9mm Parabellum Bullet/LINE CUBE SHIBUYA

9mm Parabellum Bullet/LINE CUBE SHIBUYA - All photo by 西槇太一All photo by 西槇太一
9mm Parabellum Bulletです! 本当に俺たちです。本当にみんなだよね? 来てるよね?『カオスの百年 vol.13』にようこそ! 1年かかりましたが、こうして今日この場でライブができて、本当に嬉しく思います」。
万感の想いとともに呼びかける菅原卓郎(Vo・G)に応えて、広大なホールの空間に高らかな拍手が巻き起こっていく――。

9mm Parabellum Bulletが初期から開催している自主イベント「カオスの百年」の第13弾となる「カオスの百年 vol.13」。当初は2020年3月17日にLINE CUBE SHIBUYAで予定されていた同公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2度の延期を経て、同じ舞台でちょうど1年越しのリベンジ開催が実現。昨年実施予定だった全国ツアー「カオスの百年〜Never Ending Tour 2020〜」も延期の後に中止となってしまったこともあり、開演前から観客の熱気が静かに、しかし確かに会場を満たしている。そして――。

9mm Parabellum Bullet/LINE CUBE SHIBUYA

菅原卓郎/滝善充(G)/中村和彦(B)/かみじょうちひろ(Dr)とサポートギタリスト・武田将幸(HERE)の5人がオンステージすると、冒頭の“太陽が欲しいだけ”から客席激震の狂騒感! シンガロングも歓声もないものの、曲に合わせて踊り、跳ね、拳を掲げるオーディエンスの歓喜が、LINE CUBE SHIBUYAを紅蓮の高揚感で包んでいく。さらに、“DEEP BLUE”、“白夜の日々”と畳み掛ける頃には、会場は凄絶なまでのロック祝祭空間へと塗り替わっている。

9mm Parabellum Bullet/LINE CUBE SHIBUYA

事前にアナウンスされていた通り、この日のライブは「キャパ100%」での開催。「5,000人又は収容定員の50%のいずれか大きい方を上限」、「大声での歓声、声援等がないことを前提としうるもの→100%以内」という東京都のイベント開催ガイドラインを遵守し、当日の感染防止対策も特に入念に行ったうえでの実施となった。
緊急事態宣言の延長に伴うチケット払い戻しに対応したこともあり、当日の客席には空席もあったものの、それだけに参加を決めた観客の意識と情熱がひときわ切実に感じられる一夜だった。

9mm Parabellum Bullet/LINE CUBE SHIBUYA

そして、この日のセットリストの軸を構成していたのは、ライブに先駆けて行われた「LINE LIVE」でも告知されていた「レア曲10連発」。昨年10月にリリースされたインストシングル『Blazing Souls』のカップリング曲“Burning Blood”では滝がステージ前列に飛び出してオーディエンスを煽ったり、滝&菅原のツインリード/滝&武田のツインタッピングなど、インスト曲の概念を心地好く覆すダイナミズムを体現してみせた。

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1stアルバム『Termination』の“Heart-Shaped Gear”から一転、中村&かみじょうの変幻自在なリズムワークが光る“EQ”&“オマツリサワギニ”(シングル『生命のワルツ』)、さらに“Face to Faceless”(4thアルバム『Movement』)……とディープかつミステリアスな音空間を描き出していく9mm。「10連発って銘打ったんですけど、さすがに目眩がしてくるかと思って(笑)」(菅原)と一旦ブレイクを挟んだ後、“銀世界”(『Movement』)で繰り広げた清冽なる轟音の風景が、9mmの音楽のスケール感と凄味を観る者の脳裏に改めて鮮烈に刻み込んでいった。

「10連発」はさらに“Lady Rainy”(6thアルバム『Waltz on Life Line』)、“Snow Plants”(シングル『Answer And Answer』)、“午後の鳥籠”(シングル『サクリファイス』)、“Faust”(2ndアルバム『VAMPIRE』)と続く。この日でちょうど結成17周年を迎えたバンドの足跡を、シングル表題曲/アルバムのリード曲ではなくレア曲で辿るようなこの日限りの選曲は何より、バンドから観客への最高のオマージュとして響いた。
「俺たちが『ライブをしようと思います』って言ったらみんなが来てくれて、っていうことは、思い返せば全部が特別だったわけだと。そんな特別なものが、やっぱり俺たちは日常にあってほしいので。またライブをしたり、CDをリリースしたり、っていうことをやっていきたいと思います」……菅原の言葉に拍手が広がる。

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「今年も一年、健康第一でいきましょう! なぜなら、6月にツアーやりますから!」と「その先」への意欲を掲げ「ありがとう渋谷! いけるかーっ!」とシャウトを突き上げたところで、“名もなきヒーロー”のエモーショナルな歌声と音像に客席が熱く揺れ、ライブはさらなるクライマックスへと昇り詰めていく。 
“marvelous”を掛け声が出せない分、クラップで盛り立てようとするオーディエンスの熱気。“Talking Machine”のタフなビートに身を委ねた思い思いのダンスの多幸感――。この困難な状況の中で現実と対峙しつつ、精一杯に衝動を燃やし生きようとするバンドと観客の想いが真っ向から響き合い高め合う、至上のロックアクトだった。激烈ショートチューン“Lovecall From The World”を轟かせて舞台を去るメンバーに、惜しみない拍手が降り注いでいった。

昨年の秋から実施が延期されていた、9mmのトリビュートアルバム『CHAOSMOLOGY』のリリースツアー=「カオスの百年 TOUR 2020 ~CHAOSMOLOGY~」は、6月6日(日)から全6公演にわたって開催される。(高橋智樹)

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