JAPAN CIRCUIT @ SHIBUYA-AX

JAPAN CIRCUIT @ SHIBUYA-AX - HALCALIHALCALI
JAPAN CIRCUIT @ SHIBUYA-AX - 福原美穂福原美穂
JAPAN CIRCUIT @ SHIBUYA-AX - マボロシマボロシ
JAPAN CIRCUIT @ SHIBUYA-AX - SEAMOSEAMO
HALCALI/福原美穂/マボロシ/SEAMO、というアクトで行った45回目のJAPAN CIRCUIT、本当にいいイベントになりました。参加してくれたみなさん、出演してくれたみなさん、本当にありがとうございました。以下、1アクトずつレポートです。

1.HALCALI
今やパリでも大人気。国内でも……「でも」っておかしいが、2月にリリースした、CHARAの名曲をサンプリングしたシングル“Re:やさしい気持ち”がとても話題になったばかりのHALCALI、AXのステージに上がったのは今日が初めてだったそうで、そのせいもあってか、ややはしゃぎ気味、というか、楽しそうでした。特に後半はもうフロアをあおりまくり、フロアも即座に反応しまくりで、2人ともさらにうれしそうな顔に。
ただし、「テンションアップ!」とか「激アガリ!」みたいには決してならない、どんなに盛り上がってもどんなに楽しくなっても、なんだかふにゃーっとだらーっとしたまんまで、常にゆるさが付きまとう感じ。それがHALCALIの素敵な特徴だと、改めて思った。で、それがとても貴重だし、オリジナルだと思った。「アガれる人」「アゲられる人」は多いけど「ゆるく楽しくできる人」って少ないと思うので。斉藤和義の「いぇ〜い」に匹敵する、いいゆるさです。
なお、その“Re:やさしい気持ち”の前にやった“Check !! Check!! It! 〜愛”は、真心ブラザーズ『KING OF ROCK』収録の名曲のカバーです。

2.福原美穂
本日のアクトの中で「知ってるけど観たことがない人多し」チャート、1位。昨年デビュー組の中で明らかにトップクラス、しかしそんなにいっぱいライブやっていないし、こないだの初のツアーも知名度のわりに小さいハコだったし、生で観たことがあるという音楽ファンは限りなく少ないはずであって、ゆえに最初、フロアは「ほう、これが福原美穂か」という雰囲気。はっきり言って、やりづらかったと思う。が、1曲終わるごとに拍手と完成が目に見えて大きくなっていって、最後にはフロアを完全にまとめ上げていた。
バケモノみたいな声で超人的な歌を歌い、客は唖然としながらそれを拝聴するのみ、みたいなライブをやる人なんだろうなあ。と勝手に思ってたんだけど、そんなことはなかった。いや、歌はすごいんだけど、「鑑賞する」んではなくて「思い入れる」とか「共感する」、つまり聴き手が「自分のこと」として受け取る歌を歌う人だった。今日初めて観て、彼女を好きになった人、多いと思う。ただ、21歳という年齢を考えると、それでも充分モンスターだとも思う。

3.マボロシ
Dさん、かっこよすぎ。赤い長袖Tシャツにジーンズ、という、全アクトの中で最も普段着ないでたちにもかかわらず、ステージに現れた瞬間から去るまで、なんかもう、スター。一挙手一投足、表情、ちょっとしたアクション、ひと声ひと声、もうすべて、「華あるわあ」という感じ。「ある」んじゃなくて、もう華そのものかも。で、華だけじゃなく、ドスの効いた迫力もある。確か俺より2つ下なんだけど、そのことを忘れて敬語でしゃべりたくなる感じ、といいましょうか。竹内朋康も、あの、シャープでワイルドで豪快、なのに緻密なギターを思う存分響かせる。
全7曲中、デビューシングルだった5曲目以外はすべて1ヵ月前に出た3rdアルバム『マボロシのシ』からの曲。東名阪のアルバム・リリース・ツアーは5月4日名古屋クアトロからスタートなので、それに先駆けたプレ・ライブみたいな、おいしいメニューでした。
ラスト2曲には、今ひっぱりだこのボーカリスト&キーボーディスト、さかいゆうが登場。先日のKREVAの横浜アリーナに登場した時にも思い知ったけど、この人のスイートで透明な声は、その曲のメロディの美しさを確実に2倍にも3倍にもする、そんな魔力みたいなものに満ちている。
日本のエルトン・ジョンと呼びたい。と一瞬思ったが、この呼ばれ方、本人的にはうれしいんだろうかイヤなんだろうか。こっちは絶賛してそう言っているつもりなんだけど。

4.SEAMO
そしてトリはSEAMO。3月17日に、お隣の代々木競技場第一体育館でのワンマンを観たばかりなので、この距離で観られるのがとても貴重に思える。ただ、本人のテンション、大会場とまったく変わらず。だんだんアゲていくのではなく、1曲目“ここで会ったが運命”でスタート、いつものダンサー×4を引き連れて登場した瞬間から、ステージの上も下も、もういきなりピーク。2曲目で早くも大ヒット・チューン“ルパン・ザ・ファイヤー”、さらにフロア爆発。もう、ただのワンマン状態。すごいなあ、と思っていたら、1回目のMCで「こないだのツアーが終わって以来、こんなちゃんとした尺のライブをやるのは初めてで、もう息あがってます」と笑いをとる。緩急自在。
もちろん、例の天狗スタイルのパフォーマンスあり、DJ SHOESのスクラッチ・ショーあり、アンコールで“Fly Away”あり。計10曲が一瞬にして終わった、そう感じた。
この人のライブを観るたびにいつも、叩き上げの強さみたいなものを感じる。自分を観に来た人ばかりじゃないクラブという現場で、いかに楽しませ、いかに巻き込み、いかに勝つか、というところから始めて一歩一歩前に進んできた、その基本スタンスが、大メジャー・アーティストになった今でも、まったくブレていない。今でもハングリーな闘志に満ちてステージに立っている感じ。だから面白いし笑えるし泣ける感じ。さすがだなあと思った。

以上、あっという間の3時間半弱でした。次回JAPAN CIRCUITは5月30日(土)、BEAT CRUSADERS/the HIATUS/Yacht.の3バンドが出演です! (文=兵庫慎司/撮影=スズキメグミ)


HALCALI
1.Twinkle Star
2.ア ONE TWO
3.Check!! Check!! It! 〜愛
4.Re:やさしい気持ち
5.ギリギリ・サーフライダー
6.若草DANCE
7.春狩道〜19の夜〜

福原美穂
1.CHANGE
2.Lose Control
3.HANABI SKY
4.優しい赤
5.LOVE〜winter song〜
6.ANYMORE

マボロシ
1.雑種犬
2.ジェイラップ
3.Music Is Mine
4.なんとかなんのさ
5.SLOW DOWN!
6.記念日 feat.さかいゆう
7.ヒーロー feat.さかいゆう

SEAMO
1.ここで会ったが運命
2.ルパン・ザ・ファイヤー
3.はじめの一歩
4.FRIDAY NIGHT FEVER
5.tbp
6.天狗祭りのテーマ
7.Honey Honey
8.Cry Baby
9.Continue

アンコール
10.Fly Away
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