開演時刻の19:00過ぎから「Ｊ！」コールに包まれたフロア。10分を過ぎてようやくＪが登場すると、割れんばかりの歓声とオイ・コールが沸き起こる。そして「渋谷、飛ばすぜ！」というＪの号砲から“Resist bullet”へ。Ｊの地を這うベースに牽引されたアグレッシブなサウンドが、フロアをモッシュとダイブの荒波へと変えていく。続く“Vida Rosa”ではフロア一斉のハイ・ジャンプ。「4日目まですごいテンションで来たから、今日は思いっきりおかしくなろうぜー！」とＪが告げると、「うおー！」という地鳴りのような歓声とともに無数の拳が突き上がった。
フロア中のライターが着火された“PYROMANIA”、疾走感抜群の“OVER DRIVE”などのアッパー・チューンはもちろんのこと、前半で印象深かったのは“SQUALL”“ray of light”などのミドル・チューンのヘヴィさ。デビュー当初に比べると、明らかに力強く伸びやかになったＪのボーカルが、楽曲の世界をグッと深めているように感じた。おかげでライブ全体の濃度が格段に増し、一瞬たりとも気の抜けないものになっている。衝動むき出しのソリッドなロックンロールを奏でるバンドはたくさんいるけれど、ここまで重くディープな音塊でフロアを制圧しつづけられるバンドは日本中を探してもそう多くはいないだろう。もともと日本人離れしたタフで骨太なロックンロールを奏でてきたバンドではあるけれど、キャリア14周年を経て、そのすごみがさらに進化していることに改めて驚かされた。
“RECKLESS”“Twisted dream”で再びアッパーに弾けた後は、スコットによるドラム・ソロへ。太い腕っぷしから放たれる、破壊力あふれるビートがフロアを戦慄させていく。「まだ自分の殻を破ってない奴いるんじゃないか？」というJの言葉に続いて“BUT YOU SAID I’M USELESS”で後半の狼煙を上げると、ここからはアッパー・チューンの乱れ打ち。ギラギラと燃え盛るロックンロールの連続に、フロアは満場のハンドクラップ、モッシュ、ダイブで応える。特に圧巻だったのは、本編ラストの“CHAMPAGNE GOLD SUPERMARKET”。ステージ後方に「WAKE up MOTHER FUCKER」と書かれた横断幕が掲げられる中、ダークでヘヴィな音塊が唸りを上げると、フロアは背徳的なムードが漂う熱狂空間へと導かれていった。
アンコールではフロアいっぱいに揺らめく赤紙を見下ろして、「皆で示し合わせてやったの？ 粋なことをありがとう」と顔をほころばせるJ。そしてこの5日間を総括するように、「4年ぶり、4回目の5days。前回の5daysを終えたときはもう二度とやらないと思ったけど、俺のベースを見て影響受けましたって言ってた奴らとこうして一緒にステージに立てることに感謝します。俺がベースをはじめた頃に『こういうベーシストになりたいって』思っていた自分に、今はだんだん近づけているような気がしてます。何もなかった俺に勇気と希望を与えてくれた音楽、そしてベースに感謝します」と告げるとフロアを温かな歓声が包み込む。そして“ACROSS THE NIGHT”“Feel Your Blaze”に続いて、「すべてはここからはじまりました！」とデビュー・シングル“BURN OUT”を叩きつけて大団円。ダブル・アンコールでは“Evoke The World”の壮大なロックンロールでフロアを眩い光で満たして、2時間に及ぶ灼熱のアクトは大団円を迎えた。
“BURN OUT”を終えた後、「次に会うときまで何があってもくたばるなよ！」と言い残してステージを去ったJ。その言葉に思わず胸が震えた。どこまでも力強く、グイグイと聴き手を導いていくロックンロール。そこには、すべての闇を一掃する灼熱の太陽のような誇り高さとポジティブなエネルギーに満ちている。その圧倒な牽引力に、終始圧倒されたすばらしいアクトだった。（齋藤美穂）
セットリスト
1. Resist bullet
2. Vida Rosa
3. break
4. PYROMANIA
5. OVER DRIVE
6. SQUALL
7. ray of light
8. RECKLESS
9. Twisted dream
～Dr. solo～
10. BUT YOU SAID I’M USELESS
11. go crazy
12. NOWHERE
13. Die for you
14. CHAMPAGNE GOLD SUPERMARKET
アンコール 1
15. ACROSS THE NIGHT
16. Feel Your Blaze
17. BURN OUT
アンコール 2
18. Evoke The World
