ACIDMAN@NHKホール

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最新アルバム『Second line & Acoustic collection II』を引っさげ、全国8ヶ所のツアーを行ったACIDMANが、追加公演となる「ACIDMAN LIVE Extra Show “Second line & Acoustic & Rock”」を東京NHKホールで開催。「普通に追加公演をやるだけではつまらないから、今回はロック・パートもやります」と語るように、2部構成の盛りだくさんなライヴとなった。
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まずステージに現れたのは大木伸夫(Vo・G)。ゆっくりと中央まで歩き、観客へ向けて一礼するとともに手を合わせる。まずはアコースティック・パートということで椅子に座ると、ルーパーを使った一人同時演奏を始める。そこに佐藤雅俊(B)と浦山一悟(D)が加わり、“イコール”へ。全国を回ってきただけあり、初めの1音からバンドの息がぴったりだ。特に大木と佐藤の、左足で拍を刻む動きがリンクしている姿が微笑ましい。
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ロックバンドがアコースティック編成で演奏することは、意外に思う方もいるかもしれないが実は相性が良い。エレクトリック、つまり電気の力で音を増幅させる普段のステージとは異なり、ニュアンスを生々しく鳴らせるからだ。ともすればミスもバレやすいのだが、プレイのダイナミズムを重視するタイプのロックバンドにとっては、より伝えやすいライヴをできるというわけ。
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「二度と戻らない1分1秒を最高のものにしていきましょう」というMCとともに、旋律の美しさを活かす“REMIND”、ハネたリズムが軽やかな“I stand free”など、リアレンジの秀逸さを見せつける。アコースティックの打楽器的な側面を押し出し、グルーヴを強調した“swayed”では終始下を向きながら演奏に没頭する佐藤や、手数が多い一悟の汗が観ているこちらまで飛んできそうなほどの熱演に。
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「大好きな曲で、ずっと歌い続けていきたい曲だと思っております」という“リピート”が始まった時、アルバムやツアー本編で登場した盟友ホリエアツシ(ストレイテナー)はこの日来れないと伝えられた。ところが、なんと途中で演奏がストップ。「やっぱりホリエ君がいないと声が震えちゃう……」という演技で笑いを誘い、ホリエを迎え入れたのだ。うれしいサプライズを経て再び曲に入ると、ホリエは音に身を預けながら鍵盤とコーラスで参加。メンバー3人は、今夜初めてアイコンタクトを取りながらプレイを楽しんでいた。アコースティックパートを締めくくったのは“ALMA”からの“FREE STAR”。宇宙の神秘を通して有限な人生の意義や、人との繋がりの尊さを歌う彼らの楽曲は、困難な時代を生きる我々にとってドラマティックに響く。
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10分ほどの転換を挟み、約4ヶ月ぶりの披露となったロックパートはまさに爆発! 天井が高いホールのステージを生かして映像も投射しながら、攻撃的に、動物的に、待ち望んでいた爆音を一心不乱にかき鳴らす。「アコースティックツアーを周りながらずっとこれでもいいかもと思ってたけど、やっぱりロックも最高だね」という大木の言葉に誰もが頷いたはず。全員で拳を突き上げる“アイソトープ”や鉄板の“ある証明”、さらには“アルケミスト”や“Stay in my hand”など、新旧の代表作を並べる贅沢なセットとなった。
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あっという間に最後の“世界が終わる夜”を迎える。ここで大木は熊本地震や東日本大震災に触れた。「また震災が起きてしまいました。福島の地震の時は、次の日がZepp Fukuokaでライヴだったんです。不謹慎だという声もある中、世界が終わる歌を歌ってるんだから今やんなきゃダメだよ!って言って、俺はライヴをやりました。本当にいつ世界が終わるかわからない。だから誰かを嫌ったり、嫉妬したり、バカにしたり、そういう時間はもったいないから、楽しい日々を1分でも1秒でも長く生きていきましょう」そう言って万感の想いとともに、“世界が終わる夜”を届けた。
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アコースティックに戻ったアンコールでは、ツアーの通常公演と同じく新曲を披露。2年前に祖母を亡くし、意思の疎通ができなくなった時に作ったという、あたたかなスローバラードだ。そして“Your Song”をもって本当の終幕を飾った。この日、歌や演奏はもちろん、存在自体の懐の大きさを見せてくれたACIDMAN。5月4日にはJAPAN JAM BEACHに出演する。(秋摩竜太郎)

●セットリスト
第1部
1.イコール
2.±0
3.type-A
4.REMIND
5.I stand free
6.スロウレイン
7.swayed
8.HUM
9.リピート
10.Under the rain
11.季節の灯
12.ALMA
13.FREE STAR
第2部
14.World Symphony
15.アイソトープ
16.式日
17.migration1064
18.アルケミスト
19.Slow View
20.2145年
21.造花が笑う
22.Stay in my hand
23.ある証明
24.世界が終わる夜
Encore
1.新曲
2.Your Song
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