●セットリスト
1. REFLEXIÓN
2. R-18
3. え?あぁ、そう。[Labyrinth ver.]
4. 一騎当千
5. DOLL
6. クイーンオブハート
7. エンジェルフィッシュ
8. 光
9. 僕の外側
10. Labyrinth
11. ビーストインザビューティ [Reflexión ver.]
12. REVOLVER
13. ロスティナメイズ
14. DISORDER
15. Dearest, Dearest
(ENCORE)
EN1. ハートイーター
EN2. シンデレラ・パラドックス
EN3. カメリア・コンプレックス
EN4. With you
6月28日にリリースしたばかりの最新アルバム『Reflexión』を携え、7月1日の大阪公演から全8公演にわたり開催してきた「2nd TOUR -Reflexión-」のツアーファイナルが、7月23日、東京・Zepp DiverCityにて行われた。
この日はluzの24歳の誕生日ということもあり、ファイナル公演にしてバースデーライブという、自身最長ツアーで自身最大キャパでの公演は、luzにとって24歳の最高のスタートを切れたのではないかと思う。
開演前からファンたちの期待にあふれた会場に、公演中の注意事項を告げる影アナウンスが流れ始める。聞き覚えのある声だと思ったら、luzだ。この演出にファンたちは一瞬で歓喜の悲鳴をあげるが、これの意図には、ファンサービスも兼ねて、ちゃんと自分の口から公演の注意事項を伝えたいという意志も伝わってくる。なぜなら彼は、自身のTwitterやサイトのインフォメーションで、「ヒール等のかかとの高い靴は禁止」、「前方への割り込みの禁止」、「ペンライトの使用禁止」などを訴えてきたからだ。そのことをちゃんと、そして優しくファンに伝えるさまは、自身のライブを最高のものにするための確固たる思いすら感じる。
影アナウンスに会場は拍手と「はーい!」と行儀の良い返事をして、のち、BGMのボリュームが大きくなるとともに会場からは、待ちきれないと言わんばかりの手拍子が。そして、荘厳なSEとともにバンドメンバーと、luzが登場。
「待たせたな東京!」という掛け声とともに、アルバムのリード曲でもある“REFLEXIÓN”からスタート。バンドのフロントマンが全員前に出て、luzも1曲目とは思えないほどの気迫で、一気にボルテージをMAXへ。
そして間髪入れずに次の曲のイントロが流れ、「東京、調子はどうだ!」、「最高の景色を届けに来たぞ! 覚悟はいいか!?」とオーディエンスを煽り立て、「“R-18”」と曲紹介。すると、前の曲とは一転、このアダルトな曲を艶っぽい歌声で高揚を急き立てるように歌い上げる。それに応えるかのようにオーディエンスも、自分たちの腕をいっぱいに上に伸ばして、ライトを使用せずとも、一斉に揃って曲に合わせて手を振る。オーディエンスからも、目一杯このライブを楽しみたいという意気込みが感じられた。
“え?あぁ、そう。[Labyrinth ver.]”と続き、サビ前ではluzの煽りにオーディエンスも叫ぶように歌う。間奏ではRENO(G)のギタープレイに肩を組むなど、バンドメンバーとの息の合ったパフォーマンスをしつつ、「足りねーぞ東京!」と、“R-18”も“え?あぁ、そう。[Labyrinth ver.]”も官能的な曲なのに、このライブでは「別」の熱気を駆り立てる曲になってしまう――こういうところからもluzのこのライブにかけた気迫が伝わってくる。
「24歳になりましたー!」と始まるMCに、会場からは大きな祝福の声が。先程まで気迫あふれるパフォーマンスをし、それにあふれんばかりの熱気で応えていたとは思えないほどの会場の空気。luzのキャラも含め、このギャップがパフォーマンスの魅力をさらに惹き立てるのか――と思っていると、「気分はまだ23歳です」と笑いを誘うコメントが。「24歳初のライブ、そしてツアーファイナルということで。このライブに来てくれたってことは色んな気持ちで来てくれてる方々もいらっしゃると思うんですが、僕は全力をみんなにお届けするんで……」と続け、「お前らも全力できてくれるか!!」、「全力で飛ばしていくぞ!! 限界超えろ!!」と、緩めのMCから一気に次の曲へ畳み掛ける。
そして始まった“一騎当千”。叫ぶようにではなく挑発するように「跳べ」とか「かかってこい」と言ったり、逆に叫んで「もっと跳べって言ってんだろ!」とか「足りねーっつってんだろ!」とか、曲のイメージに合わせた抑揚のつけた煽り方で、完全に世界観を作っていた。
“一騎当千”は女性目線の挑戦的な曲だったのに対し、曲は激しいながらも届かない想いを抱く男性の心情を歌う“DOLL”と続く。そして艶かしく狂気的な感情を『不思議の国のアリス』の「ハートの女王」に例えた、アップテンポでジャジーな“クイーンオブハート”ではバンドメンバーもノリノリで演奏し、一方、愛のない恋に狂う“エンジェルフィッシュ”では、ムーディーなこの曲をスタンドマイクでしっとりと歌い上げる。
次の“光”では、眩しいほどの照明が当てられ、ミラーボールが使用されるなど会場全体が光に包まれる演出で、自分の名前と同じ(luzはスペイン語で「光」)この曲を、歌詞の切なさを含めて儚げに歌う。続く、別れの哀しみや辛さを描いた“僕の外側”も消えそうな声で歌い、オーディエンスはじっくりと聴き入っていた。
「夢みたいですね」と会場を感慨深げに見渡し、「今までの会場で一番大きい会場なんで、開演前、緊張してたんです」、「でも自分だけビビってちゃしょうがないなって思います」と、今日のこのライブへの意気込みを改めて語る。
バンドメンバー紹介後、Twitterで募集していたMCテーマを紹介。バンドメンバーからは「ツアーが始まる前とファイナルを迎えた今のメンバーの印象」が一番気になるとのことだったが、会場からの多数決で、「今日が地球最後の日ならこのメンバーの中で誰と何をして過ごすか」というテーマに決定。Leda(G / Far East Dizain)は、楽しくハッピーに過ごせそうということでLEVIN(Dr / La'cryma Christi)を選び、MASASHI(B / Versailles)はお酒が好きとのことで、luzと迷ったが、このツアーで一番一緒に飲んだというRENO、LEVINは音楽の趣味が合うとのことでLeda。ここで、楽屋でふたりがセッションしていてRENOがやっていたとのことでテツandトモの“なんでだろう”が披露され、会場では手拍子とともに笑いが。しかしここまで選ばれていない拗ね気味のluzに対しRENOが「俺が愛してやるから」と言うと、ふたりの熱い抱擁へ(笑)。このふたりのコント(?)の後、luzは、「ここに居る全員とライブしたいです! ここに居る全員が居ないと今が無いです!」と感謝の言葉と、「東京ファイナル、お前らも全員連れてくから、最後までついて来いよ!」と締めた。
後半戦、さっきまでのコントのようなMCとは一転、“Labyrinth”、“ビーストインザビューティ [Reflexión ver.]”で、一気にluzワールドに引き戻し、バンドメンバーも気合の入ったパフォーマンスを繰り広げる。休む暇を与えず“REVOLVER”、MASASHIのベースから始まった“ロスティナメイズ”ではluzとLedaの超至近距離にオーディエンスが沸いていた。
そして一旦luzが捌けるとRENOをはじめバンドメンバーが会場を盛り立て、上着を脱いだluzが再登場。改めて気合が入ったかのように、オーディエンスを煽り倒す。ヘヴィメタルばりの重低音が繰り出される“DISORDER”では、オーディエンスもこの日一番と思えるような盛り上がりを見せ、一斉にヘッドバンギング。「ひとつになる準備はいいか!」、「死ぬ気で暴れろ!」というluzの叫びにオーディエンスもありったけの声で応えた、こちらもヘヴィロックの“Dearest, Dearest”では「お前らの声、もっと届けて欲しいんだよ、俺に」とluzもありったけの感情をぶつけ、本編を終えた。
アンコールではグッズのTシャツを身に着け登場。「最高の誕生日です!」と改めて感謝を述べると、会場からは祝い足りないと言わんばかりの祝福の声が。「人生でこんなたくさんの人にお祝いされるのなんて初めてですよ。こんな幸せなことがあっていいのか」。また、男性ファンや親子連れのファンが増えたことで「年齢層が広くなっていくことは本当に嬉しいこと」と、先月の「EXIT TUNES ACADEMY TOUR 2017 -RAINBOW- 」ファイナル公演で言っていた、歌い手の文化の広がりと発展への思いをにじませた。
そして、バンドメンバーからのサプライズでケーキが登場、会場からも“Happy Birthday to You”の合唱が。
その後、曲が始まる前にバンドメンバーからの挨拶へ。Ledaはluzに対して「アルバム制作時からミュージシャンとして成長したluzくんが居て、一回り大きくなって、1stツアーの時から素敵な成長をしたんだなと思い、かつ、変わっていない部分もあって。このまま大きくなったらすごく素敵なアーティストになっていくんだろうなと思いながら、ツアーをやってきました。ツアー中もだんだんセットリストをモノにして、お客さんの盛り上げ方もメンバーと色々考えたり、充実していた」と、他のメンバーとともにluzの成長を讃え、素晴らしいツアーだったことを語った。
luzもメンバーそれぞれに「ヘコんでた時も励ましてくれた」、「後ろで支えてくれた」と感謝のコメント。Ledaへは、「バンマスのLedaさんが居てくれて、バンドをまとめてくれたからこそ、自分ひとりじゃなく、ひとつのバンドとしてパフォーマンスできた。Ledaさんのおかげです」と涙を堪え、声を詰まらせながら語った。
「こっからまだまだluzは続いていくから、お前らついて来いよ!!」と、ラストスパートとスタートダッシュを一気に振りかざし、「最高に今幸せです!」と“ハートイーター”、“シンデレラ・パラドックス”、“カメリア・コンプレックス”と歌い倒す。
「本当に今、最高の景色見てる」と最後のMCで改めて感慨深く会場を見渡し語り始める。「7月22日の夜に今までの人生を振り返っていて。17歳の時に(活動を)始めて、その時はこんな景色見れるなんて考えてなかった。みんなが笑顔で歌を聴いてくれて楽しんでくれるなんて思ってなかった」
「自分がluzになって初めて生きている意味を感じた。それをくれたのは、ここに居るみんなです。ここに居る一人ひとりの人たちが、僕の全ての力になっています」
「自分がluzとして居られる理由をくれるみんなが居るからこそ、僕は今も歌い続けられるなって、思います」
「みんなも辛い時があると思います。そんな時は支えたいなって。どんな辛い時だって、一つの物事を続けてみてください。僕はそれを続けて、今、みんなの前に立っています。どんだけ辛くても、絶対自分のためになる」
「次の曲は、初めて自分が作詞をして、支えてもらっているみんなに恩返しができたらと思って。23年間生きてきた僕の、精一杯のみんなに対するラブソングです」
そして、「愛を込めて歌います」と、ピアノの旋律が美しい“With you”へ。オーディエンスもluzの愛のこもった歌声に聴き入る。「本当に今幸せです」と涙を堪えるような声でつぶやき、最後まで歌い切った。
「人生で一番幸せな日をありがとう!!」
と、感極まるように深々とお辞儀をし、ステージの端から端へ、「みんな愛してるよ!!」と会場全てに感謝を伝えていた。
2時間半、ツアーの集大成とともに、24歳最初のライブとして、成長した姿を見せ、万感の思いがこもったライブは、これからのluzの躍進に期待が持てるものだった。(中川志織)
終演後ブログ