マキシマムザホルモン／八王子MATCH VOX

2017.05.20

All Photo by Takahiro Saito

「ホルモン三等兵、恥ずかしながら帰って参りましたー！」（ダイスケはん）。マキシマムザホルモンが2年ぶりにライブ活動休止の封印を解き、戦闘開始を告げる「耳噛じる真打TOUR」の初日。祝福と渇望の入り混じる特別なムードの幕をまず切って落としたのは、この日の対バン相手、Ken Yokoyamaだ。

「マキシマムザホルモン2年ぶりの復活おめでとうございます！」、「みなさんさぞかし腹ペコかと思いますが、今日はお通しぐらいの感じでちょこっとだけやらしてもらうんで付き合って下さい！」と横山健。“Punk Rock Dream”からスタートすると、フロアは堰を切ったような尋常じゃない盛り上がり。“Maybe Maybe”、“I Won’t Turn Off My Radio”と声と汗の乱れ飛び。

Jun Grayを起点に八王子いじりというか、レペゼン八王子なMCを挟みここから計6曲をノンストップ。曲間に「パンクロック」コールを挟みながら疾風怒涛に演奏する。そこにいるだけですべてを伝えてしまうヒーローぶりと、にもかかわらず冒頭の言葉が象徴する姿勢に改めて感服する。これ以上ないお通し、ご馳走様でした。

さあ、いよいよ真打の登場だ。メンバーがステージに現れるとものすごい歓声。オープニングは“握れっっっっっっっっ！！”。うお、そりゃ反則だぜ。美旋律と地獄の轟音の共存にシビれ、みんなで歌う感じにやっぱホルモンのライブは最高、と早くも大満足。ライブで『耳噛じる真打』の楽曲を聴けるのはたまらない。しかも一際ブラッシュアップされている。

新兵器「津田製麺所お立ち台」を使い煽りまくりのダイスケはん。生き生きとパワフルに楽しそうに向かい合って弾くマキシマムザ亮君と上ちゃん。そして笑顔で叩くナヲ。本当にマキシマムザホルモンは帰ってきたのだ。「おかえりー！」の声援にナヲは「2年ぶりなんですけど、みんなのキラキラとした眼を見ていると……いろんなことが思い出されて……」と、オフコースの“言葉にできない”を合唱。っておい！（笑）

改めて「2年ぶりのあれ言っていいですか？三度の飯より」、「飯が好き！」コールを経てここからさらに勢いを増していく。先ほどのパンクロック旋風に対してハードコアプライドで真っ向から立ち向かう“ジョニー鉄パイプⅢ”、緩急を操りヘヴィネスを体現する“アバラ・ボブ<アバラ・カプセル・マーケッボブ>”。

だがしかし、リアレンジされたのは『耳噛じる真打』だけではなかった。なんと“ハイヤニ・スペイン”なども格段にパワーアップしている。ミュートが効いてよりグルーヴィーに、そしてハードコアの凶暴性が増し増しだ。もし彼らが2年前と変わらないパフォーマンスをしていたら、祝福ムードはあったとしてもたぶんここまでカオスな狂騒空間は生まれていない。蘇るとより強くなるサイヤ人的に（？）、この2年を休止期間で終わらせず進化期間にした。それが彼らにとっての本当の復活だったのだろう。

「久々にライブをするっていうことにあたって、特に意識してないけどライブの夢を超見るわけ。で、今日、健さんが八王子に来てくれて。袖で観てて、ホントに夢なのか本当なのかわかんなくて」とナヲが感激を口にしてから「どうやらこれは現実のようなので、バッチリ汗かいて、思いっきり暴れて楽しんで帰れー！」と、“ビューティー殺シアム”、“中2 ザビーム”を連続投下。ラストは“恋のスペルマ”でハッピーに本編終了。