lego big morl @ 渋谷クラブクアトロ

lego big morl @ 渋谷クラブクアトロ
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うわあ、格好ええ。

それが、彼らがステージに姿を現して最初の一音を掻き鳴らしたときの正直な第一印象。昨年リリースのミニ・アルバム『Tuesday and Thursday』から徐々に騒がれはじめ、メジャー・デビュー・アルバム『Quartette Parade』を今年1月にリリースしてからはどんどんとその渦が大きくなってきているギター・ロック・バンド、lego big morl。初のワンマン・ツアーの東京公演がこの渋谷クアトロだ。この日のチケットは発売早々にソールド・アウトし、5月29日には赤坂BLITZで追加公演が行われることも決定している。快進撃を続けるバンドの力強い勢いが、この日のステージにも充満していた。

彼らのステージは、ボーカル&ギターのカナタタケヒロが上手、ベースのヤマモトシンタロウが下手に位置し、ギターのタナカヒロキが中央に陣取るという編成。長身でルックスにも恵まれたフロントマンが並ぶ絵にはかなりの“華”があるが、彼らの魅力は勿論それだけじゃない。変幻自在のリズムを軽々と乗りこなしていく多彩な曲調。そして、カナタの張りのある伸びやかな歌声。アサカワヒロの重量感あるドラムに、ガッシリと組み合うように鳴らされる3人の音。3月からひたすら対バンツアーで鍛えてきただけあって、鋭く激しいアンサンブルにはライブ・バンドならではの底力が満ちている。特に、長い髪を振り乱しながらトリッキーなフレーズを次々と繰り出すタナカのギターには思わず目を奪われる。でも、その爆音にも一切負けることなく、歌のメロディがまっすぐに突き刺さってくる。

ツアーはまだまだ続くので曲順の詳細は伏せるが、2枚のアルバムを経たバンドの“今”をしっかりと伝えるような内容のライブ。突っ走るような攻撃的なナンバーの多いlego big morlだが、特に印象的だったのが、やはりシングルとしてリリースされた“Ray”だった。静かなギター・リフから始まり、祈るようなメロディが響くミドル・バラードのこの曲。以前に話を訊いたときに「必殺の一曲」と語っていただけあって、一瞬で会場の空気を塗り替えるような力を持っている。そしてこの日は、7月にリリースされる新曲“溢れる”もプレイされた。こちらは“Ray”とは対称的に、衝動100%を詰め込んだような熱いナンバー。まだリリース前だというのに、お客さんからは「オイ! オイ!」のコールが湧き上がる。タナカはなかば暴れながらギターを弾いている。強力だ。

「お前らに会いたかったんだ! 今日は最高だ!」と叫んだり、終始ハイテンションだったカナタ。大阪人らしくMCでは随所にギャグを差し挟んでくるのが彼らなのだけれど、この日はとにかくエネルギッシュな姿を見せてくれた。アンコールのラストが終わってSEが流れてもお客さんの拍手は止まず、最後には4人が再びステージに上がって挨拶と記念撮影を行って、この日のライブは終幕。きっと彼らはこの先どんどん大きな存在になっていくだろう。はちきれんばかりの大きな可能性を感じた一夜だった。(柴那典)
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