、噛み締めるように話しだしたKAZUOMI。物音ひとつ立てず、一言も聞き逃さぬようにしているオーディエンスに対し、「どん底におる人もいるかもしれへんけど、みんな、人生頑張ってください。そして、周りにそういう人がいたら、声をかけてあげてください。次の曲は、みんなの人生に捧げたいと思います」と贈った“Walk”では、会場一面に一足早い泡状の雪が降り注いだ。そこから「俺たちとお前たちの大事な歌(N∀OKI)」と始まった“Familiarize”、ラストの“金色グラフティー”では「自分で決めた限界点のその先へ行こうや! ラスト! 一緒に輝いてくれますか!」とのN∀OKIの言葉の通り、会場にいる全員が一滴の体力も残さないという勢いで最高のラストを飾った。
鳴り止まないROTTENGRAFFTYコールに呼ばれて再度ステージに舞い戻った5人。侑威地が「俺らはずっとライヴハウスでやっていきたいと思っているし、Zeppが最終目標だとは思ってないので、またここでみんなとありがとうの交換ができたらいいなと思います。今日は今まで言ったことのない言葉を贈ります。愛しています、ありがとう」と話し、会場からは大きな拍手が贈られた。さらにHIROSHIは、昨晩ホテルの部屋で書いたという手紙を朗読。メンバーやスタッフへの感謝、そして支えてくれているオーディエンスへの感謝を告げ、「これからは俺がみんなを支えていくから! ついてこいよ!」という意気込みを明るく語った。そして“マンダーラ”“Bubble Bobble Bowl”と熱演、さらに“切り札”ではウォール・オブ・デスならぬ、各ブロックオーディエンス総入れ替えがフロア全員で行われ、(2階席は全員座席から立って右に走り寄る、という指示が出された)、間違いなくあの場に居た全員でROTTENGRAFFTYの音楽を身体で感じることができた。
そんな興奮状態のフロアが一度のアンコールで収まるはずもなく、絶えず呼ばれ続けたメンバーが再々度ステージに帰ってくると、まるで始まったばかりかのような大歓声が5人を迎えた。「これが最後や、次に繋げるぞ。お前がやらなきゃ誰がやるという気持ちで人生を歩め。お前が思っているほど、時間は長くないぞ」とのN∀OKIの締めの言葉から“TIME IS OVER”さらに“毒学PO.P 革新犯”と大興奮の演奏で幕を閉じた。
15年間ひとつのことを続けるということは、並大抵の意志で出来ることではない。それはこの5人だったからこそ成し得たのだろうし、さらにその5人分の意志がZepp Tokyoを埋め尽くすほどの人を巻き込んだ。今日のライヴを観て、これから先も彼らの意志は伝播し続けていくだろうという強い確信と期待と夢が持てた。彼らが15年目を越え次のステップを登るための、本当に素晴らしいアクトだった。(峯岸利恵)
■セットリスト
01.世界の終わり
02.独奏グラフィズム
03.銀色スターリー
04.暴イズDEAD
05.ill-usion
06.I & I
07.THIS WORLD
08.灯
09.鬼ごっこ
10.ケミカル犬
11.D.A.N.C.E.
12.STAY REAL
13.Synchronicitizm
14.響く都
15.かくれんぼ
16.零戦SOUNDSYSTEM
17.夕映え雨アガレ
18.Error...
19.Walk
20.Familiarize
21.金色グラフティー
(encore)
22.マンダーラ
23.Bubble Bobble Bowl
24.切り札
(encore2)
25.TIME IS OVER
26.毒学PO.P 革新犯