10月・11月・12月で10本のライブがあり、それをしめくくる東名阪ツアー、代官山UNIT。超満員、なのはいいが、ピーズと代官山って。かつて“悪魔の渋谷”という歌を作って1stアルバムに収録したくらい、おしゃれな街とかおしゃれなものとかに対し動物的に拒否反応を示す(ってことは当時は渋谷はおしゃれな街だったんですね)大木温之さん(43歳)が、はたしてどうするのか。と思ったが、1回目のMCで「俺の街代官山へようこそ」みたいなことを言ったくらいで、あとはいつもと変わらずでした。
まだ名古屋が残っているので、あんまり詳しく書けませんが、1stアルバムの曲、中期の代表曲、復活して以降の代表曲、ライブではおなじみだけどまだCD化されていない曲、最近ライブ会場限定インディーズ・シングルで出した曲、ほんとに作ったばかりらしい曲など、2時間10分にわたり、みっちりと、たっぷりとやってくれました。
長年このバンドのライブを観ているが、本当に、今がいちばんいいのでは、と思う。荒さと細やかさ、勢いと渋さ、初期衝動といぶし銀、破天荒さと丁寧さ、などなど、相反しそうなものが「ロックンロール」というパッケージの中にギュッと詰まっている感じ。適当そうで、キマるべきところはビシビシキマる。
あと、これピーズの後輩ミュージシャンたちと話すと必ずみんな言うんだけど、3人ともプレイヤーとして、やたらすばらしい。「上手い」とか「細かい」というすばらしさではなく、「ロックンロールをやる人」としてのすばらしさ。はるの、ギターみたいによく動くベースラインといい、余計なことは一切やらない、なのでスネア一発キック一発がいちいち叩かれる必然に満ちている佐藤しんいちろうのドラムといい。特にアビさんの歪すぎだけどそこがいいギターは、もはや「ロックンロール人間国宝」みたいなレベルのギターに達していると思う。
あと、「めずらしくおしゃれなコードを使っています」みたいな前置きをしてやった新曲が、確かに珍しいコード進行のメロディックな曲で、とてもよかったし、ピーズ的に新境地な感じがした。最新アルバムは2005年の『赤羽39』だから、もう丸3年以上経過している。2009年はアルバム出るんだろうか。曲はできているみたいだし、ライブとシングルでそれに触れることもできるので、いいっちゃいいんだけど、そろそろまとまった作品を聴きたい気もします。(兵庫慎司)
Theピーズ @ 代官山UNIT
2008.12.20