家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール

家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール - All photo by 田中聖太郎All photo by 田中聖太郎


●セットリスト
01.Prime Numbers
02.愛してないなら
03.もし君を許せたら
04.Neon Nights
05.君がくれた夏
06.Silly
07.ずっと、ふたりで
08.Relax
09.JIKU
10. Whenever
11. この世界で
12. Bicolor
13. Spark
14. Overflow
15. ファンタジー
16. Bless You
17. サザンカ

(アンコール)
EN01. めがね
EN02. サブリナ
EN03. Bouquet
EN04. Say Goodbye



家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール

家入レオ 7th Live Tour 2019 ~DUO~」ファイナル公演の会場は、幕張メッセ国際展示場9.10ホール。青を基調とした衣装に身を包んだ家入レオがステージに現れた瞬間、全エリアの客席から猛烈な歓声が沸き起こった。そして届けられたのは、最新アルバム『DUO』でもオープニングを飾っていた“Prime Numbers”。瑞々しい質感の歌声が、サビに差し掛かると、一気に凛々しさを帯びる様に引き込まれる。続いて、悲しみを深く滲ませながら迫ってきた“愛してないなら”。揺れ動く心が鮮やかに表現されていた“もし君を許せたら”。軽快なビートを乗りこなしながら歌っている姿が、実に心地よさそうだった“Neon Nights”……歌声の色合いを豊かに変化させて、各々の曲に脈打っている物語を奥行き深く表現している様が、とても印象的であった。

家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール

物語の語り部のようであり、シアトリカルな面も感じられる歌唱スタイルについて、彼女は最初のMCで実に的確なことを言っていた。「この曲とこの歌詞だったら、主人公は、こういう服装をしてたり、こういう過去があったり、こういう癖を持ってるんじゃないかな?っていうインスピレーションが湧いてくるんです。わかりやすく言うと、私はコーヒーが好きだけど、例えば、楽曲の主人公がコーヒーを飲まない子だなと思ったら、実生活でもコーヒーを飲まなくなっちゃうんです。歌ってる時に演じてるというわけではなくて、外側は音楽を伝えるためにその楽曲に染まるんですけど、楽曲で描き出されてる感情は、自分が今まで生きてきた喜怒哀楽を使ってるというか」。楽曲と本人の二重奏のようなものが彼女にとっての音楽であり、それがアルバム『DUO』のタイトルに込めた意味である旨も語っていたが、まさしくそういう表現を、彼女はこのライブでじっくりと示してくれた。

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初めて彼女のライブに足を運んだ観客には自己紹介の意味を込めて、いつも来てくれている観客には、新しいサウンドアレンジを楽しんでほしくて用意したのだというお馴染みの3曲“君がくれた夏”、“Silly”、“ずっと、ふたりで”が披露された後、スペシャルゲストの尾崎雄貴(BBHF)が登場した。家入は、尾崎がGalileo Galileiとして活動していた頃からのファン。今までに何曲か提供してもらったことがあるのだが、「声帯を交換したいくらいなんです(笑)」というユニークな言い方でリスペクトを表明して、観客の和やかな笑いを誘っていた。そして、このふたりの共演で届けられたのは“Relax”。ロックテイストのバンド演奏が響き渡り、魅力的なふたつの歌声に彩られた様は、観客を爽やかに盛り上げていた。

“JIKU”、“Whenever”、“この世界で”、“Bicolor”など、アルバム『DUO』の多彩な収録曲を一気に披露した後、パンチを利かせた歌声で観客を激しく煽った“ファンタジー”や“Bless You”も経て、家入は観客に語りかけた。「10代でデビューしてからいろんな人と、いろんな素敵な音楽に出会いました。その都度、自分がやりたい音楽をやってきて、歌詞もメロディも変わって……けど、大事なことは、生まれてから死ぬまで、私の魂の形は、絶対に変わらないってことです。最後に聴いてください」。この言葉を添えて歌い始めた本編ラストの曲“サザンカ”は、10代の頃に地元の福岡から上京して、懸命に音楽活動を重ねながら、今日のこのステージに辿り着いた彼女の想いそのものだったのではないだろうか。エンディングの《歩いていくよ 今日も 歌っていくよ 明日も》というフレーズが、真っ直ぐに迫ってきた。

家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール

熱い手拍子と「レオ! レオ! レオ!」という声に応えて、ステージに戻ってきた家入は、バンドメンバーたちを紹介。“めがね”と“サブリナ”を披露した後、福岡の実家で曲を作っていた頃のことを振り返った。当時は「なんで自分ばかりが苦しいんだろう?」という想いを抱えていたが、デビューしてからたくさんのファンと出会い、つらいのは自分だけではないと感じるようになったのだという。「私はネガティブな方にどんどん転がっていくんだけど、このステージに立って、みんなと会えてよかった!って思いました。私をいつも引っ張り上げてくれるのは、みんなです。明日からそれぞれの場所に戻ったら、悲しいことってあるじゃないですか。その暗闇から一歩踏み出す勇気が、今日のこのライブにあってほしいなと、おこがましいけど思いながら歌ってました。振り向いたら絶対、私はここにいるから。ここから歌い続けるからっていう気持ちをひとつのブーケにして歌おうと思います」。そして、スタートした“Bouquet”は、途中から観客の大合唱も加わりながら会場の隅々にまで広がっていった。生み出された美しい歌声の響きは、胸に迫るものがあったのだろう。歌い終えた後、深々とお辞儀をした彼女は、両頬を伝った涙を拭っていた。

家入レオ/幕張メッセ国際展示場9.10ホール

アンコールで3曲が披露されて、一旦は終演を迎えたように思われたが、鳴りやまない拍手に応えて、彼女はステージに戻ってきた。そして、「すごい不思議だったのが……広い会場で歌ってるのに、思い出したのは福岡の実家の自分の部屋だったんです」と語った後、アコースティックギターを弾きながら“Say Goodbye”を歌い始めた。デビューのきっかけにもなったのだというこの曲を、素朴な弾き語りで届けたというのは、忘れてはいけない原点に立ち還る気持ちの表れだったのかもしれない。「これからも応援をよろしくお願いします。自分らしくのびのびと音楽をやっていきます!」と宣言して、ステージを後にした彼女を、観客の特大級の拍手と歓声が見送っていた。(田中大)

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