golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST

golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - ウエノコウジ All photo by 三吉ツカサウエノコウジ All photo by 三吉ツカサ
「いろんな人の50歳を祝ってきたんだけど……なんか、祝ってる方が性に合ってる感じだよね(笑)」と語るこの日の主役=ウエノコウジに向けて、「おめでとう!」と満場のフロアから次々にお祝いのメッセージが乱れ飛ぶ――。
まさにこの日に50歳の誕生日を迎えたウエノコウジを祝福すべく、ゆかりのアーティストが集結して開催されたバースデーライブ、その名も「golden jubiliee〜ウエノコウジ 50生誕祭」。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTthe HIATUSをはじめ彼自身が体現してきた日本のロッククロニクルの縮図とも言うべき、最高の一夜だった。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - ウエノコウジウエノコウジ
「私の50歳の生誕祭の時に、ウエノくんをベーシストでなく司会で呼んだら、今日司会に仕返しされました(笑)」という奥野真哉(SOUL FLOWER UNION)とちわきまゆみの2人が司会進行として登場。この日のホスト:ウエノを呼び込むと、O-EASTは割れんばかりの大歓声で満たされていく。
奥野「あれから50年も経つんですねえ」、ウエノ「知っとんのかい!」といった掛け合いを交えつつ、ウエノにPATCH(Vo・G)/楠部真也(Dr)が加わって、トップバッター=Radio Carolineのアクトへ。“STAND BY ME”、“DISCO MEXICO”とソリッドな3ピース・ロックンロールを連射、フロアをいきなり熱く震わせていく。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - Radio CarolineRadio Caroline
当初予定されていた武藤昭平withウエノコウジの出演は、武藤昭平が食道がん治療に専念しているため残念ながらキャンセルとなったが、この日は武藤昭平からウエノへ宛てたメッセージが届けられた。「せめてウエノくんへの誕生日プレゼントにと、ウエノくんの絵を描きました」、「追伸:頑張って復活します。少々時間がかかるかもしれませんが、待っててください。復活したら、また旅に出ましょう」と奥野が読み上げた文面に、そして「今日俺が楽しむことと、みなさんの歓声が、武藤さんへのエールになると信じて、あえていつも通りにやらしてもらいます!」というウエノの言葉に、高らかな拍手が巻き起こる。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 古市コータロー古市コータロー
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - クハラカズユキクハラカズユキ
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 山本健太山本健太
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 佐々木亮介佐々木亮介
続けて、ウエノコウジ(B)、古市コータロー(G/THE COLLECTORS)、クハラカズユキ(Dr)、山本健太(Key)によるスペシャルバンド編成「golden jubilee band」のステージへ。この日の出演者の中で最年少だった佐々木亮介(a flood of circle)が鬼ころしの紙パック片手に登場、アンダートーンズ“TEENAGE KICKS”とa flood of circle“I LOVE YOU”を披露したのを皮切りに、ゲストアーティストが次々に登場して奇跡の響演を繰り広げていった。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 花田裕之花田裕之
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 百々和宏百々和宏
ウエノが「ずっと憧れてました」と語った花田裕之(ROCK’N’ROLL GYPSIES)は、“ひとつ”に続けて「大好きな曲があって、『どうしてもやらしてください』って……」(ウエノ)、「めったにやらないですけど」(花田)という言葉に続けて、ウエノのウッドベースとともに“明日への橋”を披露。ロックの豊かさと凄味そのものの名演を展開してみせた。「飲まなかったらイケメン、飲んだら……雑巾以下(笑)」とウエノが愛情たっぷりに評した百々和宏MO’SOME TONEBENDER)は、エクストリームなエナジーに満ちたギターと絶唱でヴェルヴェット・アンダーグラウンド“I’m Waiting For The Man”とソロ曲“ロックンロールハート(イズネバーダイ)”を響かせてフロアを震撼させる。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - TOSHI-LOWTOSHI-LOW
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - TOSHI-LOWTOSHI-LOW
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 増子直純増子直純
そして、「鬼を呼びましょう!」というウエノのコールとともに舞台に登場したTOSHI-LOWBRAHMAN, OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)。バンダナとサングラスの世良公則ならぬ「世良TOSHI則」状態で“あんたのバラード”を激唱して会場を爆笑と歓声に包む一方、阪神・淡路大震災や東日本大震災など数々の災害に捧げられてきた祈りの歌“満月の夕”を「個人のために歌ったことないんだけど、病床の武藤昭平に……」と朗々と歌い上げ、熱い感動を呼び起こしていた。
「(出会った)当時、めちゃめちゃ怖かったですよ!」とウエノが語りかけた相手は増子直純(怒髪天)。“オトナノススメ”に続いては、「ウエノのリクエストなんか聞かないよ? ウエノのいろんないいとこを見たいとみんな思ってると思う!」とTMGE“武蔵野エレジー”を披露。「15年ぶりなんで……」と指にテーピングを施してウッドベースの弦をスラップさせるウエノと増子の熱唱に応えて、一面のシンガロングが湧き上がる。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 佐藤タイジ佐藤タイジ
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 奥野真哉奥野真哉
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 大木温之大木温之
佐藤タイジシアターブルック, TAIJI at THE BONNET)のパートではキーボードが奥野にチェンジ、TAIJI at THE BONNETでお馴染みの佐藤/ウエノ/奥野編成で“ROCK'N ROLL JEDI”から“ソノラ砂漠のドレッドライダー”へ流れ込み、ウエノが「ソロ弾きすぎる問題」と絶賛(?)した長尺のギターソロでO-EASTを魅了。続けて、「1991年、初めてギャラをもらったのがこの人たちのライブでした」というウエノの紹介で登場したのは大木温之(Theピーズ)。広島カープを模した「golden jubilee」記念Tシャツ姿ながら、実は阪神ファンのはる。「俺、鏡見てないから!」とボヤきつつ、ダムド“NEW ROSE”から“実験4号”へつないでロックとパンクの核心をぶち抜いてみせた。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - タブゾンビタブゾンビ
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - 加山雄三加山雄三
ここで「佐藤タイジがまだ弾き足りないって(笑)」(ウエノ)と再び佐藤が登場したのに加えて、タブゾンビ(SOIL&"PIMP"SESSIONS)が♪Happy Birthday To You〜のメロを吹きながらオンステージ。さらに、その後に続いて舞台に現れたのは、THE King ALL STARSでウエノと共演するレジェンド・加山雄三! 赤いギターを構えてサーフロックの名曲“ミザルーを弾きまくる御年80歳の加山のエネルギーに、場内が轟々たる歓喜に包まれていく。そして、名曲“君といつまでも”を麗しの歌声で自らマイクを差し出して、間奏の口上をウエノに託す加山。「幸せだなあ……みんなが来てくれて、僕は一番幸せなんだ! 僕は死ぬまで、君を離さないよ!」と照れ臭そうなウエノに、怒濤の大歓声が吹き荒れていた。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - ウエノコウジ&加山雄三ウエノコウジ&加山雄三
しばしの転換時間を経て、この日の最後を飾ったのはthe HIATUS! “Insomnia”、“ The Flare”の凄絶なアンサンブル、“Clone”の清冽なダイナミズム――細美武士(Vo・G)/masasucks(G)/伊澤一葉(Key)/ウエノコウジ(B)/柏倉隆史(Dr)という精鋭たちの繰り出す一音一音が、圧倒的な生命力とスケール感をもって鳴り渡り、O-EASTに見果てぬ音の地平を編み上げてみせる。
常に自らの音楽と演奏を刷新し続け、バンドサウンドの限界のその先を切り開いてきたthe HIATUS。そんなバンドの在り方そのものの熾烈なサウンド越しに、フロアを刻一刻と高揚させていく……そんなストイックなプレイから一転、「今日は主催・コウジ先輩、ヒーローはこの人だけど、俺たちthe HIATUSにとっては『うちのバンドのベーシスト』なんで。これからもよろしくお願いします!」と晴れやかに呼びかける細美の言葉に、一面の拍手喝采が広がる。
golden jubiliee 〜ウエノコウジ 50生誕祭/渋谷TSUTAYA O-EAST - the HIATUSthe HIATUS
見渡す限りのシンガロングに沸き返った“Thirst”、音の幾何学模様のような鮮烈なプレイが熱いクラップを呼び起こした“Bonfire”に続けて、ウエノへ誕生日プレゼント=木製のグラスを進呈しつつ「ウエノさんが酒飲んで前後不覚になってるのが大好きなんですよ。すごい人格者だから、たまにぶっ壊れてるのを見るのが好きで。体に気をつけながら、これからも一緒にお酒を飲みたいなと」とメッセージを伝える細美。さらに続けて「今、武藤さんは闘病中です。帰ってきてほしいなっていう想いをこめて――」という言葉とともに演奏された“Radio”の音世界が、オーディエンスの大合唱と響き合っていった。

終盤は“Silver Birch”、“紺碧の夜に”、“Sunburn”とエモーショナルなナンバーを畳み掛けて圧巻の大団円!……と思いきや、最後に再び5人が登場。「今年で9年目かな? あんまりうまくいかない時に、俺はthe HIATUSに拾ってもらって、すごく嬉しかった」とウエノが感慨深げに振り返って語る。「『またバンドができるなあ』と思って、この曲ができた時にすごく嬉しくて。俺は昨日リクエストしてみました。ちょっと古い曲だけど、最後にもう1曲やらしてください!」と披露したのは、1stアルバム『Trash We'd Love』の“Ghost In The Rain”だった。the HIATUSの「原点」の楽曲が、祝祭の1日の終わりをどこまでも美しく彩っていった。(高橋智樹)


●セットリスト

Radio Caroline
1.STAND BY ME
2.DISCO MEXICO

golden jubilee band ウエノコウジ / 古市コータロー(THE COLLECTORS) / クハラカズユキ / 山本健太
1.TEENAGE KICKS / 佐々木亮介(EG・Vo)
2.I LOVE YOU / 佐々木亮介(EG・Vo)
3.ひとつ / 花田裕之(EG・Vo)
4.明日への橋 / 花田裕之(EG・Vo)
5.I’m Waiting For The Man / 百々和宏(EG・Vo)
6.ロックンロールハート(イズネバーダイ) / 百々和宏(EG・Vo)
7.あんたのバラード / TOSHI-LOW(Vo)
8.満月の夕 / TOSHI-LOW(Vo)
9.オトナノススメ / 増子直純(Vo)
10.武蔵野エレジー / 増子直純(Vo)
11.ROCK'N ROLL JEDI / 佐藤タイジ(EG・Vo)
12.ソノラ砂漠のドレッドライダー / 佐藤タイジ(EG・Vo)
13.NEW ROSE / 大木温之(Vo)
14.実験4号/ 大木温之(Vo)
15.ミザルー / 加山雄三(EG)
16.君といつまでも / 加山雄三(Vo)

the HIATUS
1.Insomnia
2.The Flare
3.Clone
4.Thirst
5.Bonfire
6.Radio
7.Silver Birch
8.紺碧の夜に
9.Sunburn
(アンコール)
EN1.Ghost In The Rain



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