J@赤坂BLITZ

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3年半ぶりの、J主催の5日間連続ライヴ。2002年より過去4度にわたってSHIBUYA-AXで実施されてきた恒例イベントが、今年5月のAX営業終了を受けて、ここ赤坂BLITZに会場を移して開催された。1日目はNAMBA69 / アルカラ、2日目はFULLSCRATCH / OVER ARM THROW / The BONEZ、3日目はAA= / TOTALFAT、4日目は[Alexandros] / RADIOTS / 女王蜂を迎えての対バン形式だったが、最終日はJのワンマン。Jの熱いエネルギーを終始にわたって受け止められるということで、会場に集まったファンの温度も尋常じゃない高まりを見せている。それこそJ自ら「雨男」を名乗る通り、あいにくの雨模様となった屋外の湿っぽい空気まで吹き飛ばしてしまうかのように。

暗転とともにお馴染みのSEが鳴り響き、割れんばかりのオイ・コールに迎えられて登場したJ。「飛ばしていくぜー!」という第一声から勢いよく“break”をスタートさせると、あの業火のようにメラメラと燃え盛るバンドサウンドを冒頭から響かせて、会場のテンションを一気に沸点まで引き上げていく。そして2曲目にして早くも必殺曲“PYROMANIA”ドロップ! イントロからBLITZの床が抜けてしまうんじゃないかと思うぐらいの大激震が沸き起こり、中盤のブリッジではオーディエンスが一斉にライターを着火させる中でシンガロングを響かせ――と、Jのライヴではお馴染みともいえる景色が、バンドとオーディエンスの見事な結束力によって生み出されていく。勿論、サビに突入すれば途端にモッシュとダイブで埋め尽くされるフロアの狂騒感も、不動。「またこうして会えた」という喜びを、いつもと変わらぬ景色を作り上げることで爆発させていくバンドとオーディエンスの姿には、何度見ても胸を熱くさせられるものがある。

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「ついに最終日がやってきました。すごいテンションで4日間を駆け抜けてきましたが、今日はそれ以上の景色を見たいと思っているので。燃え尽きるまで行けるかー!?」という最初の挨拶から突入した“Resist bullet”では、ステージ中央のお立ち台に乗ってバキバキという骨太なベースを弾き鳴らす、J。時折目の上に手をかざしてフロアの熱狂ぶりを嬉しそうに眺める仕草も見られ、頼もしい兄貴的な存在感をアピールしていく。続く“RECKLESS”では、眩い光の中へ全速力で連れ去っていくようなポジティヴかつパワフルなメロディが炸裂。すべてを燃やし尽くすような破壊性に富みながら、Jの音楽は決して負のパワーを撒き散らしているものではない。あくまでも聴き手をさらなる高みへ導くためのポジティヴな破壊性であることを、そんなJのひとつひとつの言動が、そして威風堂々あふれる音楽が、何よりも物語っているように感じる。

その後も、勇猛果敢なまでに高みへと突き進む爆演に一切のブレはなし。燃え上がるような愛を歌った“Love to Kill”、重たいリズムでフロア一丸の大ジャンプを招いた“Vida Rosa”、心の痛みをエモーショナルに綴ったバラード“Mirage #9”――。中盤にはこの5日間ずっとプレイしてきたというアップテンポな新曲も披露して、ソロデビューから17年が過ぎた今でも依然として衰えることのないエネルギッシュな闘争心を見せつけていく。中でも圧巻だったのが、「もっと高みにのぼってグルーヴしようぜ!」とスタートした“Super High”。サポートメンバーの溝口和紀と藤田タカシの鋼鉄ツインギターでぶっとい火柱を打ち立てて、Jとドラムのスコットの重低音ビートでグイグイ高みへと持ち上げていくヘヴィ級のサウンドは、開演から休みなく飛び跳ね続けてそろそろ疲れてきたであろうオーディエンスをさらに高くジャンプさせてしまうほどの、圧倒的な牽引力を持っていた。

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スコットだけがステージに残ってダイナミックなドラム・ソロを披露した後は、クライマックスへ向けて猛ダッシュ! バチバチと点滅するライトの中でソリッドな爆音が電流のように駆け抜けた“Sixteen”、徐々にテンポを加速させながら熱量をじわじわと増していった“Drivin' Now”、そしてイントロからフロアに肩車ダイブが乱立した“go crazy”で頂点へ! そのまま雪崩れ込んだ本編ラストの“CHAMPAGNE GOLD SUPER MARKET”では、ステージ脇のモニターに上ったJがフロアにTシャツを脱ぎ捨て、「この中で一番イカれた奴はどこだ!? 一番イカした奴はどこだ!?」と煽り立てる中、何度もテンポチェンジを繰り返しながら絶頂レベルを更新していく屈強なサウンドに乗って、この日一番のオイコールとハイジャンプが沸き起こった。

アンコールでは、まずはJひとりがオンステージ。1日目からの全出演バンドの名前を述べ、感謝の言葉を伝えていく。そして、2002年に本当に軽い気持ちで5DAYSを始めたこと。最初は恒例イベントにするつもりはなくて、自分自身で何かを確かめたいときに自然と5DAYSを行っていたことを丁寧に語っていく。今回Jが確かめたかったことは、「何も変わらない情熱」と「これからも変わらないであろう想い」。年を重ねると分かったフリしてライヴに行かなくなったり音楽を聴かなくなったりしてしまうこともあるけれど、「まだこんなにも熱くなれる瞬間があるんだ」ということを、この5DAYSを通して身をもって伝えたかったし、自分自身も改めて確かめたかったと伝えていく。そして「結局はこの5DAYSで俺が一番エネルギーをもらっちゃった気がします」と締め括り、これからもまっすぐ突き進んでいく意思を表明。勿論、フロアから送られるのは熱い歓声と拍手である。そして3人のサポートメンバーを呼び込んで、“Feel Your Blaze”“Evoke the world”投下! お馴染み「次に会うときまで何があってもクタばんなよ!」というオーディエンスとの約束を交わしてJがステージを去った後も鳴りやまないコールに応えてダブル・アンコールに登場すると、デビュー曲“BURN OUT”を最後にブチかまして2時間強のステージは大団円を迎えた。

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アンコールでもJ自身が語っていたように、「何も変わらない情熱」と「これからも変わらないであろう想い」を会場全体で確かめ合ったアクト。それこそLUNA SEAのライヴにも言えることだが、Jのライヴは、同じ景色を描き続けても決してマンネリにならず、聴き手の歓喜を底から突き上げるステージになり得ている。それは何よりも、ステージに立つJ自身が情熱を失わないための壮絶な努力を続け、新鮮なエネルギーをライヴに吹き込み続けているからだと思う。その賜としての、確かな自信に満ちあふれたJの音楽は、今後も年を追うごとに熱さと重みを増してパワフルに鳴り響いていくことだろう。それを改めて実感できた、素晴らしい一夜だった。なお、Jは12/30渋谷O-EAST公演と翌31日のカウントダウンライヴで今年を締めくくり、来年は5/2より「J 2015 SPRING TOUR」を行うことも発表しているので、こちらにも期待していてほしい。(齋藤美穂)

■セットリスト

01.break
02.PYROMANIA
03.Resist bullet
04.RECKLESS
05.Love to Kill
06.Vida Rosa
07.Mirage #9
08.新曲
09.Super High
10.Sixteen
11.Drivin' Now
12.go crazy
13.CHAMPAGNE GOLD SUPER MARKET

(encore)
14.Feel Your Blaze
15.Evoke the world

(encore2)
16.BURN OUT
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