“金魚の箱”では椎名林檎がギターを手にして、浮雲(ギター)と背中合わせでつまびくという素敵な光景も見られた。またメンバーの長いMCのあと“某都民”で現れた林檎は鮮やかな黄色いロングシャツに衣装を変え、次の“月極姫”でするりと脱ぎ捨てたかと思うと妖艶な紫色のキャミソール姿に変身。会場を沸かせた。幽玄な映像も当然ながらクオリティーが高い。林檎ソロ名義の“丸の内サディスティック”や“群青日和”“修羅場”といった過去の東京事変の楽曲の間には、本日11月21日発売の新曲“閃光少女”を披露。「初めて接する時は正面から向き合って生で聴いて欲しい」というメンバーの希望によって、このツアーで初披露され、本日発売となったそうだ。その意図が十分に伝わってくるタテのりの疾走感溢れるナンバーだ。
本編最後の“キラーチューン”は、まるで宝塚のグランドフィナーレのように会場全体がキラキラしていたし、二度目のアンコール“透明人間”では林檎の旗に合わせて会場全体が手を振った。
1万円以上のチケット代を払って東京ドームで外タレを見るのでも、ブルーノートでジャズに揺れるのでもない、大人が楽しめる成熟したエンターティメントとしてのロックのスタンディング・ライヴ。そんな東京事変ならではの醍醐味をたっぷりと見せつけてくれた。(井上貴子)