パラモア @ 新木場スタジオコースト

パラモア @ 新木場スタジオコースト
パラモア @ 新木場スタジオコースト - pic by Yuki Kuroyanagipic by Yuki Kuroyanagi
どこまでもメロディアスな悲鳴? エモーショナル&ダイナミックな警報? 満員の新木場スタジオコーストを瞬時に熱狂・絶唱させる、ヘイリーの強烈なヴォーカリゼーションとヘヴィでタイトなバンド・サウンドは、およそ「ポップ」な「歌」とか「ダイナミック」な「ロック」とかいう概念を超えていこうとするエネルギーに、この日のパラモアは満ちていた。立っているだけで汗ばむぐらいの熱気が、雪混じりの雨が上がったばかりな上に海っぺりの冷たい風が吹きつける外の寒さをまるっきり忘れさせてくれる。

2月10日:大阪・IMPホール、13日&14日:東京・新木場スタジオコースト、16日:名古屋・クラブダイアモンドホールという日程でまさに現在開催中の、パラモア3度目のジャパン・ツアー……というか、映画『トワイライト』での“ディコード~恋の暗号”起用を引き合いに出すまでもなく、昨年の3rdアルバム『ブラン・ニュー・アイズ』とともに今まさに全世界レベルのロック・アイコンへと押し上げられつつあるパラモアの、言わば全世界的凱旋公演とでも言うべきタイミングのツアーだ。18:51、5人がオン・ステージすると同時に「PARAMORE」の巨大な文字が染め抜かれたバックドロップが現れた瞬間、抑えきれずに噴き出す怒濤の大歓声! フロア狭しと高く突き上がる拳、拳! 序盤、MCでも何でもないタイミングで会場一丸の「パラモア! パラモア!」コールが沸き起こっていたのには思わずヘイリーも笑っていたが、つまりはそういうテンションだった。

ツアー中なのでセットリスト全掲載は控えるが(ワーナー日本公式ブログに大阪公演の曲順が載っているのでネタバレOKな方はご参照を→http://ameblo.jp/paramore-blog/entry-10455763742.html)、最新作『ブラン・ニュー・アイズ』の楽曲を軸にしつつ、デビュー・アルバム『オール・ウィー・ノウ・イズ・フォーリング』、2nd『ライオット!』の楽曲を効果的に盛り込んだ内容。アコギをフィーチャーしたスロウ・ナンバー“ジ・オンリー・エクセプション”以外はどこを切っても沸点越えの衝動大炸裂大会! 特に後半“プレッシャー”“フォー・ア・ペシミスト、アイム・プリティ・オプティミスティック”“ホエア・ザ・ラインズ・オーヴァーラップ”と1st/2nd/3rdの楽曲がブレーキ壊れた超特急のデッドヒートのように立て続けに襲いかかってくる流れは、高揚感と戦慄で聴く者すべてを巻き込むのに十分すぎるものだった。

メタリックなヘヴィ・ロックのマナーも、パワフルで熱狂的なエモ/パンクのマナーも、4つ打ちダンス・ロックのマナーも、あまつさえアイドル・ロック的なマナーまでも確信犯的かつ批評的に取り込みながら、焦燥とカオスが轟々と渦巻く壮絶な風景を描き出してしまったパラモア。それでいて、「サマソニ来た人どれだけいる? うわ、すごい!」「初めての人は? ウェルカム・トゥ・アワー・ファミリー!」と軽やかにフロアに呼びかけてみせるヘイリー。そして“プレッシャー”でベース抱えて鮮やかな宙返りをキメてみせるジェレミー。誰彼構わず焼き尽くしてしまいそうなこの音を、5人が全身で楽しんでいるのがよくわかる。昨年の「サマーソニック09」ではセーラー服にハイソックスで、ある意味こっちの度肝を抜いてみせたヘイリーだが、ラフなシャツ&パンツ姿という武装ゼロな状態で高らかに叫び上げるこの日のヘイリーの姿は、紛れもなくロックそのものだった。今日は東京公演2日目!(高橋智樹)
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