GO!FES 2012(2日目)@幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール

前日には降っていた雨も上がった2日目。初日に引き続き、出演アーティスト順(高橋優/DOES/チャットモンチー/SHAKALABBITS/吉井和哉/POLYSICS/エレファントカシマシ/KREVA)でレポートをお送りします。

■高橋優
まずはバンドメンバー達と共に肩慣らしの一音を鳴らし「こんにちは。高橋優といいます」と挨拶。スタートした1曲目は“誰がために鐘はなる”。胸にグッと来るメロディでありがならも、抜群にパンチが利いた歌声が胸の奥にまで届いてくる。2曲目“素晴らしき日常”では早くも汗だくとなり、黒ブチ眼鏡を不敵に光らせた高橋優。彼の熱量にお客さん達はすっかり惹き込まれていた。「緊張していますが、次のDOESに良いバトンを渡せるように、精一杯歌わせて頂きます!」。MCを挟み、すぐに始まったのは“卒業”。ここまでは力強くも、どこか憂いを帯びた曲が続いたが、4曲目“HITO-TO-HITO”以降は開放的なトーンの曲が中心であった。高橋優が軽快にアコギをストロークした5曲目“花のように”は、温かいハモンドオルガンの音色に彩られながら、穏やかに躍動。続いて“現実という怪物と戦う者たち”は、滑舌の良い高橋優の歌唱法と相俟って、とても清々しく迫って来た。「お一人お一人の下に心から幸せだと感じられる時間が来ますように!という願いを籠めて歌わせて頂きます」と語り、最後に披露されたのは“福笑い”。場内一杯に笑顔が連鎖し、お客さん達の手拍子が楽しいムードに素敵な色合いを添えた。心地よい汗と、開放感に包まれた2日目トップバッターであった。

■DOES
前半からとにかく飛ばしまくっていたDOES。噛みつくような歌声、シャープなビートがグイグイ迫った“イーグルマン”。バスドラム&ベースの重いサウンドが、我々の下腹部を大いに刺激した“黒い太陽”……冒頭の2曲の時点で、めちゃくちゃハジケていた。そして、そんな熱量をさらに加速したのが、曲の合間の随所で絶妙に挟まれた氏原の一言だ。「今日の天気はどうだった? 曇ってたよな?」と語ってスタートしたのは勿論“曇天”。「愛を叫ぼう!」と呼びかけて始まった“タイニー・パンク”では、《愛を叫ぼう》というお客さん達の大合唱が場内に高らかに響き渡った。「GO!FESベイビーはレイジーベイビーですか? 飛べ~!」と煽り、力強いタテノリへと誘った“レイジーベイビー”。この曲が終るや否や、休む暇を一切与えず「からの~!」と氏原が叫び、さらなる大盛り上がりへ突入した“バクチダンサー”。勢いよく振り上がるお客さん達の腕が、フロア全体で激しく揺れた“修羅”……怒涛の展開であった。「みんな最高だぜ。ラスト1曲聴いてください」と氏原が語り、ラストに披露されたのは“今を生きる”。終盤ではお客さん達の熱い手拍子も合流し、爽やかなクライマックスが描き上げられた。

■チャットモンチー
橋本&福岡がステージ中央に置かれた1台の鍵盤に向かって仲良く横並びで座り、連弾で披露された“満月に吠えろ (piano inst.)”でスタート。白いTシャツの橋本/蛍光色の上衣が眩しい福岡。コントラスト豊かな2人から、綺麗な調べがじっくり放たれていった。その横並び体制のまま2曲目“サラバ青春”へ。福岡が鍵盤で伴奏する真横で、橋本は座りながら右手でマイクを掴み、一心に歌い上げた。その他、福岡のドラム、橋本のギター編成による“満月に吠えろ”も演奏されるなど、新生チャットモンチーのスリリングな魅力が次々示された。そして、未発表曲が満載だったのも、今回のステージの大きな見どころであった。6曲目“テルマエ・ロマン”を演奏した後、「そろそろお気づきかもしれませんが、今日は結構未発表曲です。生まれ変わるってそういうことでしょ? ええやろ?」と福岡が嬉しそうに語り、お客さん達は大喜びの歓声で応えた。7曲目でも未発表曲が披露された後、「一応メンバー紹介をしようと思います。ドラムの福岡晃子!」「そして、主にギター。橋本絵莉子!」、2人がお互いを紹介し合い、“東京ハチミツオーケストラ”。観客の間からも歌声が上がり、場内は大いに沸き立っていった。そしてラストは“恋愛スピリッツ”。橋本がその場でサンプリングしたギターフレーズをループさせた後、2人はポジションを交換。福岡がステージ前方でベースを演奏、橋本がドラムを叩きながら歌った。……とにかく終始斬新なことばかり。今後の彼女達の活動に対する期待が激しく高鳴った。

■SHAKALABBITS
SEは流れず、無音の中ふらりと現れたTAKE-C、YOSUKE、MAH。彼ら3人がまずはジャムセッションを始め、ステージが程良く温まったところでUKIが登場し、“mademoiselle non non”がスタート。ハンドマイクで身体をパワフルに揺らしながら歌うUKIがみるみるお客さん達を巻き込んでいった。2曲目は“THAT THING YOU DO!”(映画『すべてをあなたに』に登場するバンドTheWondersの曲のカヴァー)。オールディーズテイストの甘酸っぱいメロディを少し巻き舌気味に歌うUKIがカッコイイ。「ようこそ! せっかく遊びにきてくれたから、全力で巻き込んでいこうと思います。一方通行じゃつまらないよ。最後まで楽しんでいきましょう!」とUKIが呼びかけ“SO EXCITED!”。3曲目のこの頃には、場内はすっかり開放的なロックパーティーの会場となっていた。新曲“River’s Edge”の後、再びMC。「もうすぐツアーが始まります。6月まで続くので、遊びに来てください」とUKIが語り、代表曲“ボビーとディンガン”“MONSTER TREE”の2連発。続いてサイケデリックにウネるサウンドにワクワクした“ダズリングスープ”。スピード感たっぷりにビートを躍動させた“Soda”。ラストの“SADISTIC AURORA SHOW”は、キャッチーでありながらも何処か毒気を帯びているSHAKALABBITSの真骨頂とも言える曲であった。ベースのYOSUKEが加入し、初のライヴ(昨年末のカウントダウン・ジャパン)を行ってからまだ約3ヶ月だが、新体制がすっかり固まっていることを確信させてくれるステージとなった。間もなく始まるツアーは、各地を大いに盛り上げるはずだ。

■吉井和哉
熱い歓声を浴びながら、悠然とギターを手にした吉井和哉。全身黒で統一したシャープなシルエットを見ているだけで、ゾクゾク! イントロを哀愁たっぷりに吉井が奏でて始まった1曲目は“ノーパン”。妖艶に高鳴り、終盤でラウドに転じる様が超スリリングであった。“ACIDWOMAN”“煩悩コントロール”“欲望”……最強のプレイヤー陣と共に分厚いサウンドを響かせるほどに、吉井のロックスターとしての存在感は劇的に際立っていった。「今日は年末のカウントダウン・ジャパン以来、3ヶ月ぶりのちゃんとしたライヴです。集まってくれて、どうもありがとうございます。隠れ人気ナンバーワンの曲を聴いてください。“CALL ME”」。タイトルを言うや否やお客さん達が沸いただけでなく、1stヴァースを歌い終えた後も起こった熱狂的な歓声。この曲は「隠れ名曲」どころか、ファンにとってはあからさまに「名曲」なのだ。続いて始まった“母いすゞ”は圧巻だった。バンド演奏と吉井の歌声が陰影深く曲の世界を描き上げる様を、お客さん達は固唾を呑んで見守っていた。「幕張、飛ぶぞ~!」と煽り、熱く轟いた“PHOENIX”。「今年こそは、いろんな夢を正夢にしてくださいよ!」と呼びかけて始まった“マサユメ”は、《聞いてないよ~》《ムッシュムラムラ》というフレーズの掛け合いが、なかなかシュールで楽しかった。そして、ラスト曲は“ビルマニア”。明るい手拍子の嵐、開放的な盛り上がりを巻き起こして締め括られた。

■POLYSICS
元気よく飛び込んできたハヤシが観客を煽り、いきなり沸き立った場内。「トイス! 行くぜ、幕張~!」、そして始まったPOLYSICSのステージは、「音楽フェスの達人」とでも呼ぶべきエンタテインメント性の塊であった。ファンにはお馴染みの腕のフリをみんなが真似て盛り上がった“Buggie Technica”。スピーディーに駆け抜けるサウンドの衝撃を喰らって、誰も彼もが頭のネジを2、3本は失ったに違いない“Shout Aloud!”。フロア全体がハチャメチャに揺れた“Young OH! OH!”。ハヤシの怪鳥のようなハイトーンヴォイスにクラクラした“Pretty Good”……う~ん、マイルド! 「楽しんでますか! 初出演~! ありがトイス! 今年の3月4日で15周年! 15周年を記念してアルバムをリリースしました! 早速そこからやりたいと思います。競馬を全く知らない俺たちが競馬をテーマに作った歌です」とハヤシが軽快に語り、始まったのは“ムチとホース”。トチ狂ったサラブレッドが涎を垂らしながらレース場を逆走しているかのような阿鼻叫喚サウンドに誘われ、僕もあなたも思わず身体がヘンテコリンに踊りだしちゃう。そんな奇妙なテンションになったところに、さらに“Mix Juice”が始まってしまうのだから……我々の理性なんてとっくの昔に何処かへ行ってしまった。「15周年を記念してツアーが決定しました。気になる人はクリックorダブルクリックとか左クリック!」、大事な告知を経て突入した後半戦は、“Rocket”“シーラカンス イズ アンドロイド”など、代表曲の嵐。ラスト曲“Electric Sufin’ Go Go”の盛り上がりもすごかった。POLYSICS最高! 15周年おめでトイス!

■エレファントカシマシ
ギターのブルージーなスライドプレイに彩られながらスタートした1曲目“Sky is blue”。黒っぽく不敵に躍動する演奏にワクワク! 2曲目では早くも超名曲“悲しみの果て”が飛び出した。「次は古い新曲。去年の11月の……」と宮本がボソリと語り、少し和みながら3曲目“ワインディングロード”へ。雄々しいビート、メロディがフロアを包み込んでいった。骨太なギターリフを交えつつも、美メロを抜群に際立たせた“東京からまんまで宇宙”。「みんなも俺も不器用。そんなやつらに捧げます」と語って始まり、「やってやろうぜ!」「頑張ろうぜ!」「行け~!」など、宮本が歌の合間に時折発する言葉も、たくさんのエネルギーを届けてくれた“俺たちの明日”。ササクレ立ったディストーションサウンド、野太いベースライン、重いビートに乗せて、歌詞の言葉が啓示のように厳かに迫った“悪魔メフィスト”。そして、メンバー紹介を経て、いきなり雪崩れ込んだ“ガストロンジャー”には痺れた。曲中で「戦おうぜ! 歩いて行こうぜ!」と宮本が叫び、彼と共にお客さん達が掲げた握り拳は、とてつもなく熱いエネルギーを放っていた。「輝きを求めて行こうぜ! そういう歌です」という言葉を挟み、ラストに披露されたのは“今宵の月のように”。新旧、あらゆる曲が持っている圧倒的な力をまざまざと感じたステージだった。

■KREVA
“基準”“ストロングスタイル”“THE SHOW”“成功”、という強力な4曲を惜しげもなく一気に放射した後、お客さん達の方を見ながらゆっくりとサングラスを外したKREVA。深呼吸やストレッチをする真似もしたりしてMCが始まるのかと思いきや、再び曲へ。“瞬間speechless”“スタート”“アグレッシ部”、今度はしっとりしたテイストの3曲が連発された。お客さん達と共に大合唱した“国民的行事”。最強のビートの乗りこなしを見せつけた“挑め”。お客さん達が振る腕が、フロア全体で奇跡のように一体となった“Have a nice day!”。高級車のサスペンションようなしなやかなビートとラップが気持ち良くて仕方なかった上、終盤のアカペララップが猛烈にカッコ良かった“C’mon, Let’s go”。神々しいトラックに彩られながら、タイトル通りとんでもなくキラキラしたエネルギーを授けてくれた“KILA KILA”。この曲が終ると「どうもありがとう!」と挨拶し、本編は終了した。ここまでほぼノンストップ、MCっぽいものは一切なし。アンコールで再登場した時、KREVAは初めて語った。「去年、このフェスは震災の影響で中止。でも、こうして1年経って、みんなに会えて嬉しく思います。1年経って、改めて伝えたいメッセージはこの歌かなと」。そして、最後に披露されたのは“ひとりじゃないのよ”。シンガーのSONOMIがステージ上に招かれ、彼女の歌声とKREVAのラップが交わされる様は、とても感動的であった。元々心に深く沁みる曲だった“ひとりじゃないのよ”だが、震災を経て一際深いメッセージを帯びたことを実感した。

昨年の『GO!FES』は震災の影響で中止となったが、今回ついに第2回目を開催。素晴らしいパフォーマンスが2日間に亘って繰り広げられた。ヴァラエティ豊かな出演陣が一堂に会するこのフェスの歴史は、まだ始まったばかりだ。しかし、着実に進化しつつあることを多くの人が実感したのではないだろうか。今後どのような光景が広がっていくのか? 来年もまた『GO!FES』でお会いしましょう。(田中大)
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