THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - All photo by 横山マサトAll photo by 横山マサト

●セットリスト
1.真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~
2.追憶のマーメイド
3.SPARK
4.Balloon Balloon
5.Tactics
6.球根
7.花吹雪
8.Four Seasons
9.Foxy Blue Love
10.SLEEPLESS IMAGINATION
11.熱帯夜
12.BURN
13.JAM
14.メロメ
15.天道虫
16.パンチドランカー
17.Love Communication
18.バラ色の日々
19.SUCK OF LIFE
20.パール
21.未来はみないで
22.楽園
23.ALRIGHT
24.悲しきASIAN BOY
25.プライマル。


「今回の東京ドームは、本来の俺たちが望むべき形じゃないかもしれませんけども……THE YELLOW MONKEYの勲章として、この日を自分の歴史に刻もうと思います」

2020年11月3日、東京ドーム。ライブ終盤、吉井和哉(LOVIN/Vo・G)は客席を見渡しながら感慨深げに語りかけていた。「ソールドアウト19,000人」という動員数は、5万人以上収容可能な同会場のキャパシティと比べれば半分以下の数字ではある。が、コロナ禍によって大規模なライブやイベントが全世界的に実現不可能な事態に陥っている中、ドーム会場でTHE YELLOW MONKEYと観客が再び一緒にライブを作り上げたこの日は、あまりにも重要な意義を持つ、新しい記念日と呼ぶに相応しい1日だった。

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

東京ドーム/横浜アリーナ/国立代々木競技場 第一体育館/日本武道館という、THE YELLOW MONKEYにとっても所縁の深い会場で行われる結成30周年記念公演=「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE」。
自身初のドームツアーのファイナルとして今年4月に開催予定だった東京ドーム2Days公演が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止を余儀なくされたTHE YELLOW MONKEYにとって、実に7ヶ月越しのリベンジの機会でもある今回のライブシリーズ。その中でも、4公演の幕開けを飾る「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL-」は、彼ら4人にとっても特に万感の想いが交錯する場だったはずだ。
しかし、この日のライブで何より際立っていたのは、オーディエンスの目の前で音楽を歌い奏でるあまりにもまっすぐな歓喜そのものだった。

入場時の「COCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ)」のチェックや手指の消毒、アリーナ/スタンドとも前後左右1席空き・市松模様状の座席配置でのソーシャルディスタンス確保など、感染拡大防止対策を行った上で開催されたこの日の「DOME SPECIAL」。リアルタイムの配信やWOWOW生中継など会場外の観客も開演の瞬間を待ち侘びる中、吉井和哉/菊地英昭(EMMA/G)/廣瀬洋一(HEESEY/B)/菊地英二(ANNIE/Dr)とサポートメンバー=鶴谷崇(Key)が舞台に登場。感染拡大防止のため歓声こそ巻き起こらなかったものの、ドーム一面に拍手が鳴り渡る。

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

彼らがこの日のライブの一曲目に選んだのは、雄大なグラムロックバラード“真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~”。「Everybody, clap your hands!!」の吉井のコールに応えて高らかな手拍子が広がり、《破壊されて灰だけのユニヴァース》のフレーズが象徴的に胸に響く。
さらに“追憶のマーメイド”から“SPARK”へ流れ込み、会場のボルテージを刻一刻と高みへ導いていく。《本当の君の顔が見える》のラインを、吉井は《本当の君たちの〜》と呼びかけるように歌っていた。オーディエンスの姿が目の前にある、という事実自体が貴重なものとなった「今」を、そんな歌詞のアレンジを通してこの日の名場面として刻んでみせた。

「元気でしたか東京!」と吉井が観客に語りかけ、「見た感じ、ちゃんと満員だ!」の言葉に応えて高らかな拍手が沸き起こる。
“Balloon Balloon”など最新アルバム『9999』の楽曲も盛り込みつつ、30年間の歩みを凝縮したようなセットリストでこの日のアクトに臨んだTHE YELLOW MONKEY。“Tactics”では吉井が「声は要らないから、体でください!」と呼びかけると、客席一面見渡す限りにダンスと高揚感の輪が広がっていく。

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

ライブ中盤には鶴谷を舞台に残し、アリーナ中央のセンターステージに4人が移動して演奏する一幕も。ブギーナンバー“Foxy Blue Love”や“SLEEPLESS IMAGINATION”のような初期の楽曲、LEDビジョンに映し出された過去のライブ映像も含め、あたかも巨大なライブハウスのような一体感を生み出していく。

活動休止→解散前の2001年の東京ドーム公演を「あんまり晴れ晴れとした気持ちでできなかったものですから、どうしてもその気持ちがずっと胸の中にあって」と振り返り、終わりの見えないコロナ禍の最中でのライブについて「たぶん日本で、いや世界で初めてかなあって思います、このドームクラスのライブは」とスタッフの懸命の努力に言及する吉井。
そして、「忘れないでもらいたいです。俺たちの姿を、覚えていてほしいです」という言葉とともに、「THE YELLOW MONKEYのロックンロール」と紹介して演奏したのは“JAM”だった。観客の腕を彩るFreFlow(フリフラ/リストバンド型LEDライト)が会場を真紅の海原の如く染め上げる中、世界の憂いと矛盾を歌い上げたロックバラードが強く、優しく鳴り渡っていた。

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

4人がメインステージに戻り、“メロメ”の壮大なオーケストレーションからライブは早くも後半へ。菊地英昭の鋭利なリフワークと廣瀬&菊地英二のタフなビートが会場の熱気を震わせた『9999』のハードロックナンバー“天道虫”から“パンチドランカー”、“Love Communication”と息つく間もなく畳み掛けていく。
「30周年だけど、また今日から新しい時代が始まったと思いますんで。一緒にまた頑張りましょう! そしてまた、40周年、50周年、またここで絶対にやらせてもらいたいなと思っております! その時は、テレビやネットでご覧のみなさんも、ぜひここに集まってください!」
そんな吉井の言葉に続いて響き渡ったのは“バラ色の日々”。オーディエンスのシンガロングの代わりに、事前にファンの歌声を募集する企画「Sing Loud! あなたの声を、会場へ、メンバーへ。」を通じて寄せられた熱唱が、グラマラスなバンドサウンド&客席の熱気と共鳴しながら会場一面に広がっていった。

さらに“SUCK OF LIFE”から“パール”へとギアを上げてみせたところで、本編のラストを飾ったのは、THE YELLOW MONKEYの現時点での最新楽曲“未来はみないで”だった。実際には再始動の狼煙的楽曲“ALRIGHT”よりも先に制作されていた“未来はみないで”。「こんな世の中になるとは思わないでつけたタイトルの曲を聴いてもらいたいと思います」と歌い始めたこの楽曲の《好きな歌を一緒に歌わないか? そのために歌があるなら》の一節が、この困難な時代の中で音楽の根源を指し示すように、どこまでも切なく神秘的に響いた。

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

“楽園”でダイナミックにアンコールを始めた4人&1人。“ALRIGHT”で晴れやかに突き上げた「Everybody、30周年おめでとう! ありがとう!」のコールと《何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ》のフレーズが「今、ここ」の喜びを目映く照らし出し、“悲しきASIAN BOY”では舞台に降り積もった桜色の紙吹雪の中に吉井が身を投げ出してロックの祝祭感を鮮烈に体現してみせる。
最後は“プライマル。”で圧巻のスケール感のバンドアンサンブルを繰り広げて――終了。記念撮影を終え、「またやるぞ!」とぶち上げる吉井の声が、熱い福音のように胸を震わせた。

「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE」の次回公演は本日11月7日(土)・横浜アリーナ。その後は12月7日(月)・代々木第一体育館、12月28日(月)・日本武道館まで計4公演にわたって開催される。(高橋智樹)



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