チャットモンチー @ NHKホール

チャットモンチー @ NHKホール - チャットモンチーチャットモンチー
 ニュー・アルバム『告白』のリリース・ツアーにして、チャットモンチー初のホール・ツアーの東京公演、渋谷NHKホール2デイズの1日目。ツアーはまだまだ続くので、セットリストや演出等の詳細は伏せますが、まずいくつか箇条書きにしておきます。

●当然ながら『告白』の曲が中心、プラス若干の過去の代表曲たちをプレイ。

●ライブハウスをそのまんまホールに拡大したみたいな、シンプル極まりないステージ・セットでした。

●この日はベース福岡晃子の、26歳の誕生日。アンコールを終え、3人が客席をバックに写真を撮っていたら突然スティーヴィー・ワンダーの“HAPPY BIRTHDAY”が鳴り響き、ソデからスタッフがでっかいバースディケーキを押して登場、照明が落とされ、お客さん全員で「♪ハッピバースデー、トゥーユー」と大合唱、というサプライズあり。本人、感極まっておられました。ちなみに、ドラム高橋久美子は11日の神戸で27歳の誕生日を迎え、同様のサプライズがあったようです。ちなみに、橋本絵莉子の誕生日は10月17日。一人だけ不公平な気がしないでもない。

●この日、高橋久美子の家族が愛媛から観に来ていることとが、MCで明かされました。それから、“Last Love Letter”のPVに出演している「おばあちゃんになったチャットモンチー」の3人が来場していることも、明かされました。3人、2F席の最前列で、皇族のように皆様に手を振っておられました。

で、演奏。ほんとに面白いバンドだと観るたびに強く思うんだけど、自分の中のその「強く思う度」が過去最高数値を記録した、そんなライブだった。
何がすごいって、バラバラなのだ、チャットモンチーのライブって。それぞれの音が噛み合っていないとか、そういうことではない。コードもリズムも間合いもちゃんと合ってるんだけど、なんというか、「たまたま合ってるだけ」みたいな響き方なのだ。
人のためにやっている感じがしない。ただ自分のためだけに、自分が気持ちいいように楽器を鳴らしている感じ。「絵莉子の歌を盛り上げるために神経を集中して」とか、「互いの音をよく聴いて、曲に寄り添って」みたいなノリが、全然ない。
3つの楽器と歌が、1点を目指して集まっていくのとは反対で、3つの楽器と歌が、1つの曲から放たれてバーッとどこまでも拡散していく、そんな鳴り方。だから、グルーヴとか、ウネリとか、そういうものは生まれようがない。歌、ギター、ベース、ドラム、それぞれの音だけが出るスピーカーがステージに4本立っていて、それがいっぺんに鳴っている――イメージとしてはそんな感じ。

そんなのありなのか? バンドとして。なしだと思う、本来なら。でも観ると何故かあり、どころか超大ありなのがほんとに不思議だし、他のバンドには絶対にやれないチャットモンチーの面白さだと思う。
自由に好き勝手にやっている分、音がほんとにいきいきしている。正に生命力みなぎりツアー。それは前のツアーだ。でもほんと、おっさんの俺が、つい「ドラム叩きたいなあ」とか「ベース弾けるようになりたいなあ」って思ってしまうくらいだから、これ高校生とかにとっては魔物みたいなもんだろうなあと思った。
チャットモンチーのツアーが通ったあとの地方は、みのもんたのココアのように楽器屋からギターやベースが消える。そんな妄想まで浮かびました、観ていて。

ここまで書いて、何故チャットモンチーがそうなのか、わかった。要は、3人ともボーカリストなのだ。実際にじゃなくて、ステージに立つ時のスタンスが、つまりミュージシャンとしてのありかたが、です。だから、自分が合わせるんじゃなくて、自分に合わせてもらうのが当然なのだ。そんなのが3人いて、それでも何故か成立してしまっている。ほんとに謎だと思う。
チャットモンチーって、ライブの時メンバー紹介しないでしょ。あれも同じ理由だ。する必要がないんだと思う。メンバー紹介って、普通、ボーカルが他のメンバーを紹介するもんだから。(兵庫慎司)
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