Riddim Saunter @ 中野サンプラザ

Riddim Saunter @ 中野サンプラザ
Riddim Saunter @ 中野サンプラザ
Riddim Saunter @ 中野サンプラザ  - pics by tetsuya yamakawapics by tetsuya yamakawa
あまりに唐突な解散表明から約1ヵ月。ついに、この日が来てしまった――。Riddim Saunterのラスト・ライヴ『FAREWELL PARTY』@中野サンプラザ。台風12号の影響による不穏な曇り空ながら、リディムとの最後の日を目いっぱいに味わおうと、会場前の広場には早くからたくさんのお客さんが詰めかけた。Niw! Recordsファミリーはもちろん、ユアソンに THE BAWDIESにtelephonesにheにと、駆け付けたバンドマン&友人たちも多数。原宿の「kit gallery」で行われていた写真展にも多くの来場者が訪れていたし、改めて思いました。リディムって、本当にたくさんの人に愛されたバンドだったんだなあって(しみじみ……)。

定刻の17時30分を少し過ぎた頃、特別な装飾のない至ってシンプルな舞台に立った5人は“Dear Joyce”から華やかにライヴをスタート。冒頭からたくさんの「ありがとう」が投げ交わされているようで、この時点で早くも感極まりそうになってしまった……が、続く“MUSIC BY.”からミラー・ボールが目映く輝いて一気にパーティー・モードへ! TAICHIのアッパーなドラムが先導して“I'm
Dabbling”、“BREEZINESS”と立て続けにプレイされ、集まった約2,000人のオーディエンスは早くも総立ちに。「結構、僕ら人気ありますね(笑)」とKEISHIも笑顔で語りかける。「気分はどうですか? 楽しいって人、哀しいって人、『ちょっと私、怒ってます!』って人とか(笑)、いろいろいると思います。そういうの全部ひっくるめて、この時間を過ごしてほしいと思います。僕らもそうします。Riddim Saunter、最後、よろしくお願いします!」と続け、なんだかもう全員がひとつのファミリーみたいな親密さの中、ライヴは進行。“FIVE ON THE MOVE”や「FUJI ROCK FESTIVAL」でのステージ、品川グロリア教会でのアンプラグド、赤坂BLITZでのワンマンなど、いくつもの忘れられないシーンが脳裏を巡りながら、以前とは見違えるようにたくましく、そして彩り豊かになったバンドの演奏にしばし耽溺――弾むようなリズムで多幸感に包まれた“Color of Daytime”、フロアにいくつものライトが輝いた“The Three Wishes Of A Dwarf”、KEISHIがマイクスタンドをなぎ倒して熱唱した“Hey, Please Tip Me Off”などなど、なんとも心楽しい時間が流れていった。

中盤には、これまでの約10年のキャリアを振り返って、「最初から最後まで、つくづく勝手なバンドだったと思います。ここ、『(苦笑)』で(笑)」とKEISHI。たしかに、興味のあることにしか興味がないような連中で、CDジャケットを一枚一枚手刷りしちゃうなど、突飛なアイデアでレーベルを振り回すこともしばしば……(その分、ファンはたくさん楽しませてもらったよね!?)。その勝手さ(言い換えれば、少年のような好奇心?)があったからこそ、海外レコーディングや数々の実りあるコラボレーションを成し遂げ、ファッションやアートも飲み込んで、彼らの表現はひとつの“カルチャー”といえるほど豊かなものになりえたのだろう。パンク・アティテュードに根付いた尖ったエッジがあるのに、そのアウトプットは先鋭性のみならず普遍性のようなものまで獲得しているという、本当に奇跡のような音楽集団だったと思う。

「音楽はみなさんの中で続いていくんで、その中にRiddim Saunterがいたらうれしいです。変な話ですけど、これからもRiddim Saunterをよろしくお願いします!」と終盤にKEISHIが想いを届け、「もう少し、僕らに付き合っていただけますか?」とさらに加速度を上げて、“Waltz Of The Twins”→“Sweet & Still”と矢継ぎ早にプレイ。“What Comes After The Parade”では、KEISHIがお客さんをかき分けてフロアのド真ん中へ! 一人ひとりとハイタッチを交わしてステージに舞い戻り、「ありがとうございました! Riddim Saunterを終わります。自分にも言ってますけど、最後、後悔のないように――」と呼びかけ、場内一丸となって<♪ラララーラララー>の大合唱。そして、本編ラストは初期からの代表曲“FRESH”で今一度パーティー・タイムへ!
「We Love You! We Are Riddim Saunter!」と叫んで5人はひとまずステージを後にした。

アンコールで再び登場した5人は、「せっかくなんで」(KEISHI)とメンバーひとりずつMC。“ハマ”ことベース・浜田は「いい曲多いなあ。いい曲だよねぇ」としみじみ語り、“アニキ”こと最年長・本間は「こういう大きいとこでやるといつも叫んでしまうんで……。Riddim Saunterの時限爆弾、浜田将充! 我らがヴォーカル、爽やかで、透き通った歌声を今あなたに届けたい……田中啓史っ!!」と絶叫でメンバー紹介!(笑)
そんなアットホームなムードの中、「最後、『DAYS LEAD』の後で唯一出来た曲を。まだ9月ですが……」(KEISHI)と奏でられたのは、“Guest of a Christmas”。世界でいちばん早いクリスマス・プレゼントをみんなに届けて、『FAREWELL PARTY』は大団円となった。弦楽五重奏などを交えた演奏でも楽しませてくれたリディムだが、この夜に限っては、メンバー5人だけでステージを完遂。それは、ある種の男気のようなものも感じさる、気持ちいいくらいに潔い幕引きだった(終演後のメンバーも、どこかスッキリした表情をしてました)。この日の模様を完全収録した写真集&DVD『FAREWELL』が11月9日にリリースになるので、一家に一枚、永久保存版としてぜひ!(奥村明裕)
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