This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo

[Alexandros]がデビュー前から続けている主催フェス「This Summer Festival」。年々規模を拡大させつつ2年ぶりの開催となる今年は、名古屋・東京2デイズ・大阪と4日間にわたるツアー形式(各公演ごとにゲストバンドは異なる)である。今回レポートするZepp Tokyo公演2日目のゲストは、9mm Parabellum Bullet/クリープハイプといった同年代バンド2組。以下、白熱のスリーマンの模様を駆け足でお送りします(註:12月22日の大阪公演を控えているため曲目・演出の表記は最小限に留めますが、少々の表記は含みます。ネタバレを回避したい方は全公演終了後に閲覧していただければ幸いです)。

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This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo
〈クリープハイプ〉
客入れBGMが途切れて無音状態のなか入場し、小泉拓(Dr)の元に一旦集まって呼吸を合わせてから静かに各々の位置につく4人。「よろしくお願いします」と尾崎世界観(Vo・G)が一言挨拶して、“HE IS MINE”からスタートだ。オーディエンスたちは腕を上げたりピョンピョン飛び跳ねたりと初っ端から大盛り上がり。「1曲目から一番盛り上がる曲をやってしまいました。どうしよう……。いけますか?」なんて尾崎の発言も何のその、「セックスしよう!」の大合唱が高らかに響いたのだった。そして2曲目には長谷川カオナシ(B)がリードヴォーカルの“かえるの唄”、という冒頭に持ってくるにはなかなか珍しいセレクトである。最初のMCにて「今日([Alexandros]に)呼んでもらえたのは嬉しいんだけど、隣に並びたくないんですよ。背の高さがあるから……。集合写真を撮るのが一番嫌です」と零して笑いを起こす尾崎。MCは短めに留め、以降、最新アルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』収録曲も多数交えながらライヴを進めていく。そして終盤、「『名前だけ憶えて帰ってください』と言うバンドもいるけど、名前なんて忘れてしまっても構いません。バンド名なんてどうでもいいので1曲でも憶えて帰ってほしいと思います」という言葉のあとに演奏された“百八円の恋”で迎えたハイライト。リミッターが外れたかのように性急なバンドのサウンドも、ほぼシャウト状態で《痛い》と《居たい》を繰り返す尾崎の歌も、その爆発力は、心のなかに閉じ込めた様々な感情が一気に吹き零れる様子をそのまま体現しているかのよう。“百八円の恋”以外にもアッパーチューンかつポップなものが多く演奏されていたが、会場をしっかり盛り上げるというトップバッターとしての役割を果たすと同時に、聴き手のなかに棘を残していくかのような表現ステージを見せてくれた。

This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo
This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo
〈9mm Parabellum Bullet〉
「9mm Parabellum Bulletです、こんばんは!」と菅原卓郎(Vo・G)が景気よく挨拶をすれば、“Discommunication”のギターリフが炸裂! 一瞬でも気を抜けば振り落とされそうなほどのスピード感を保ちながら、キメるべき箇所では息を合わせて音塊を繰り出す4人。スリリングであると同時に、「ほしいときに音が来る」という聴き手からの信頼感にも十分応えてくれるそのサウンドには、もはや貫禄のようなものを感じてしまう。左足を負傷中の滝善充(G)は椅子に座った状態での演奏だが、時には頭を振り乱し、時には楽器を振り回し、いつも通り熱量の高い演奏をしていた。「東京!」と頻繁に叫んでフロアを煽る菅原に対し、天井知らずに上昇していくオーディエンスのテンション。開演前には大粒の雨が降っていたこの日の天候を気にかけつつ、「俺たちがライヴしてる間は雨を蒸発させようと思うんだけど、みんなも力を貸してくれるか? いけるかー!?」と菅原がアジテートするまでもなく、床は大きく揺れ、モッシュでたくさんの人々が入り乱れている。《真夏の一日フェスティバル》というフレーズ(“どうにもとまらない”)など、この日ならではの歌詞替えもその昂揚感を後押ししてくれた。そして最新シングル表題曲“生命のワルツ”では、センチメンタルな響きを持ったイントロを経て、濁流が氾濫するかのように押し寄せる轟音。中村和彦(B)&かみじょうちひろ(Dr)のリズム隊が土台を作る鋼鉄の3拍子に乗って、《いつかのどこかじゃなくて 聞いてくれここで命の声を》という真っ直ぐな菅原の歌。「ここで会ったのも何かの縁だからとにかく楽しもうぜ」というメッセージが込められているというこの曲が、確固たる強度と純度で以って鳴らされているその瞬間に胸が熱くなった。そのあとはライヴ定番曲を連投していき、フロアを沸かせた状態のまま、[Alexandros]にバトンタッチ!

This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo
This Summer Festival 2014([Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプ)@Zepp Tokyo
〈[Alexandros]〉
やはり[Alexandros]は闘志でビリビリと漲っているときにこそ最上級の輝きを放つバンドである。「他のバンドもめちゃくちゃカッコよかったけど、お前ら全員ウチらの虜にしてやるからな!」とのっけから川上洋平(Vo・G)が叫んでいたが、自らが世界一だと称する彼らにとって「共演者にいいライヴされたら悔しいし、悔しいから燃える」というこの環境はまさに絶好の場所だった。バンドは初っ端から助走ナシのフルエンジン状態。間髪入れずに連投されていく楽曲群に、オーディエンスは昂ぶらずにはいられない様子で、ハンドクラップにモッシュにダイブに……と様々な光景があちこちで生まれる。曲中に磯部寛之(B・Cho)がマイクをフロアへ向けると大合唱が、白井眞輝(G)がマイクスタンドを蹴り倒したりながら渾身のソロをキメれば大歓声がフロアから返ってきたのだった。真っ直ぐで伸びやかな川上のヴォーカルを、庄村聡泰(Dr)の、多数のリズムパターンを柔軟に行き来しながらも重心の低いビートが底から支え、会場の上へも奥へも突き抜けていく4人のサウンド。そんな中披露された新曲は、映画音楽のようにロマンティックなメロディラインや、跳ねるリズムが特徴的な開放感たっぷりの楽曲。とはいえども、今の彼らが演奏すれば「バンドを大きな場所へ連れていく楽曲」というよりも「鳴らされるべき場所で鳴らされている楽曲」という印象で、ハンドマイクを手に体を動かしながら唄う川上の楽しそうな表情には頼もしさすら感じた。MCでは、磯部が以前9mmのライヴ会場でバイトをしていたということが話題に上がる。悔しそうな顔をして帰ってきた磯部を見て「いつか9mmのところまで行こうぜ」と約束し、それを今果たせているのだと語る川上。そして「あの頃の自分たちを振り返って次の曲を唄います。ここにも何人かバンドマンいると思うんですけど、よかったらこっちまで来てください」と“spy”を演奏。川上の弾き語りを軸に徐々に他メンバーの音が重なり、だんだん分厚く、ドラマティックになっていくサウンド。先述のMCの内容も相まって、真っ白な照明を背に鳴り渡る《I'm gonna walk/This is my road》というフレーズはこの上ない輝きを放っていた。白井が9mmの“Discommunication”のリフを引用したり、川上が歌詞の一部を「尾崎」に替えて歌ったりと対バン相手への愛が垣間見えた場面もあったが、アンコールでは川上がアコースティックギターの弾き語りで9mmの“Black Market Blues”をカバー、更にクリープ・尾崎を招き、2人で“傷つける”をセッション! そういったこの日限りのスペシャルな場面も含みつつ、3バンドの最初から最後まで熱を絶やさないまま3時間強に及ぶライヴは終了したのだった。なお、[Alexandros]/9mm Parabellum Bullet/クリープハイプは、COUNTDOWN JAPAN 14/15に出演予定(3組ともEARTH STAGE!)。こちらもお見逃しなく。(蜂須賀ちなみ)
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