ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST

ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST
ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST
ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST
ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST
ジェイソン・フォークナー @ 渋谷O-WEST - pics by vinkapics by vinka
9月2日に2年ぶりのアルバム『オール・クワイエット・オン・ザ・ノイズ・フロア』をリリースしたジェイソン・フォークナーが、大阪、東京の2ヶ所で来日公演を行った。本日の東京公演はO-WESTにて。ジェイソンが繰り広げるポップ・ワールドを堪能しようと集まったオーディエンスでフロアは超満員。みんなが待ち望んでいた来日ということでライブがスタートした途端、フロアにはものすごく多幸感溢れる温かな空気が流れた。

ジェイソンが奏でるエバーグリーンなポップ・サウンドは、いつの間にかオーディエンスの懐にすっと入り込んでしまうような人懐っこさがある。だからなのか、ライブ始まって数分も経たないうちにフロアからはキラキラとした笑みがこぼれていて、まさにジェイソンのポップ・マジックにかかったようにO-WEST内がハートウォーミングな空間に包まれた。特に“THE LIE IN ME”の甘くてロマンティックなメロディは本当にヤバイ。うっとりしながら聴き入ってしまって、夢見心地な気分にさせられてしまう。

ポップに必要な要素がすべて詰まったようなジェイソンのサウンドは、シンプルなリズムやメロディで王道のアメリカン・ロックを貫いている。そういうシンプルさを武器としたアーティストがごまんといる中で、彼の音楽がいつまでも輝きを放っているのは、シンプルさの中にも計算されないスパイスが配合されていることなのかなとライブを観ていて思った。マニアックなツボをおさえたコード展開だったり、渋みを効かせたブルージーなギターを弾いたかと思えば、ピアノを操り瑞々しいメロディを紡いで心を揺さぶったり。こんなこともあんなこともできるといったマルチプレイヤーぶりを発揮していて、その中でちょっとしたスパイスが上手く効いている。それが計算したものではなくて、本当にこれが楽しいと思うからやっている、というのがライブからも伝わってくるのだ。実際、ジェイソンも本当に楽しそうな表情を浮かべながら演奏していて、なんだかこっちも嬉しくなってしまう。

あと、最新アルバムに対して、コーネリアスが「いつまでも若々しく…」というようなことをコメントしていたけど、本当にその通りだと思う。ギタリストに徹する姿は、まるで与えられたおもちゃで楽しそうに遊ぶ子どものよう。キラッキラした屈託のない笑顔を見せて、まさに永遠の少年だった。

シンプル・イズ・ベストであることは百も承知だけど、実はシンプルであり続けることが一番難しい。シンプルさを作り出すのではなく、自然にできていることがジェイソン・フォークナーの天才的なところであって、今日はそんな自然なジェイソン・フォークナーをたっぷり楽しめた一夜だった。アンコールではアコースティック・ギターの弾き語りを4曲も見せてくれたし、オーディエンスの拍手喝采に導かれるようにトリプル・アンコールまであった。全24曲、約2時間。シンガー・ソングライターとしてのジェイソンの才能に改めて惚れ直したライブだった。(阿部英理子)
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