VAMPS @ Zepp Sendai

VAMPS @ Zepp Sendai - VAMPSVAMPS
全46公演のZeppツアーと共に姿を現した、L’Arc〜en〜CielのHYDEとOblivion DustのK.A.Zによる新プロジェクト、VAMPS。その後にリリースされたシングル『LOVE ADDICT』も好調な彼らだが、そのツアーの出発点となる仙台の公演に駆けつけてきた。

「今日、花火上がってんだよね。行かんでいいんか? 花火よりVAMPSをとったってことか。よし、その心意気買った」とHYDEもMCで語っていた通り、この日の仙台の街は七夕祭り一色。けれど、Zepp Sendaiに足を踏み入れると、まったく違う世界観が広がっている。客席を挟むように左右に備えられたヒップホップ・テイストの巨大なウォールペイント。中世ヨーロッパの古城を彷彿とさせるステージ。会場中に取り付けられた燭台。そうしたセットも含めて、とにかく世界観が徹底されている。それはもはやライブハウス・レベルのものじゃなく、アリーナ/スタジアム・クラスのものだ。

そして、そのスケール感は音でも思い知らされることになる。前座のMONORALのステージが終わった後の7時6分、5人のメンバーによって渾然一体となって放たれる爆音と映像。音は超重量級。手加減なしのこの音が、バンドへの手ごたえを物語っている。それにHYDEは獣のような叫び声で応える。テキーラを飲みすぎると声がガラガラになるとMCで語っていたが、この日の声はパワフル。HYDEのソロ・アルバム『FAITH』の曲を中心にして、そうしたゴリゴリのヘヴィネスが叩きつけられていく。けれど中盤、そこに新しい風を吹かせたのがVAMPSの“TIME GOES BY”。K.A.Zのギターが炸裂する、この最新モードのロックンロールで一気にサウンドの抜けが良くなる。そして、圧倒的なドライブ感。ライブだと、こうしたサウンドがHYDEにとってまた一つ、新しい側面であることがダイレクトに伝わってくる。

「すごい真面目なバンドでね、ホテルの部屋でビデオ観てね――エロビデオじゃないよ――それであーだこーだ言ってんの。バッカじゃねえの、って。おねえちゃんでもいれば話は別だけど」と冗談っぽくHYDEはMCで語っていたが、その音を聴いてると、ほんとにそうなんだろうなと思わせられる。バンドとしてロックが持つラウドさに真摯に向き合うこと。そうしたスタンスが演奏から滲み出ている。そして、それはヨーロッパ的ゴシックから現代USのヘヴィネスまで多岐に亙るものだ。こういうロックを日本でやっている人は実はあんまりいない。

アンコールでのあの曲のカバーも含めて、約2時間のライブ。最後、客席に水を撒いてステージを去っていくHYDEの足取りは軽やかだった。(古川琢也)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on