SAKEROCK @ 恵比寿リキッドルーム

久々のSAKEROCK企画『げんざいのぐうぜん』、恵比寿リキッドルーム。出演は、outside yoshino、group_inou、Sunshine Love Steel Orchestra、そして最後にSAKEROCK。で、オープン&転換中&クローズ時のDJは、YOUR SONG IS GOODサイトウジュンが務めておられました。順番にいきます。

1. outside yoshino
というのは、イースタンユース吉野寿のエレキギター弾き語りのこと。バンドサウンドがない分よおくわかったが、ほんっとすばらしくブルーズ、この人の歌。「3コードで」とか「黒人っぽい」とか、そういうような意味でのブルーズではない。たとえば、憂歌団木村充輝の歌ってすごくブルーズだけど、じゃあ1960年代のアメリカにああいうふうに歌う黒人ブルーズ・シンガーがいたかというと、いないでしょ。そういうことじゃないでしょ。それと同じようなブルーズを感じました。ラストの曲で星野源が登場、星野=歌とギター、吉野=歌と口笛で1曲やったけど、これも最高でした。

2. group_inou
って、知らない人もいるかもという気もするので、一応「これこれこういう人たちである」ってことを説明しときます。ええと、ヒップホップから、踊れる要素とストリートな要素、要は肉体的な要素をすべて引いて、エレクトロな要素と文系な要素をどっさり足した、そんなMC1名とトラックメーカー1名によるユニットです。で、そのどうしようもなくフィジカルじゃない感じが、私、大変に好きです。
今、レコーディングが大詰めだそうで、だからノイローゼ寸前だそうで、しゃべるたびに自虐的な毒を吐きまくっていました。特にトラック担当imai。「twitterとか嫌い」ってことや、「ライブの時はこの機材を全部ひとりで持って電車で来る、今日もそうなんだけど電車の中にすげえむかつくババアがいた」ってことなどを話しておられましたが、私が一番ウケたのはこれ。
「次、その新しいアルバムに入る新曲やります! ……って、(自分たちを)知らない人には関係ないか。知らない人からしたら全部新曲だよ!」
いや、そりゃそうですけど。でも、昨年10月の朝霧JAM(出てたのだ)の時みたいな、自分たちも楽しそうにやっているステージよりも、今日みたいな鬱屈した感じのほうが、なんというか、「らしい」気がします。すみません。

3. Sunshine Love Steel Orchestra
LITTLE TEMPOの土生剛と田村玄一、Buffalo Daughterの大野由美子の3人からなるスティール・パン・トリオ(スティール・パンって何? って人は各自調査)。この3人プラスリズム隊で、心地よく、楽しく、かつちょっとやばい刺激に満ちた(僕だけかもしれませんが、なんかドラッギーなものをとても感じました)音を聴かせてくれました。
なお、MCで、田村玄一曰く、「星野くんとは大人計画の舞台でご一緒したことが」。ああっ、そうだ。観た。観たわ俺。松尾スズキの『ニンゲン御破産』だ。主演:中村勘九郎(現勘三郎)。星野くんも田村さんも、演奏も芝居もしておられた記憶があります。2003年とかそれくらいの話です。

4.SAKEROCK
3ヵ月ぶりのライブだそうです。衣裳なし、星野くんはマリンバなしでギターのみ。ハマケンの暴走(今年初めて海外に行った、しかも2箇所続けて、というその行程を1分間で再現するという芸)、短め。アンコールで披露した、おなじみの、ハマケンとドラム伊藤大地の「対決」(説明がめんどくさいので各自調査)も、今日は短めでした。という、全体にわりとあっさりめで、安定していて、「いつもの」な感じのグルーヴであり、「いつもの」な感じの選曲であった、そんなSAKEROCKでした、今日は。
このあとも、フェスやイベントの出演が、月に1,2本ペースで入っている程度の活動だし、星野くんメジャーと契約してソロ・アルバムがもうすぐだし、負けじとハマケンも在日ファンクとかやってるし、伊藤大地&田中馨のリズム隊もそれぞれ忙しそうだし、まあ、今年はこういう感じで、ゆるくやったりやらなかったり、という活動なのかなあ。
と思っていたところ、最後に星野くんが「今年はアルバム出します!」。えっそうなの!? びっくりしました。

あとひとつ。唯一「あっさり」していなかったのは、あの、部室で4人でしゃべってるみたいな、「目の前に1000人近い客がいる」ということをまるで意識していない感じの、ぐっだぐだなMC。それだけは、「あっさり」じゃなかった。長かった。あれ、精神的に、あの空気の中に「入る」ことができれば面白いけど、入れない人はすっげえむかつくと思う。私はライブ2回目くらいで「入る」すべを覚えたので大丈夫ですが。
で、そのぐだぐだなMCと、すばらしい演奏を聴きながら思ったこと。

SAKEROCKって、やっぱり変わっているなあ、ということ。いい音楽であり、いいプレイヤー揃いであり、いい曲であるにもかかわらず、「いいバンド」って感じにはならないのだ、音が。うまくいえないが、なんか「個々」な鳴り方なのだ。
理由は明らかだ。ずっとやっているバンドじゃないからだ。俳優とか他のバンドとかセッションとかの活動と、並行してやっているバンドだからだ。だから、たとえば、この4人で年間100本のツアーをやるとか、そういうことをすれば「いいバンド」な感じにはなると思うが、ややこしいのが、この人たちの場合、そうなることが必ずしもいいことではない、というフシがあるところだ。むしろ、そんなふうに一丸となってしまったら、煮詰まってしまうか、面白くなくなってしまうかもしれない。
決して一丸とならない、向いている方向も人間的なノリもなーんかみんなバラバラ、でもだからこそ面白いバンドであり続けることができている。そんな感じなのです。

元々、同じ高校の仲間で結成したバンドなのに、そのMCでも、「おまえさあ」と言ったり、呼び捨てにしたりはしない。「星野くん」「大地くん」だし、「ハマケン」とは呼ばれても決して「浜野」とか「謙太」とは呼ばれない。
それってすごくSAKEROCKを表してるよなあ、とか思ったりした。(兵庫慎司)
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