トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト

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トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト
トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト
トゥー・ドア・シネマ・クラブ! 素晴らしかった。全19曲、1時間半弱はあっという間だった。昨年観たサマーソニックのライブよりはるかに良かった。サマソニ観たからいいや、とパスした方、残念でした。

まず驚かされたのは、演奏面の圧倒的な充実だ。歯切れのいいギター・カッティングとドラムス。サポートの2人、特にドラムスのベンジャミン・トンプソンの手数の多いドラミングが最高。打ち込みと生演奏のバランスが素晴らしい。ダンサブルでテンポの速い四つ打ちでぐいぐい観客を乗せていくのは、ちょっと最近の日本の若いバンドに共通するものがあるが、TDCCの演奏はバネが2つも3つも違う感じで、下半身を直撃する抜群のグルーヴが否応なく体を動かす。バンド・サウンドの充実によるグルーヴの旨みが以前のTDCCとは違うところで、サマソニ後に世界各地を旅してまわった成果がはっきり出ている。

トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト
トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト
そしてマリンフィールドのオープンエアの空間に比べ、音が拡散しないスタジオコーストの空間は、このバンドの柄に合っていて、音がソリッドでタイトにまとまって、サウンドの密度が圧倒的に濃い。なのでバンドの演奏力の高さもよくわかる。アレックスのヴォーカルも快調だ。

最新作『ゲームショウ』のツアーの割にはファーストの『ツーリスト・ヒストリー』からもっとも多く演奏されたのはちょっと驚いたが、ファン・サービスというより、現在バンドの持てる最良のものを出し惜しみなく提供しようとする誠実さの表れとみた。ショウの終盤“I Can Talk”あたりの盛り上がりにはぐっとくるものがあった。

トゥー・ドア・シネマ・クラブ @ 新木場スタジオコースト
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映像はなし、照明も簡素なもので、これという演出も大がかりな舞台セットもない。MCも必要最低限で、観客と積極的にコミュニケーションをとろうという意思も見えない。ひたすら演奏を続けているだけだ。だが抜群の演奏と必要にして十分なアレンジ、これでもかと畳み込まれるポップなメロディとダンサブルなビートで、ぐいぐいと観客を引っ張っていく。なにより演奏そのもの、楽曲そのもの、音そのものが雄弁に彼らを物語っていたのだ。

客の入りはやや物足りなかったし、新作のチャート・アクションも前作に比べればもうひとつだ。だがバンドは間違いなく前進・進化している。このツアーで世界中を回り、一回りも二回りも大きくなって僕たちの前に戻ってきてくれるに違いない。(小野島大)
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