磯部正文BAND @ 新代田FEVER

磯部正文BAND @ 新代田FEVER
磯部正文BAND @ 新代田FEVER - pic by taku fujiipic by taku fujii
今年3月のMARS EURYTHMICSの活動休止後、ソロ・プロジェクトを始動させた磯部正文BANDの初ライブ。ハスキン時代から続けていたソロ・プロジェクトCORNERとしてではなく、自らの名前を冠したプロジェクトで、彼がやろうとしていることは一体どういうものなのか。新代田FEVERには、期待に胸を膨らませた多くのファンが、開場前から詰めかけていた。

定刻を10分ほど過ぎた19:40。SEとともに観客の「いっそん!」コールに迎えられてメンバーが登場。この日のバンド・メンバーは、恒岡章(Dr)、田渕ひさ子(G)、戸川琢磨(B)、下村亮介(Key)という、他のバンドでも活躍するプレイヤーたち。「磯部正文BAND、はじめます」という、磯部お馴染みの短い挨拶を合図に、なんとハスキンの名曲“#4”で幕開け! どよめくフロア。してやったりの表情の磯部。その後も立て続けにハスキンの曲が投下され、フロアはシンガロングとダイブの嵐と化していく。“8.6”が終わった後には、フロアのあちこちから「いっそん、ありがとう!」という声が飛んでいた。それに対して「いきなりスミマセン」と照れくさそうに応える磯部。こんな心温まる掛け合いも、磯部のライブならではだ。

「そろそろハスキンの曲をやってもいいんじゃないかと言ってくれたのはヒダカさんで。そんなヒダカさんと一緒に作った新曲をやります」というMCに続いて披露されたのは8月25日にリリースされるヒダカトオル・プロデュースの新曲“Do we know ?”と“花の咲く日々に”。前者は全編英詞の抜けの良いミドル・チューンで、後者は磯部らしい叙情的な日本語が疾走するツー・ビートのアップ・チューン。ハスキンを思わせるようなアグレッシブな楽曲に、観客からは「いい曲!」との声が上がる。その後も、CORNERでもMARS EURYTHMICSでも極力封印してきたサウンド――つまり、ハスキン時代の真骨頂とも言えるようなサウンドに彩られた新曲が、次々とプレイされていく。しかも、そのどれもが肩の力が抜けている。田渕のソリッドなキター・ソロが映える“The Guitar Man”も、磯部のラウドな歌声が響く“符思議なチャイム”も、あくまで自然体で鳴っていて、それ故に聴き手の身体に心地よく馴染んでいくのだ。それに引っ張られるかのように、過去の楽曲もどんどん軽やかになっていく。ライブ終盤に披露された“欠けボタンの浜”“摩訶不思議テーゼ”“Walk”のキラー・チューン3連発。強力にアジテートするわけでもなく、会場全体を心地よく踊らせるそのサウンドには、CORNERやMARS EURYTHMICSの活動を経て、ようやくフラットなモードで過去と向き合いはじめた磯部の、確かな自信が宿っていた。

アンコールでは「今日のライブで曲が身体に染みました」と観客にお礼を述べて“the steady-state theory”を披露。「ここにいる皆に新しい風を」というMCに続いてラストを締めくくったのは、“新利の風”。これからも、さまざまな風を取り入れながらしなやかに変化していくであろう磯部正文BANDの未来を占うような、爽やかなラストだった。(齋藤美穂)


セットリスト

1.#4
2.LIFE
3.QUESTION
4.8.6
5.Do we know ?
6.花の咲く日々に
7.The Guitar Man
8.Race
9.Sound in the Glow
10.Sun Myself
11.THE SUN AND THE MOON
12.Paper Airplane
13.符思議なチャイム
14.欠けボタンの浜
15.摩訶不思議テーゼ
16.Walk

アンコール
17.the steady-state theory
18.新利の風
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