正確にはこれ、リキッドルームが恵比寿でリニューアルオープンして5周年、を記念して、何本か行われているシリーズ・イベントのうちの1本で、この夜はagraph/ASA-CHANG&巡礼/rei harakami/砂原良徳の4組が出演。つまり、別に彼メインのイベントではないわけで、ならば4組ともタイトルに表記するのが本来は正しいのですが、なんせ7年ぶりのライブ! ということで、ついこう書いてしまいました。ご了承ください。
8年ぶりの自分名義のアルバムである、映画『NO BOYS,NO CRY』のサウンドトラックが7月29日に出て、それに伴いようやくライブをやる気になったらしく、8月7日(金)にサマーソニック幕張、9日(日)に新木場・夢の島公園のフェス「WORLD HAPPINES 2009」、14日(金)にはRISING SUN ROCK FESTIVAL、と出演が発表されており、今日はその前哨戦ということになる。
出番はトリ。その前に出たASA-CHANGをゲストに呼び込んだりして盛り上がった、そして相変わらずすんげえきれいな音(って大変に幼稚な言い方ですがそうとしか形容しようがない)で堪能させてくれた、rei harakamiの次。
ステージの右端と左端に、一本足のスタンド(7年前に『エレクトラグライド』に出演した時に作ったオリジナルスタンドだそうです)に載った、シンセやマックなどの機材が、おんなじフォルムで置かれている。
まず、SEなのか1曲目なのか判然としない、トラックが鳴り始める。映像も流れ始める。おお遂に! と、沸くフロア。しかし、まりん、なかなか出てこない。
あんまり出てこないもんだから、「これはもしかして、昔エイフェックス・ツインがやったみたいな、『姿は見せずに機材だけ操作するライブ』をやるつもりなのか?」「あのエイフェックスのライブ、恵比寿ガーデンホールのイベントだったよな」「確かもう10年くらい前だよな」「お客の大半が最後までエイフェックスだってわからないまま観ていて、あとで『あれエイフェックスだったのか』『ふざけるな、金返せ』『ちょっと待て、おまえ音を聴きにきたんじゃなくてリチャード・D・ジェームズの姿を観に来たのか? それって何か違うんじゃないか?』とか、結構な騒ぎになったよな」「サマソニ初日のエイフェックス、間違いなく入場規制かかるだろうな、早く移動しとかないとな」などと、頭ん中がすっかり脱線した頃、ようやく本人が登場。
サポートのメンバー1名との、2人体制。えーと、曲数とか、曲目とか、内容とかに関しては、サマソニも「WORLD HAPPINESS」もライジングも、同じセットでやる可能性が高いと思うので、書くのやめておきますが、とにかく、
音も、映像等の演出も含めて、とにかくシンプルで、あっという間。
7年ぶりならではのドラマチックさとか、重々しさとか、「7年前とはこんなに変わりました」とか、そういうのが全然ない、そっけないくらい淡々としたライブ。
そして、彼の音源作品と同じく、すべての楽曲において、「何故この音がこの位置にこの音色で入っているのか」という必然のある、というかその必然だけでできているようなトラックだけを鳴らす、究極に機能的で、だからこそ逆に究極にロマンチックなライブ。
究極に理想主義的で、だからこそ逆に究極に現実主義な音とも言える。
何を書いているのかちょっと自分でもわからなくなってきたが、要は、すごくよかったわけです。
「何かやらかす」感じじゃない。何もやらかさず、ただ黙々と職務をまっとうする。その感じに、なんだかとても「まりんだなあ」と思った。ほんとにあっという間でした。気持ちよかった。
このあと生で観る予定のみなさん、というか「生で聴く」の方が正しいか。とにかく、ぜひお楽しみに。(兵庫慎司)