HiGE × OGRE YOU ASSHOLE@赤坂BLITZ

HiGEの3ヶ月連続対バン企画@赤坂ブリッツ『9mmの髭とNICOのASSHOLE』。第2回となる今回の公演で相見えるのは、 Ogre You Assholeだ。開演時間の19:00になると同時にさっと姿を現したオウガの4人は、ノスタルジーを喚起するメロディがダンサブルなリズムの上を走る“ピンホール”でショウの幕を切って落とした。出戸の少年性を宿らせたハイトーン・ボイスが小気味良く弾け、次第次第に彼らの本領であるドリーミーでサイケデリックな轟音が会場内を埋めてゆく。

「今、長野県の八ヶ岳で活動していまして、バンド・メンバー以外の人とほとんど会わない生活が続いています。さっきステージの袖からこっちの方を覗いて、人間がいっぱいいる! と4人で騒いでました」。活動もMCもマイペース。そして鳴らされる音楽はそれに輪をかけてマイペース。“ステージ”や“コインランドリー”といったキャッチーなナンバーも披露されていたがそれ以上に、トボケていながらエモーショナルな、予測不可能なアンサンブルでオーディエンスを独自のオルタナティヴな世界観に誘い込んでゆくオウガなのである。掴もうとすればするりと身をかわす、まるで夢を見ているような1時間になった。

続いてはHiGEの登場である。須藤とフィリポはサンタクロースのような白い顎髭を付けて姿を現し、“髭よさらば”をプレイし始める。続いての“ブラッディ・マリー、気をつけろ!”では斉藤、須藤、そしてアイゴンのトリプル・ギターがダイナミックに絡み合って火を噴き、早々のシンガロングを加熱していった。先月の9mmとの対バンのときには右肩上がりに狂騒を生み出してゆく問答無用のパーティ・セットだったが、今回は熱い盛り上がりを見せたかと思えばそこで煙に巻くように柔らかなサイケ・ポップ“ミスター・タンブリンマン”の伸びやかなメロディを届けてきたりする。先ほどのオウガに続いて、こちらも何か不思議な感覚に陥るショウなのだ。

それにしても、タッピングとディレイを組み合わせた効果音のようなギター・プレイを聴かせたり、思い切りフィードバック・ノイズを撒き散らしたりするアイゴンは、他の5人と有機的に絡みながら更に存在感を増している。オウガとのドリーミー・サイケ対決を意図したような今回の楽曲群にも、彼のプレイは実に機能的に関わってゆくのだ。「『9mmの髭とNICOの ASSHOLE』っていうタイトルは、ニコには申し訳ないけど、やっぱりASSHOLEがいいな、と思って。でも、ニコもこのタイトルを快く呑んでくれて(笑)」と須藤が語る。

倦怠感と痛みを引き摺りながら日だまりの中に佇むような新曲“サンシャイン”と、フィリポがメロディカを吹いて全員で美しいメロディのタペストリーを描き出した“サマータイム・ブルース”、そして更に来るニュー・アルバムからライブ初披露された“虹”の流れは、今回のステージにおけるハイライトであった。七色の眩い照明の中で、力強く何かを求めてゆくようなダイナミックなロックンロールを鳴らす“虹”はものすごくかっこいい曲だ。「タイミング的に、新曲がいっぱいやれて嬉しいね」。

もちろん甘美なサイケデリアはHiGEの一側面でしかないので、終盤戦は堰を切ったようにパンキッシュなナンバーを畳み掛けてゆく。 “ロックンロールと五人の囚人”では斉藤がチャック・ベリーのようなステップを踏み、そして“テキーラ!テキーラ!”までの怒濤の展開を走り抜けると、アイゴンはボソリ「はしゃぎすぎました……」と虚脱の表情を浮かべていた。本編ラストは、甘美なサイケ・モードを締めくくる“青空”へ。対バンに正面から向かってゆくセット・リストと、素晴らしい新曲群のテイストが見事に噛み合ったステージであった。

アンコールでの再登場時、須藤のポジションに立ったのはなんとオウガの出戸。彼がギターを抱えるので場内はさすがにどよめき、そしてしん、と静まり返った。そこで斉藤が出戸に一言。「……ちゃんとイジってくれると思ったでしょ? 何もしないよ。ほったらかしだから」。他のメンバーもニヤニヤと笑っているだけである。それはひどい。「もう、なんでここにいるんだ、って感じじゃないですか! 須藤さん、早くー」。そして姿を現した須藤、「おい出戸! おまえちょっとは盛り上げろよな。バンドのボーカルだろうが!」といびりつつもがっちりとハグする。なんだ、出戸が歌うのかと思ってびっくりした。アンコールのラストも久々の“ハートのキング”で飾り、ロマンチック・モードを完遂したHiGEである。それにしても、ニュー・アルバムが俄然楽しみになった。『9mmの髭とNICOの ASSHOLE』はいよいよ来月、NICO Touches The Wallsとのクライマックスを迎える。(小池宏和)

HiGE セット・リスト

1.髭よさらば
2.ブラッディ・マリー、気をつけろ!
3.ネアンデルタール
4.ミスター・タンブリンマン
5.嘘とガイコツとママのジュース
6.D.I.Y.H.i.G.E.
7.溺れる猿が藁をもつかむ
8.サンシャイン
9.サマータイム・ブルース
10.虹
11.ペインキラー(for pain)
12.ロックンロールと五人の囚人
13.ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク
14.テキーラ!テキーラ!
15.青空

アンコール
16.黒にそめろ
17.ギルティーは罪な奴
18.ハートのキング

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