サンボマスター@ZEPP TOKYO

サンボマスター@ZEPP TOKYO
サンボマスター@ZEPP TOKYO
サンボマスター@ZEPP TOKYO
サンボマスター@ZEPP TOKYO
サンボマスター@ZEPP TOKYO
「はじめまして! 僕の名前は山口隆! ベースは近藤洋一! ドラムは木内泰史! 世界一のライブハウスからお送りします! いや、宇宙一になってみねえかみんなで!」4月に発売された2年半ぶりのニューアルバム『きみのためにつよくなりたい』のリリースツアー「きみのためにつよくなりたいツアー2010」、即日完売のZEPP TOKYOでのツアーファイナル。それこそ世界一とか宇宙一といった形容がしっくりくるような、日本語ロックのライブとしてはこれ以上ないぐらい様々な感情が爆発した素晴らしいライブだった。

開演時間を過ぎてしばらくした頃、客電も落ちたわけでもないのになぜか大音量のハンドクラップ。後で山口の言っていた通り、フロアに殺気が満ちている。オーディエンスは完全に臨戦態勢。そして客電が落ち、今度はSEの“モンキーマジック”をかき消してしまうほどの超大歓声。「準備はいいかー!」という山口のMCからの1曲目のサンボマスターらしい前向きなアッパーチューン“世界をかえさせておくれよ”から、会場の熱狂はもの凄いことに。ライブ序盤から一曲通してシンガロングしっぱなし、拳突き上げまくりな素晴らしすぎる光景が続く。しかも前だけじゃなく後ろの方まで全員になってだ。それを受けて山口は「ZEPP TOKYOってこんなもんじゃねえだろー!」と、暴走状態となったオーディエンスのテンションを更に掻き立てる。

「ひとつ!サンボマスターの活動をせずにアダルトビデオの制作をしてたやつがいる!」
「ひとつ!サンボマスターの活動をせずにやべっちFCを見てたやつがいる!」
「ひとつ!サンボマスターの活動をせずに映画の準主役をやったやつがいる!」
「それは、DJ近藤!!」という山口のMCから、近藤がシンセサイザーで電子音を鳴らして始まった“スローなディスコにしてくれ”。フロアの上のミラーボールが回り出し、2800人規模の巨大モッシュピットが一瞬にしてダンスフロアに変わる。ステージでは近藤のベースソロがうねりまくる。演奏が電子音だけになり、終わり?と思ったら山口がスローなダンスを披露して、オーディエンスは大歓声。そこから演奏再開という流れは反則級にドラマチックだった。

今日最大のハイライトは、11曲目の“ラブソング”、続く“光のロック”だ。サンボマスター、そして2800人のオーディエンス全員の生の感情が爆発する、日本語ロックの力が最大限に発揮された瞬間だった。

「突然僕の前からいなくなった人がいて、僕はその人に何も言えなかった。2005年にいなくなっちまった命。2006年にいなくなっちまった命。2007年に僕の前からいなくなって、2008年には僕のことを忘れ去って。2009年にもう会えなくなっちまった人がいる。2010年にさよならって言えなかった人がいる。僕はその人にありがとうって言いたかったのに、なんでいなくなっちまったんだコノヤローって言葉が出てきちまったんだ。だから僕は、この歌を作ったんだ。車掌は僕たちにこう言う。「忘れ物はありませんか?」最終列車が今、発車します」

本当のことだけを伝えるために、ごくシンプルな言葉で書かれた不純物ゼロのスローバラード“ラブソング”。遠いところにいなくなってしまった人達へできるだけ声が届くように、聞き取りやすいように、ギター一本で歌う山口のエモーションが爆発する。オーディエンスもこのときばかりは演奏を聞き入って、それぞれの頭の中でそれぞれのエモーションを爆発させる。この時のソウルフルな山口のかすれ声が、「愛し合ってるかい? 愛し合ってるかい! 愛し合ってるかいー!!!」という嗚咽にもとれる叫びが、これを書いている今も頭の後ろの方にこびりついて離れない。そこからライブでこの曲を聞いて感じたことや、自分自身のこと、いろいろな感情がぐわーっと沸き起こってくる。個人的に、日本語ロックの良さはこういうところだと思う。言葉が日常と地続きなぶん、心にすーっと入り込んできて、自分の中の記憶や感情へと思考を派生させていく。その場だけで終わらせたくないことを伝える時はこのやり方が一番だと思う。

しんみりとした空気の会場に「俺たちはきみの涙を見に来たんじゃないんだよ! 君たちの涙を俺らが全て飲み込んだら笑えるだろ!! 光! 光! 光! 全てを飲み込む光のロック!!!」というMCからの、サンボマスターの3人の開放感に満ちた迫力のある演奏の放つ疾走感が、本当に悪いことや悲しいことだけを全てかき消してみせ、オーディエンスは今日一番の盛り上がりを見せる。モッシュもダイブもあった。何より、悲しさだとかくやしさだとかそんなものを超えた、よくわからない涙が溢れてくるほどの、光! 光! 光! の希望に満ちた感動的なパフォーマンス。客席を照らすまぶしすぎるライトの演出が心から気持ちいい。

そこからのサンボマスターは本当に無敵状態。「ひとつだけ言い忘れてたことがありました! みなさん! みなさん!・・・ロックンロール!!」とオーディエンスを煽りながらものすごいテンションで「結局よー! ロックンロールはよー! 金持ちのもんかよぉー! きたねえ大人のもんかよぉー! ふざけんじゃねぇー! ロックンロールは・・・できるんだよぉぉーー!!!」と、最後までシンプルでまっすぐ心に突き刺さってくる爆発的な名曲群を惜しみなく叩き込み、今日のライブを締めくくった。アンコールで山口が「音楽を好きでいてくれてありがとうございました」とオーディエンスへの感謝を口にしていたけれど、「こちらこそこんなにすばらしい音楽をやってくれていてありがとうございます!」と叫びたくなるほど、本編、アンコール通して全曲ハイライトと言ってしまってもいいほどの、希望あり、感動あり、熱狂ありの圧倒的な日本語ロックステージだった。 (前島耕)

[セットリスト]

1. 世界をかえさせておくれよ
2. I love you & I hate the world
3. 愛とは 愛とは
4. 青春狂騒曲
5. あなたといきたい
6. 傘にさせてくれ
7. スローなディスコにしてくれ
8. 君を守って 君を愛して
9. 僕の好きな君に
10. きみはともしび
11. ラブソング
12. 光のロック
13. 美しき人間の日々
14. 新しく光れ
15. そのぬくもりに用がある
16. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
17. できっこないをやらなくちゃ

アンコール
18. アイ ウォン チュー
19. さよならベイビー
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