YUKI @ 日本武道館

YUKI @ 日本武道館 - YUKIYUKI
ソロ・デビュー5周年ということで、そしてそれを記念してシングルを集めたベスト・アルバム『five-star』をリリースしたということで、ひっさびさの公式なライヴ、大阪城ホールと武道館2デイズ、今日はその最終日。

まず、何がすごいって、セットリスト。アンコール含め全21曲、そのうちシングルじゃないのは7曲だけ。つまりシングルは14曲(配信限定だった“ビスケット”も含む)。ソロ・デビュー5年で、アルバム4枚で、シングル14曲。しかもこれ、恐ろしいことに、5年で出したシングルを全部やったわけではないのだ。くどいが、5年で、4枚で。どうよこれ。いないよそんなアーティスト。

って、「YUKIがシングルいっぱい出してるのはわかったよ」って言われそうだけど、いっぱい出してりゃ偉いのかというと無論そんなこたあないわけで、こうしてライヴで聴くとそのすべての曲が「うん、シングル!」「確かにシングル!」「シングル以外の何ものでもない!」みたいな、ポップ・チューンとして超絶的なクオリティを持っている、という事実が恐ろしいのです。

あっそうか。YUKIって自分では詞は書いても曲は書かないから、いろんな作家からいい曲集めてくればいいもんね。って一瞬納得しそうになるがちょっと待て。だったら、自分で曲を書かないシンガーなら同じようなことをできるのかというと、そんなわけないのは明らかだ。つまり、やっぱりYUKIがすごいということだ。いい曲を集める能力。いいプロデューサーを連れてきて、いい仕事をさせる能力。そして、これが一番肝心なんだけど、YUKIがそのいい曲に言葉をのっけたり歌ったりすると、そのよさにとんでもないターボがかかるという事実。

っていうのはCDでも明らかだけど、ライヴだとさらに露骨に表れていた。いつも思うけど、バンドがとんでもなくすばらしい。集めたのは本人。映像も照明もすばらしい。これも、本人がスタッフに任せっきりにしたらこうなったとは、どう考えても思えない。

そして、それでなくてもキラ星のごとくいい曲たちが、YUKIが歌うとさらに輝きまくる。YUKIよりも歌が上手いシンガー、他に何人もいると思う。YUKIよりもダンスが上手いパフォーマーもしかり。でも、YUKIほどメロディと言葉を輝かせて、音という空気の振動を最高のポップ・チューンに化けさせる能力を持っているアーティストは、他に誰もいない。ってことがよくわかりました。

特に後半。Caravanが書いた“WAGON”“JOY”“歓びの種”で本編終了、アンコールの1曲目で、来月出る16枚目のニュー・シングル“ワンダーライン”、続いて“星屑サンセット”に“プリズム”。豪華すぎ。いや、後半だけじゃない。1、2、3曲目は“長い夢”“メランコリニスタ”“the end of shite”。“ハローグッバイ”も“センチメンタルジャーニー”も“ふがいないや”もやった。野球で言うと全員4番。寿司で言うと大トロとウニとイクラとアワビが出っぱなし。今は亡きPRIDEで言うと、ヒョードルとノゲイラとミルコとジョシュ・バーネットしか出ない興行。そんなライヴでした。

おまけに前述の新曲“ワンダーライン”まで、いい曲丸出しすぎてどうしようかと思いました。まいりました、もう。(兵庫慎司)
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